2017年9月24日 (日)

「四日市フラッシュメモリー工場拡張を差し止めよ!」売却先決定の数時間後、東芝を訴えたウェスタンデジタルの深い闇 スティーブ・ミリガンCEOは最初から東芝メモリを買う気などなかった!?

「東芝メモリを日米韓連合に売却する」

 東芝の発表を狙いすましたかのように、ウェスタンデジタル(WD)は、国際仲裁裁判所に新たな申し立てを行った。

「8月に東芝が単独で決めた四日市工場の設備増強の差し止めを求める」

 完全な泥仕合。トップ同士の直談判、さらに日本政府が乗り出して説得を続けたが、スティーブ・ミリガンCEOの怒りを鎮めることはできなかった。

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東芝四日市工場で祝辞を述べるスティーブ・ミリガン

最も敵に回したくないタイプだと私は思う

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しかも、ケンカしてるのがこのお方なんだから……勝ち目は?

 東芝の前途を底なし沼に変えたのは誰なのか?

 1999年10月。東芝と米「サンディスク」は、半導体メモリーの共同開発に合意した。

 そのときのサンディスクCEOの名は、イーライ・ハラリ。

「カード型」コンパクトフラッシュ、SDカード、メモリースティックなどハラリが持つ特許は5000件を超えるといわれている。

 ハラリは、1945年6月10日、パレスチナのテルアビブで生まれた。天才技術者誕生の40日前、彼の両親を故郷であるポーランド・ワルシャワから追い立てたアドルフ・ヒトラーが自殺した。3年後、「シオニズム運動」によりパレスチナに大挙押し寄せたユダヤの民はイスラエル建国を宣言。「首都はテルアビブ」としたが、国際社会は認めなかった。

 ローティーンのころ、ハラリはヨーロッパ旅行中に両親に捨てられる。もちろん、息子の将来のためなのだろうが、イギリスの学校の寄宿舎に置いてきぼりにされたのだ。苦学の末、18歳でアメリカに渡り、マンチェスター大学、プリンストン大学でノーベル物理学賞受賞を目指した。

 1988年。サンディスク設立。

 2015年。WDは190億ドルという想像を絶する巨費でサンディスクを買収した。

 まさに「アメリカン・ドリーム」を体現する人物だ。

 2000年5月9日。ハラリはバージニア州知事とともに記者会見を行い、東芝との合弁企業「フラッシュ・ビジョン」設立を発表した。

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オバマ大統領から「全米最高技術賞」を授与されるイーライ・ハラリ

 バージニア州?

 そう。東芝メモリの中核は在米企業だったのだ。フラッシュメモリー製造も東芝子会社「ドミニオンセミコンダクター」のバージニア工場で始まった。

 フラッシュ・ビジョン社の資本金は3億ドル。出資比率は「東芝50%」「サンディスク50%」。両社は「なんでも折半」のイコール・パートナーだった。

 最初の変化は2001年に訪れた。前年6月に東芝の社長となった岡村正は「2002度までに半導体事業を黒字化する」としてリストラを断行。圧倒的な世界シェア1位を誇ったDRAM事業を売り払った。DRAMをめぐる東芝の「バカみたい」な失敗は稿を改めてじっくり書きたいテーマだが、ドミニオン工場も売り払われ、フラッシュメモリー製造設備は四日市工場に移転された。

 米国人数千人の仕事と保険を奪ったんだから、米国から恨まれて当然だが、注目すべきなのは、サンディスクの持ち金の流れが、「米国内への投資」から「日本への送金」に変わったことだろう。これまでイーライ・ハラリの目の届く範囲で持ち金は動いていたが、このときから「日本人を信用して金を送る」に変わった。記者会見に知事を呼んだハラリが「米国内生産」にこだわっていた可能性もある。

 16年後、「日本人への信用」は、東芝原発事業によって完膚なきまでに破壊された。

DRAM完全売却? 東芝って終わってる」

 私はそう思ったが、しかし、ここから「赤字の半導体事業」が快進撃を開始するのだから、この業界の先は読めない。

 2003年12月。四日市工場に新製造棟建設決定。投資額推定2700億円。

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四日市工場

 イコール・パートナーのハラリが日本に送金した額、推定1350億円。

 2006年4月。四日市工場に新製造棟建設決定。投資額推定3000億円。

 ハラリが日本に送金した額、推定1500億円。

 東芝とサンディスクが手を組んでから、製造棟は2棟から5棟にまで拡大した。

 ちょうど、ウェスチングハウス買収のころから東芝の情報公開はダメダメになり、その後の投資額が東芝ウェブサイトには書かれていないのだが、サンディスクの投資額が1棟あたり1400億円だと仮定すると、計4200億円。

「サンディスクを買収したWDは4200億円“以上”を取り戻さなくてはならない」

 この事実を日本のジャーナリストは誰も書かない。

 サンディスク買収額190億ドルを加えると、2兆5495億円という国家予算規模の金をWDは東芝メモリに張っているのだ。当然、「それ以上の金」を得るために。

 東芝メモリ買収劇で最初に手を上げたのは、WDだった。

 2017年2月25日。東芝メモリ分社化発表の前。日本経済新聞の取材に対し、WDのスティーブ・ミリガンCEOは次のように答えている。

「ここ数週間、定期的にコミュニケーションをとっている」

 一方、買収劇の勝者となった韓国SKハイニックスは、ただ、

「状況を注視している」

 しかし、「お金の流れ」を書き出していけば、次の結論に行きつかないか?

