「社内殺人企業」サザンから東芝への「脅迫」? 要求額は4170億円! 2012年の初め、東芝は1円のカネも出すつもりはなかった ボーグル原発建設は東芝にとって「ただ儲かる」「米国からカネが送金されてくる」だけのビジネスだった
<東芝は債務保証履行を=原発完工へ4200億円-米サザン電力>
<米サザン電力(ジョージア州)のファニング最高経営責任者(CEO)は3日、米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(電子版)のインタビューで、経営破綻した東芝の米原発子会社ウェスチングハウス(WH)に発注した原発建設の完工へ向け、東芝にWH向けの37億ドル(約4200億円)の債務保証履行を求める考えを示した。
サザン電力は、ジョージア州のボーグル原発3、4号機の建設をWHに発注。しかし工期の遅延などで建設費が高騰し、WHは破綻に追い込まれた。WHは再建手続きを進めながら事業を続けているが、東芝はWHに対し、親会社として原発完工に必要な資金の債務保証を行っている。>(時事通信 2017年5月4日)
まったく意味不明な記事だ。
なぜ、37億ドルなのか?
その内訳、根拠がまったく書かれていない。
これを読むと「東芝は米国に大金を送金すべきだ」ということになるが……。
そもそも、東芝にとってボーグル原発建設はそのようなビジネスではなかった。
東芝が設計を担当。設計料が米国から送金されてくるだけ。
発電設備の納入。代金が米国から送金されてくるだけ。
東芝は1円のカネも支払うつもりはなかった。それは「ただ儲かるだけ」のビジネスだった。
2012年のはじめまでは。
上の記事は、「3・11」以降の「日本のマスコミの死」を端的に示している。
記事が照らし出すもうひとつの側面は、「日本人が米国人にケンカを売っても絶対に負ける」という、この百年間、延々とくり返されてきた現実だ。
2015年5月。東芝の不正会計が発覚。
このときから東芝を追いかけたマスコミ記者の立場に立って考えてみよう。
「原因は原発なのではないか?」
そう考えないジャーナリストはそうとうなボンクラだ。
「原発は関係ない、って東芝も説明していますし、そうなんじゃないっスか?」
こんな記者、私がデスクなら現場から外す。
まともな記者なら米国の原発を調べ始めるはず。
<建設費用の当社負担が、2012年6月時点で2011年末から8000万ドル増え、約45億ドルになる>(サザンの四半期報告書)
これは、ただインターネットを開けば出てくる情報。
このわずか8000万ドルのカネが東芝を崩壊させた。
日本のマスコミ記者はこの報告書を読んでいる。しかし、書かない。
2012年3月。関係各所へのあいさつ回りも終えていたウェスチングハウス次期社長、ジム・ファーランドが突如、辞表を叩きつけ、直後に東芝のライバル企業、バブコック・アンド・ウイルコックスのCEOに就任した。
日本のマスコミ記者はこのビッグニュースを書かない。
「東芝は日本を代表するメーカーだから、悪い話は書くな」
これが、日本の新聞社、テレビ局の方針だったとしか思えない。
東芝は基礎工事のなかの基礎工、「ベースマット設置」に失敗した。
「米原子力規制委員会からクレームがつき、工事をやり直すので8000万ドルください」
東芝の要求は泥沼の訴訟合戦となった。
ここが最も重大な岐路だった。
「訴訟を起こしたのは誰だったのか?」
それを日本のマスコミは、今現在もまったく書かない。
「サザンに告ぐ。規制強化による設計変更費用9億ドルを支払え」
訴訟を起こしたのは東芝だった。
日本人が米国人にケンカを吹っかけて勝ったことがある?
(東芝とサザンは2012年からずうっと大ゲンカをしている
しかし作業員の背には「ひとつのチーム」の文字)
サザンは当然、次のように考えていた。
「設計の全責任は東芝にある。米当局の規制強化は00年代半ばに行われたもので『3・11』がきっかけではない」
「9・11」米国同時多発テロのように航空機が突っ込んできても大丈夫な原発を作れ。
米原発の規制強化は「3・11」以前に行われ、
「コスト増をどうしたら解決できるのか?」
「コア・キャッチャーを設置しなければならいのか?」
大いに悩んでいたことが、東芝の資料にも書かれている。
「東芝はわかっていたはず。ボーグル原発契約時に規制強化はすでに行われていた。今さら規制強化を理由としたカネの要求など、認められるわけがない」
サザンの主張はもっともなことなのだが、日本のマスコミは東芝のプロパガンダ機関となり果てていた。
「日本を代表するメーカー、東芝が『3・11』以降の米国の規制強化に苦しんでいる」
日本のマスコミは、サザンを激怒させるウソをばら撒いた。
2017年3月。ウェスチングハウス破産申請を受け、東京・浜松町に乗り込んできたサザンのトーマス・ファニングCEOは、米ブルームバーグの記者に対しこう語っている。
「東芝のCEOの目を見て話すために来た」
「東芝のCEO」綱川智は、巨額損失と訴訟との関係を次のように説明している。
<訴訟及び訴訟懸念状態一括解決によりプロジェクト完工に注力するためにS&Wを買収。加えて、コスト増、納期延長による損害賠償請求回避を目指した。>(2017年2月14日 説明会資料)
とぼけたことを言っているんじゃない!
重要なのは、ストーン・アンド・ウェブスター買収ではない。
2015年10月。和解のため、サザン、スキャナと交わした「固定価格オプション」契約が東芝を地獄に落とした。
サザン「我々が提示する原発建設費を超えたコストはすべて東芝が支払え。東芝が固定価格オプション契約に応じなければ、我々は工事を中止し、これまで我々が支払った建設費すべてを東芝に損害賠償請求する」
東芝「承知いたしました」
裁判でボロ負けし、東芝の「ただ儲かるだけ」のビジネスは、180度変わった。
「原発工事を中止する」
サザン、スキャナがそう宣言したらどうなるのか?
東芝に対する損害賠償請求額。今日も一日で、5億円を超える札束が積み上がっているのだ。明日もまた5億円超……。
ボーグル原発、VCサマー原発の建設現場は?
<工程が終わるごとに(作業が適切にされたかを確認する)インスペクションもあって、インスペクターが来るのを待っている間は何もできない(2週間も来ないことがあったと語る作業員もいた)。>
<待っている間は何をしていたかって? 映画を見たり、寝たり、メールを打ったり。みんな寝てたね>(VCサマー原発の元溶接工 『日経ビジネスオンライン』2017年4月4日)
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