WDの買収提案はブラフだった」

「ミリガンは東芝メモリを買う気などなかった」

190億ドルという巨費を出したWDに『まだ、お金が残っている』と考えるのは合理的だろうか?

WDが協業企業買収のために、さらに数千億円を出すことは経営者として合理的な判断だろうか?

ミリガンがやっているのは、まったく別のミッションなのではないか?

 スティーブ・ミリガンは、イーライ・ハラリとは対照的な人物だ。技術屋ではなく、プライスウォーターハウス出身。元会計士。IBMの会計監査人としてこの業界に足を踏み入れた。

 1978年12月15日。WDの株券は1枚75セントの紙屑だった。

 2013年1月。ミリガンがWDのCEOに就任。

 就任前の2012年12月28日。WDの株価は42・88ドル。

 約2年後の2014年12月19日。WDの株価は113・88ドルの最高値を記録した。

 70年代末に株を10万円買って家にしまっておいたら、1500万円の財産に化けた会社っていったい何?

 ミリガンは「マネーゲームの天才」と呼びたくなるような「伝説」を残している。

 WDと「東芝の最大のライバル」日立製作所を舞台に。

(つづく)

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2017年9月 9日 (土)

<ウェスチングハウスは合理的な原発建設計画を持っていない><商業的モチベーションがない>VCサマー原発 暴露された「ベクテル極秘報告書」の衝撃

 9月4日。サウスカロライナ州サマーヴィルのレストラン。
 国営電力会社「サンティ・クーパー」の法律顧問が書類を取り出した。
「機密」「弁護士・クライアント特権」と書かれた文書を受け取ったのは、ヘンリー・マクマスター知事の事務所スタッフだ。
 知事は警告していた。
「サンティ・クーパーは州が所有する会社だ。監査に応じなければ、理事全員をクビにする」
 
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ヘンリー・マクマスター知事とトランプ大統領
「トランプ氏は時代が待ち望んでいた候補者だ」
この発言にマクマスター支持者の多くが腰を抜かした
 
 噂にすぎなかった「極秘レポート」が暴露された。
 レポートを書いたのは、米政府に数多くの閣僚を送り込んできた「世界最大の非公開企業」ベクテル。
 原発建設現場に入ったベクテル社員が目の当たりにしたのは……。
<ウェスチングハウスは合理的な建設スケジュールを持っていない。>
<原子炉の設計自体に建設的ではない部分が多々ある。>
<請負業者には、原発建設を完成させるために必要な商業的なモチベーションがない。>
<プロジェクトの成功に不可欠なプロジェクト管理の統合に欠けている。>
<共有されたビジョン、目標、説明責任が欠如している。>
<プロジェクトは重大な問題に直面している。>
 ベクテルが、原発を所有する企業「スキャナ」「サンティ・クーパー」に報告書を提出したのは2016年2月。ふたつの会社は、その3か月後に8億ドルの予算増額を規制当局に要請している。
 まったく仕事をしないウェスチングハウス、ストーン・アンド・ウェブスターを切ることもなく。
 ベーカリー・インディペンデント紙のコラムニスト、フィル・ノーブルの記事は怒りに満ちあふれている。
<スキャナ、サンティ・クーパー、「ベースロード・レビュー法」を作った政治家たちは、「責任はお前らにある」と互いにののしり合っているが、彼ら全員の手は汚れている。>
<きれいな手の人たちは、今後一切、お金を払う必要はない。>
<電気料金を2007年のレベルに下げるべきだ。>
<原発所有企業の取締役、上級管理職は全員が辞任し、2007年以降に受け取ったボーナス、ストックオプションをすべて返還すべきだ。>
<私たちは90億ドルのスキャンダルの「始まりの始まり」にいる。>
 VCサマー原発に関する訴訟は、少なくとも3件がすでに始まっている。巨大化は必至だ。
 突如「引退する」と言い出し、年間80万ドルの年金が非難の的となっているサンティ・クーパーのロニー・カーターCEOは議員に対し次のように証言している。
「プロジェクトに対し、最初の疑念を抱いたのは2013年」
 そのころ、東芝は、投資家に対し、どんな説明をしていたのか?
「東芝は逃げ切れる」と考える人はそうとうな楽天家だ。

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2017年9月 3日 (日)

犬のライカと「英雄」J・F・ケネディが殺された時代 ベクテルは広島に原発を建設しようとしていた

 ライカはモスクワをうろつく雑種の野良犬だった。

 
 ミサイル実験で、米国はサルを使用していたが、ソ連は「訓練が容易」という理由で犬を選んだ。
 
 ライカは兵士に捕まった。
 
 ソ連は次のように宣伝していた。
 
「スプートニク2号には生存に必要な装備が積み込まれる。必ず、ライカを地球に生還させる」
 
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 真っ赤なウソだった。
 
「スプートニクの打ち上げを、なにがなんでも、10月革命40周年記念日に間に合わせろ!」(ニキータ・フルシチョフ)
 
「陽気」「気さく」「チャーミング」と形容されたソ連最高指導者によって、ライカは死刑を宣告された。
 
 スプートニクが米国リトルロック上空を通過するたびに、モスクワ放送は「社会主義の優位性」を高らかに謳い上げた。
 
 繰り返されるフルシチョフの言葉、
 
「どんなバカでもわかることだ。アメリカは爆撃機と戦闘機を博物館行きにしたほうがいい」
 
 モスクワ放送のプロパガンダの3回目か4回目には、ライカは息絶えていた。
 
 ソ連は宣伝した。
 
「ライカは数日間地球軌道上を漂い、毒入りのエサを食べて苦痛を感じずに眠りについた」
 
 真っ赤なウソだった。
 
 打ち上げ直後に温度管理装置が故障した。
 
 人間が見ていたものは、ライカの心拍数だけだった。
 
 打ち上げでライカの心拍数は急速に上がり、宇宙空間でいったん落ち着き、突如、劇的に上昇して、消えた。
 
「スプートニク・ショック」。パニックに陥った米国民にアイゼンハワーは、
 
「ソ連の人工衛星によって」「私の不安がかきたてられることはない」「ソ連は小さなボールを宙に浮かせたに過ぎない」
 
 誰も納得しなかった。
 
 納得させるために、アイゼンハワーは1週間に5ラウンドのゴルフをやって見せ、笑って見せた。
 
 誰も納得しなかった。
 
 ライカが死んだ3日後。米軍がヴァガード・ロケットに人工衛星を乗せ、宇宙に向けて打ち上げた。
 
 ロケットの飛行時間は2秒。人工衛星は1・2メートル、子供の背丈ぐらい、浮き上がって落ちた。
 
 アイゼンハワーをぼろくそに批判し、怒鳴りつけることで、J・F・ケネディは大統領の座への第一歩を踏み出した。
 
「ミサイル開発において、わが国はソ連に数年の遅れをとることになる」
 
「わが国は過去の戦争で経験したいかなる危難よりも致命的な危難の中にある」

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2017年8月18日 (金)

<(原発建設中止は)「私たちの最も望ましくない選択肢」ではなく、「正しい行い」です。>(電力会社「スキャナ」CEO ケビン・マーシュ)7・29「原子力終戦記念日」スキャナの株価は5%急騰した! 今日も国会前に集まろう! 声を上げよう!

「原発は投資不適格」 

 1980年代以降、ウォール街の一貫した姿勢だ。
 
 2017年7月29日。サウスカロライナ州「東芝製」VCサマー原発建設中止。
 
 原発を55%所有する電力会社「スキャナ」のケビン・マーシュCEOは、フィナンシャル・タイムズの記者に語った。
 
<“our least desired option” but “the right thing to do”.>
 
「ライト・シング・トゥー・ドゥー」(正しいことを行う)を証明するかのように、スキャナの株価は5%上昇した。
 
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 米国民の54%が原発に反対している(2016年3月 ギャラップ調査)。
 
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 それだけではない。
 
「1%」の大金持ち、投資家も原発を完全に見捨てた。
 
 原発に史上最大の投資をしたウォーレン・バフェット(前政権経済顧問)は、バラク・オバマ、ヒラリー・クリントンとともに消えた。
 
 時代は変わる。
 
 なぜ?
 
 毎週金曜日、国会前。私たちが声を上げるのをやめなかったからだ。
 
 今日も国会前に集まろう!
 
 再稼働反対!
 
 子どもを守ろう!
 
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1945・8・15 終戦
 
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2011・3・11
 
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2017・7・29 原子力終戦

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2017年8月12日 (土)

16時に輝く黒い月 真夏の「不条理劇」関屋記念で万馬券!!

 関屋記念。

 
 なぜ、単勝1番人気は勝てなんじゃろか?
 
 下のグラフは、昨年の関屋記念と私の本命、ブラックムーンが闘ってきたラップ形の比較。
 
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 マイルの重賞のラップ形は、ほぼ変わらいものなのだが、関屋記念だけは、むちゃくちゃに、アバンギャルド!
 
 GⅠ安田記念、マイルCSと比較するとさらにその特異性が浮き彫りになる。
 
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 まず、テンの3ハロン目で息が入らない。
 
 昨年は逃げ馬が2度入れ替わるなか、2ハロンより3ハロンが早くなっている!
 
 こうなると、普通、瞬発力勝負にはならないはずだが……。
 
 残り400メートルで1秒を超える加速が要求されている!!
 
 このカフカの小説みたいな不条理劇を勝ち切った⑪ヤングマンパワーを
 
「名前がむちゃダサ」
 
 と言って切り捨ててはいけない。
 
 こんなレースだからこそ、「白い幽霊」と呼ばれたネイティブダンサーの血を引く「黒い月」が出るな。
 
新潟11レース
 
単勝⑫
 
馬単⑫ー⑭③⑯⑨①⑪⑬
 
12レース
 
単勝④⑭
 
馬単④ー⑭③⑪⑩⑮⑯ ⑭ー④
 
札幌11レース
 
単勝④
 
馬単④ー⑪⑨
 
12レース
 
単勝⑦
 
馬単⑦ー⑥①④
 
小倉11レース
 
単勝③
 
馬単③ー①②④⑪⑨
 
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ブラックムーン
 
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ネイティブダンサー

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2017年7月31日 (月)

米国人投資家をハメた東芝「株価操作」「偽計取引」犯罪調書 2012年6月 ボーグル原発のコスト超過を示す公文書 しかし、東芝は「原発は儲かる」とウソをつき続けた

<ボーグル原発建設費用の当社負担が、2012年6月時点で2011年末から8000万ドル増え、約45億ドルになる。>(電力会社サザン・カンパニーの四半期報告書)

 建設許可が下り、半年もたたないうちにコスト超過が発覚。

 しかし、日本のジャーナリストは一切、報道しなかった。「インターネットで誰でも読める公文書」であるにもかかわらず。

 2015年3月12日。米電力会社スキャナの子会社サウスカロライナ・エレクトリック・アンド・ガス(SCE&G)は、建設作業と資本コストに関するスケジュールの改定を州の公益事業委員会に請願した。

VCサマー原発の完成は18ヶ月遅れる。>

<当社の資本コスト増加額は6億9800万ドル。>

 このときのスキャナの株価は、絵に描いたような大暴落だった。

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 2015年1月30日 63・77ドル

 2015年3月13日 52・58ドル

 これこそが、VCサマー原発への市場の最初の警告だった。

「原発に金を出すやつはアホだ」

 千株を持ち続けた米国人投資家が失った額は、1万1190ドル。

 東芝株はどうだったのか?

 2015年1月30日 474・6円

 2015年3月27日 513・2円

 東芝の株は上がり続けた。

 1万株を1月30日に買い、3月27日に売った日本人投資家は、38万6000円儲かった。

 なぜ?

 東芝が大ウソをつき、日本のマスコミはただ、ウソを書き写して報道したからだ。

<「黙っていれば許してくれる」

 粉飾決算発覚後、東芝の一貫した姿勢である。

「米国の原発建設はうまくいっているんですか?」という最も重要な質問をする日本人ジャーナリスト、アナリストはひとりもいない。

 2015年7月21日。自らの辞任会見でウェスチングハウスについて質問が出ると、田中久雄東芝社長は動揺の色を隠せなかった。

「ウェスチングハウス等……」

 田中社長は絶句し、老いた大型犬のような顔になった。

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「ウェスチングハウスですか?」

 なぜ、聞き返す?

「……が原因だとは思っておりませんが……」

 社長から指名されてしゃべり出した前田恵造CFOの説明は、どこからどう見ても犯罪である。

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「ウェスチングハウスそのものの数字は、大変申し訳ございません、現状まで開示してございませんが、ウェスチングハウスそのものの上げるキャッシュフロー、ならびに損益につきましては、その8割以上はいわゆる保守ならびに燃料の交換でございます。つまり安定した収益をきっちり上げている、というように私どもは認識してございます。さらにそれに加えまして、近年、東京の国内の、日本の原子力事業部とのシナジー、これが着実に実を結んでございまして、具体的な数字は、本日はちょっと公表は差し控えさえていただきますが、買収当時に比べますと営業利益は大幅に拡大している現況にあるということでございます」

 ウェスチングハウスの減損処理が確定したのは、2年も前の2013年7月23日なのだ。>(拙書『東芝の深い闇「原子力破産」へのカウントダウン』より)

 前田CFOの説明は「風説の流布」であり、ここからの東芝株の売買は完全な「偽計取引」である。

 東芝の株価。

 2015年7月24日 387・5円

 東芝株は2016年2月からなぜか、上がり続けた。

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 2016年12月9日 465円

 前田の大ウソを鵜呑みにして東芝株1万株を買った日本人投資家は、どうなった?

 東芝が突如、巨額損失を公表する直前。

「387万円を突っ込んで、77万円も儲かったぞ! 『東芝はもうダメだ』なんて言ってたやつはアホ。ざまあみさらせ! まだまだいけるぞ! 儲かるぞ!」

 2017年7月31日 東芝の東証一部最後の日 11時30分 222円

「……165万円が溶けた……」

 スキャナ株は2015年9月から上がり続けた。

 スキャナ株を高値掴みした米国人投資家は、どうなった?

 スキャナの株価。

 2016年8月1日 75・56ドル

 2017年7月28日 61・29ドル

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「7万5560ドル突っ込んで……1万4270ドルが溶けた……」

 東芝のウソは、米国人に甚大なる被害を与えている。

 日本のマスコミが「マスゴミ」とよばれるのはなぜか?

 やつらは、米国原発の惨状を知っていながら、1行も書かなかった!!

 なぜ?

 東芝が垂れ流す「風説」をただ書き写し、拡声器を使って増幅、日本全国に大拡散したからだ。

 株主訴訟でまっとうな判決が出たら、日本の新聞記者は牢屋でしゃがんでいるしかない。

「マスゴミ」は自分が犯罪者であることを自覚しているのだ。

 この国の「ペンを持ったボンクラ」どもが「報道しない」と決めたって、米国人投資家から湧き上がる怒号を止めることはできない。

「東芝を今すぐ法的整理せよ!」

http://jp.wsj.com/articles/SB10256713349989624060704583293960922830462

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東芝製VCサマー原発を所有するスキャナ電力株が大暴落!! 東芝が「1319億円を送金する」と約束したとたんに、時価総額にして約61億円が吹っ飛んだ!!

 東芝子会社ウェスチングハウスは大ウソをついていた。
 
「追加コスト19億ドルでVCサマー原発2基を完成させます」
 
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 サウスカロライナ州VCサマー原発の55%を所有するスキャナ電力と45%を所有する公営電力会社サンティ・クーパーが納得するはずもなかった。
 
「原発2基。同じ東芝製AP1000。なのに、東芝はジョージア州ボーグル原発完成のために36億8000万ドルを送金する約束をした。差額17億8000万ドルはなんなのか? なぜ、うちの建設コストがこんなに少ないのか?」
 
 3月末のウェスチングハウス破産から、交渉(大ゲンカ)は4ヵ月にも及んだ。
 
 7月27日。やっと3社が合意した。
 
東芝「21億6800万ドルを送金しますので、米国原発建設から手を引かせてください」
 
 サンティ・クーパーが出した声明をかみ砕いて書くと次のようになる。
 
「そもそも、ウェスチングハウスの見積もりがデタラメで、22億ドルもらったって原発は完成しない」
 
 ウォール街の反応は劇的だった。
 
 スキャナ電力の株価。
 
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 7月27日 65・64ドル
 
 7月28日 61・29ドル
 
 たった一日で6・63%下落! 時価総額にして約61億円が吹っ飛んだ!!
 
 ちょうど1年前のスキャナ電力の株価は?
 
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 2016年8月1日 75・56ドル
 
 2017年7月28日 61・29ドル
 
 なんと18・89%もの下落! 時価総額にして1380億円以上が吹っ飛んだ!!
 
 考えてみてほしい。今回の合意は「スキャナ電力が約1319億円を手に入れる」っていう「儲け話」なのだ。
 
 資産が増える会社の株が暴落した。
 
 日本のマスコミの大罪は、「原発とウォール街」の関係をまったく報道しなかったことだ。
 
「アベノミクスで日本の株は上がった」
 
 などと延々とアナウンスしてきた日本のマスコミだが、以下の事実は絶対に書かない。
 
<国の補助金+早期コスト回収+政府の融資保証。
 
 これだけ手厚い資金援助があるんだから、原発は儲かる?
 
 ボーグル原発の新設が確定的になった2011年。サザン・カンパニーの子会社ジョージア・パワーは格下げされた。
 
 格付け会社ムーディーズ A2→A3
 
 2009年5月。政府の融資保証の最終候補に選ばれた電力会社スキャナは格下げされた。
 
 ムーディーズ A3→Baa1→Baa2→Baa3
 
 東芝、ウェスチングハウス、S&WとともにVCサマー原発を建設しているスキャナは、あと一段階格下げされると「投資不適格」となる。
 
 政府の融資保証の最終候補に選ばれたコンステレーション・エナジーは格下げされた。
 
 ムーディーズ Baa1→Baa2→Baa3
 
 2010年10月。カルバートクリフス原発を所有するコンステレーションは融資保証を拒否した。
 
「事前に支払う保証金(約8億8000万ドル)が高すぎる」
 
「税金はいらない」と言ったとたんにコンステレーションは格上げされた。
 
 ムーディーズ Baa3→Baa2
 
 格付け会社の主張はシンプルだ。
 
「原発を作る」と言った会社に投資してはいけない。
 
 1980年代以降、米格付け会社は一貫してこうアナウンスしてきた。
 
「原発は投資不適格」>(拙書『東芝の深い闇「原子力破産」へのカウントダウン』より)
 
「原子力ルネサンス」絶頂期にウォール街は冷や水をぶっかけているのだ。「原発に金を出す人はアホ」ってことだよね。
 
「原子力災害で世界中に大迷惑をかけましたけど、国内原発を再稼働し、東芝、日立製作所、三菱重工とともに日本製原発をどんどん輸出します」
 
 野田政権、安倍政権を「民主的手続き」で支えてきた日本人を、ウォール街はどう見ているのか?

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2017年7月23日 (日)

原発と地球温暖化はワンセット 狂った米国と世にも不思議な国ぐるみの原発詐欺 サウスカロライナ州「東芝製」VCサマー原発

 国営電力会社サンティ・クーパーは電気料金値上げの手紙を住民に送り、パブリックコメントを募集している。 7%を超える値上げで、報道によれば、その約半分がVCサマー原発建設に注ぎ込まれるらしい。

 8月14日に公聴会が開かれるが、大荒れは必至だ。

 東芝製AP1000ほど矛盾に満ちた原発は他にないからだ。
 中国製原発にもロシア製原発にも装備されている「コア・キャッチャー」がない。
 屋上に50メートルプールが2本ある、という気が狂った設計で、地震が起きれば、真っ先に倒壊する。
 現にカリフォルニア州など過去に大地震があった場所にAP1000の建設は許されていない。
 もちろん、日本を代表するメーカー東芝の原発なのに日本に建設されることは許されない。計画すらなかったことが、AP1000の欠陥を何よりも雄弁に物語っている。
 中国で建設中の三門原発、海陽原発の4基は!?
「3・11」級の地震が起きれば、当然、倒壊。GE製マーク1よりもヤバい。
 どこが最新型? 次世代?
 日本は黄砂や中国の大気汚染の影響を受けていませんか?
 さらに犯罪的なのは、東芝が、「建設中の原発のコストを電気料金に上乗せしていい」という悪法が成立しそうな場所を狙い撃ちにしたことだ。
 それが、ボーグル原発があるジョージア州とVCサマー原発があるサウスカロライナ州だ。
 建前は「CO2排出削減のための原発建設」。
 ボーグル原発の場合、原発を所有しているのは民間企業なので、東芝がサザンに36・8億ドルを支払うことで「一応」「今のところ」逃げ切れた。
 しかし、VCサマー原発を45%所有するサンティ・クーパーは国営企業なので話はむちゃくちゃややこしいことになっている。
 VCサマー原発の55%を所有するスキャナ子会社「サウスカロライナ・エレクトリック&ガス(SCE&G)」の顧客に送られる電気代の請求書には「原子力建設リカバリー」の金額が書いてある。完全な詐欺だが、損害賠償訴訟の証拠にはなる。
 ところが、サンティ・クーパーから送られた請求書にはその項目がない。
 住民が支払った電気料金のうち、何ドルが原発建設に回されたのか、住民にはわからない。
 なぜ?
 サンティ・クーパーは国営企業だから。
 SCE&Gは、サウスカロライナ州公共サービス委員会によって原発建設を監視されている。
委員「半年でいくらかかったの?」
SCE&G「〇億ドルです」
 しばらくして。
委員「その建設費を住民に証明します。原発建設費の電気料金上乗せをしてもいいですよ」
SCE&G「ありがとう(「利益」をうちと株主と銀行で山分けしよう)」
 完全な詐欺だが、このプロセスは曲がりなりにも「公聴会」を経て決定に至る。
 しかし、サンティ・クーパーを監視する人間はひとりもいない。
 なぜ?
 サンティ・クーパーが国営企業だから。
 公共サービス委員会の管轄は民間企業。公務員が公務員を監視するシステムは存在しない。
 地球温暖化詐欺と同様。国ぐるみの詐欺が一番悪質だ。
 サンティ・クーパーの自称「公聴会」は「住民の意見は聞きました」で終わり。ジ・エンド。住民は全米一、高い電気代を払い続けるしかない。
 原発は地上最大の負債だ!
 今すぐやめろ!!
 
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 サウスカロライナ州コロンビアの天気予報。
 地球は温暖化などしていない。

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2017年7月 2日 (日)

「原発+地球温暖化」東芝がサウスカロライナ市民をハメた「一兆円詐欺」原発建設のためにVCサマー原発所有企業は89億ドルを顧客に請求した!! 東芝幹部のメール<社内であっても原発の話はするな>

<トラブル続きのVCサマー原発建設のため、電力会社スキャナと公営企業サンディークーパーは89億ドルを顧客に請求した。>
 ビジネス・ジャーナルのジョン・ダウニー記者の告発だ。
 89億ドルは現在のレートでちょうど1兆円!!
 電気料金は9回も値上げされた。いつまで待っても完成しない原発のために18%もの電気料金が上乗せされた。
 東芝子会社ウェスチングハウス破産申請後のサウスカロライナ州公共事業委員会の公聴会は大紛糾している。
委員「東芝との契約の詳細を公開しろ」
スキャナ「企業秘密なので出せない」
委員「原発建設費の電気料金上乗せをやめろ」
スキャナ「我々はボランティアにはならない」
委員「公共事業を行っているあなたが住民のためにボランティアになることに反対する人間がいるか? いるなら教えてほしい」
 
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 東芝なぜ、東芝メモリ売却額を「2兆円以上」と言い張っているのか?
 VCサマー原発の建設工事中止が決まれば、当然、予想されるのがスキャナ、サンディークーパーに対する「1兆円損害賠償訴訟」だ。
 昨年末、東芝が突如、公表した「損害7000億円」は「いつの間にか」1兆円近くまで膨れ上がった。
 合計2兆円! すべてが米国に送金される!
 東芝への公的資金注入を絶対に許してはいけない!
 産業革新機構が中心の東芝メモリ買収案は税金泥棒だ!
 注目すべきなのは、米国人全員が「犯人は東芝だ」と口をそろえていることだ。住民も公共事業委員も州政府議員もスキャナ、サンディークーパーのトップも口をそろえて「金を払うのは東芝だ」と強く主張している。
 東芝は千万人単位の米国人を敵に回してしまった。
『サザエさん』の提供を続けている場合か?
 東芝の詐欺はどのようにして開始されたのか。
 2008年。東芝はスキャナに約束していた。
「68億2000万ドルで原発2基を建設します」
ウェスチングハウスのHPは、今もこんな宣伝文句を平気で掲載している。
<AP1000は、お金と時間を節約します。>
<AP1000は、世界で最も経済的なプラントです。>
 東芝の宣伝文句はさらに悪質だ。
<モジュール工法や鋼板コンクリート(SC)工法など最新の建設技術も採用されており、建設費の低減と建設期間の短縮が実現されている。>(「AP1000のグローバル展開」東芝レビューVol.65No.12 2010年)
 原発1基を3800億円で建設する!?
 できるわけがない!!
<(モジュール工法などにより)現地工事での作業量が大幅に低減し、ファーストコンクリート充てんから燃料装荷まで36ヶ月の建設工期にめどを得ている。>
 東芝は「VCサマー原発は3年でできる」という大ウソをついていた。
「3・11」。米原子力規制委員会の許可が下りず、原発の着工が大幅に遅れた。
 このとき、東芝の佐々木則夫社長が強調したのが「もうひとつの詐欺」地球温暖化だ。
<当社が(原発プラント)受注を目指していた国で(計画を)撤回すると言った国はない。><(原発は)地球温暖化問題を解決する有力な選択肢>(サンケイビズ 2011年4月14日)
 米国での大惨事が田中久雄社長に伝えられたのは2013年末。
<田中P(久雄・東芝社長)への3Q決算ストーリー説明に関連して、WH(ウェスチングハウス)のコストオーバーラン、減損について下記日程で報告予定です。>(東芝財務部門幹部のメール 2013年12月)
 東芝はかん口令を敷いた。
<社内であっても関係者以外に情報を不用意に伝えず、間違っても社外(会食事、タクシー内など)で本件の会話をすることのないよう、徹底をお願いします。>(東芝原発部門幹部のメール 2014年4月)
 3年以上、東芝は大惨事を隠蔽し、ウソをつき続けた。
「原発は儲かっている」
 2014年8月11日。スキャナは「VCサマー原発の完成は1年以上遅れる」と発表した。
 のちに日本を揺るがす大事件の発端を日本のマスコミは一切報道しなかった。
 2015年3月12日。スキャナの子会社サウスカロライナ・エレクトリック・アンド・ガス(SCE&G)は、建設作業と資本コストに関するスケジュールの改定を州の公益事業委員会に請願した。
<完成は18ヶ月遅れる。>
<当社の資本コスト増加額は6億9800万ドル。>
 このインターネットで誰でも読める公文書を日本のマスコミは一切報道しなかった。
 2015年7月21日。自らの辞任会見でウェスチングハウスについて質問が出ると、田中久雄東芝社長は動揺の色を隠せなかった。
「ウェスチングハウス等……」
 田中社長は絶句し、老いた大型犬のような顔になった。
「ウェスチングハウスですか?」
 なぜ、聞き返す?
「……が原因だとは思っておりませんが……」
 社長から指名されてしゃべり出した前田恵造CFOの説明は、どこからどう見ても犯罪である。
「ウェスチングハウスそのものの数字は、大変申し訳ございません、現状まで開示してございませんが、ウェスチングハウスそのものの上げるキャッシュフロー、ならびに損益につきましては、その8割以上はいわゆる保守ならびに燃料の交換でございます。つまり安定した収益をきっちり上げている、というように私どもは認識してございます。さらにそれに加えまして、近年、東京の国内の、日本の原子力事業部とのシナジー、これが着実に実を結んでございまして、具体的な数字は、本日はちょっと公表は差し控えさえていただきますが、買収当時に比べますと営業利益は大幅に拡大している現況にあるということでございます」
 ウェスチングハウスの減損処理が確定したのは、2年も前の2013年7月23日なのだ。
 東芝とスキャナは大ゲンカ状態となり、新しい契約が成立するのに2015年10月までかかっている。
<建設コスト2億8000万ドルを追加する。>
 建設費は71億1000万ドルに膨れ上がったが……。
 それっぽっちの上乗せですむはずがない!
 わずか1年後の2016年11月。スキャナは東芝に死刑を宣告した。
「固定価格オプションを発動する。建設コスト5億ドルの追加は認めるが、これを超過したら、建設費すべてを東芝が支払え」
 2016年12月末。東芝が突如、7000億円の損失を公表。
 事態がここに至るまで、ウェスチングハウスのダニー・ロデリックは平気な顔でホラを吹きまくった。
「世界中で原子力の需要が高まる」
「気候変動に立ち向かうには原子力が必要だ」
 東芝のウソには、地球温暖化という「もうひとつのウソ」がくっついている。
「2週間ほど前、ホワイトハウスのスタッフ会議に私も参加しましたが、『気候変動の問題に立ち向かっていくには原子力がどうしても必要だ』『これまで以上の規模で原子力が必要だ』と言う声が多く聞かれたことをご報告したい」(記者会見 2015年11月20日)
<温暖化問題への対応で原子力は必要>(毎日新聞 2016年5月4日)
<天然ガスや石油は価格が上下するが、原発は60年間、安定した価格で供給できる>
<中国には200基の原発ができる。うち30~50基は『AP1000』になる>
 2002年に逮捕されたエンロンのジェフリー・スキリング元CEOは今も牢獄でしゃがんでいるが、「原子力ムラのねずみ男」ロデリックは、おそらく、でかい椅子でそっくり返り、うまい酒を飲んでいる。

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2017年6月18日 (日)

田中角栄を「自伝も書けない体」にしたのは誰だ!? なぜ、原発再稼働なのか!? 日本を「恐怖の核分裂世界」にした犯人の名は、ジェームズ・R・シュレシンジャー

 1972年7月29日。アメリカン・スタンダード社元社長のウィリアム・エバリーが、突如、とんでもない要求を田中角栄政権に突き付けた。
 
「米国で年間10億ドルの買い物をしろ!」
 
 何を買うの?
 
「濃縮ウラン」「レアメタル」「石炭」「農作物」そして「ロッキード社の航空機」。
 
 これこそがロッキード事件の発端だが、イの一番に挙げられた品目は「濃縮ウラン」だった。
 
 箱根の富士屋ホテルで3日前に始まった「日米の貿易に関する実務者レベル会議」は、そもそも、そんなことを話し合う場ではなかった。最大のテーマは「コンピュータ貿易の自由化」であり、「セールス」ではなく「システムを話し合う」場だった。
 
 最終日になって、エバリーがこう言い出した。
 
「短期的な措置を考えてほしい」
 
「米国の貿易赤字、年間10億ドルを改善するのが我々の目標だ」
 
 なぜ、原発が再稼働されるのか?
 
 その疑問を解く鍵のひとつが、当時の米国の事情である。
 
 日本に原爆を落とす前から、ウェスチングハウスのジョージ・ブッチャー社長は、トルーマン政権に対し、次のように強く主張していた。
 
「戦争が終わっても、マンハッタン計画の枠組みを維持すべきだ。核分裂のとてつもないパワーは平時にも民間で活用できる」
 
 ウェスチングハウスとゼネラルエレクトリックは、軽水炉開発とウラン濃縮工場建設に奔走した。
 
「原発ビジネスは米国2社が独占する」という目標のもとに。
 
 オークリッジ工場、ハンフォード工場、パデューカ工場がフル稼働したとき、困ったことが起きた。1960年代後半、ウラン価格が暴落したのだ。
 
 大西洋の向こうのイギリス、フランスでは、ロスチャイルド家がものすごい勢いで世界のウラン鉱山を買い占めていた。
 
「原発ビジネスはロスチャイルド家が独占する」という目標のもとに。
 
「ウラン採掘」「ウラン販売」という「上流」を支配したロスチャイルド家と「ウラン濃縮」「軽水炉」「発電」という「下流」を支配した米国2社の覇権争いが戦争状態にまでエスカレートしていた。
 
 米国側の次の作戦は「兵糧攻め」だった。
 
「ウランの輸入を全面的に禁止する」
 
 ロスチャイルド家が掘って掘って掘りまくったウランの「買い手」がいなくなった。ウランは供給過剰となり、価格は暴落した。
 
 ロスチャイルド家は窮地に陥ったが、そのミッションは、米国にとっても自殺行為だった。
 
 米国内の鉱山ではウランを掘れば掘るだけ損をする状況となり次々に操業停止。その後40年近く、米国のウランは土に埋もれたままとなった。
 
 あわてた米原子力委員会は声明を出した。
 
「濃縮ウランを一定価格で誰にでも売る」
 
 なぜ、そんな声明をわざわざ出さなければならないのか?
 
「ウランがほしい」という人間がこの地上から消えたからだ。買い手消滅。当然、米原子力委員会の声明に反応する者は誰もいなかった。
 
 どうするの?
 
「日本人に押し売りして来い!」
 
 嗚呼! 我が祖国の歴史はいつもこうだ。
 
 通産省公益事業局長、井上保は当初、こんな見通しを立てていた。
 
<「あの頃は、ウランがなくなったらどうするという考え方はなく、備蓄についても、まだ早いという意見が大勢を占めていた。ウラン鉱石については、電力会社はすでに五年分くらいは契約ずみでしたから、それ以上ウラン鉱石を買う必要はない。そこで濃縮量の前払いをしてはどうかということになったわけですが、五千トンSWUというと、かなり長期分になる感じでした」>(柳田邦男『日本は燃えているか』)
 
 電力会社幹部の嘆きを想像してみて。
 
「5年分くらい? ああ、何がなんでも原発を続けなきゃならないんだなあ」
 
 そもそも、日本の電力会社は原発を作りたくはなかった。
 
「ミスター東電」と呼ばれた木川田隆はこう語っている。
 
「原発は悪魔のようなものだ。原爆の洗礼を受けた日本人があんなもの手を出していけない」
 
 井上が「5000トン、1億6000万ドル」という案を他省庁に持っていくと、誰もが暗い顔になった。
 
「少なすぎるよ。もっと負担してくれなきゃ」
 
 電力会社幹部を拝み倒し、倍の「1万トン、3億2000万ドル」という案を胸に井上は米国に向かった。
 
 米原子力委員会で井上を待ち受けていた男の名は、ジェームズ・R・シュレシンジャー。
 
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「米国原子力マフィア」のボスは、いきなり、井上を恫喝した。
 
「濃縮ウランを10億ドル買え!」
 
 なぜ、原発が再稼働されるのか?
 
 米国のウラン濃縮工場は、私たちが想像するよりもはるかに巨大なのだ。
 
 1970年代初頭。そのラインがまったく動かなくなった。米国2社の巨額の先行投資が消えようとしていた。
 
「米国2社のラインを動かすために、日本人はガンガン原発を建てて、ウランを燃やし続けろ!」
 
 1971年、日本の総発電量に占める原発の割合は、わずか2・4%。それを30%まで引き上げた力とは、なんだったのか?
 
「3・11」。またしても、そのラインがまったく動かなくなった。
 
「日本人が原発をゼロにする!? そんなことできるわけがねえだろ!? カクエイ・タナカの末路を憶えてないのか!?」
 
 シュレシンジャーは米原子力委員会委員長であると同時に、シンクタンク「ランド・コーポレーション」のボスでもあった。
 
 スタンリー・キューブリックの映画『博士の異常な愛情』の主人公「ドクター・ストレンジラブ」のモデルはシュレシンジャーの上司、ハーマン・カーンだ。映画の舞台は「ブランド・コーポレーション」。
 
 キューブリックはこう語っている。
 
「この種の狂気はシリアスなドラマにはできない。喜劇にするしかなかった」
 
「ランド」は、ヘンリー・アードルド米空軍大将とドナルド・ウィリス・ダグラスによって設立された。
 
 日本に落とされるウランをテニアン島に運んだのも、ダグラス・マッカーサーを横田基地に運んだのもダグラス社のC54スカイマスター輸送機である。
 
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                     (つづく)

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