東芝の巨額損失は7千億円ではすまない なぜ、マスコミは東芝製中国原発の工事遅延とコスト超過を報道しないのか!? 巨額損失は半分が公表されたに過ぎない!
冷却材ポンプの羽根車が脱落
中国で発覚した東芝製原発の欠陥
東芝製最新型原発AP1000に致命的欠陥が発覚した。
<AP1000用原子炉冷却材ポンプが性能検査をパス、中国・三門に向けて出荷へ>(原子力産業新聞 2015年11月2日)
(三門原発)
タイトルだけ見るとグッドニュースだが……内容はとんでもない。
2012年。中国の三門原発に原子炉冷却材ポンプ(RCP)が搬入された。着工から3年目での超大型モジュール(機械の基本単位)搬入。工事は順調に進んでいた。
ところが……。
2013年1月。同じAP1000原発でRCP最終検査が行われた。
ポンプを動かすと、なんと、羽根車が脱落した。
ポンプの心臓であるスクリューが取れてしまったというのだから……致命的かつ「初歩的」な欠陥である。
RCPは米国に返品された。
2015年10月28日。ウェスチングハウスは、「RCPが最終検査にパスした」と発表。欠陥ポンプのために原発建設工事が2年9ヶ月も遅れた、ということだ。
「工事遅延」=「コスト超過」。
大型RCPはAP1000の「最大のウリ」だった。
<(AP1000の)最大の特徴は、大型蒸気発生器(SG)や大型原子炉冷却材ポンプ(RCP)の採用などにより2ループ構造で1100MWe級の出力を実現した点>(『東芝レビュー』Vol.62No.11 2007年)
(AP1000原子炉冷却材ポンプ)
東芝は今も「AP1000は世界で一番安上がりな原発」と宣伝している。
<モジュール工法や鋼板コンクリート(SC)工法など最新の建設技術も採用されており、建設費の低減と建設期間の短縮が実現されている。>(『東芝レビュー』Vol.65No.12 2010年)
「革新技術」の中枢がぶっ壊れ、「東芝のウソ」が白日の下に晒された。
<現地工事での作業量が大幅に低減し、ファーストコンクリート充てんから燃料装荷まで36ヶ月の建設工期にめどを得ている。>
36ヶ月で原発が完成!?
東芝は中国政府に対し、約束していた。
「三門原発を2011年3月までに完成させます」
東芝製最新原発初号機の完成予定時に東電福島第一原発の「東芝製」3号機が爆発した。
「甘い見通し」どころじゃない。
着工から7年(84ヶ月)が過ぎても三門原発は、いまだ「建設中」である。
以上、拙書『東芝の深い闇 「原子力破産」へのカウントダウン』より
なぜ、マスコミは東芝製中国原発の工事遅延、コスト超過について何も触れないのか?
三門原発、海陽原発計4基は、建設が遅れに遅れている。
「工事遅延」=「コスト超過」。
またしても、東芝製原発の惨状を書いているのは、米ウォールストリート・ジャーナルのみ。
記事によれば、三門原発の工事の遅れに業を煮やしたダニエル・ロデリック(ウェスチングハウス社社長)により、現地に派遣されたジェフ・ベンジャミンは、現場のありさまに驚愕したという。
打ち立てのコンクリートを作業員が砕いていた。強度不足発覚。やり直し。
この工事の資材代金、人件費は東芝に請求される。
<建設はさらに遅れ、顧客である中国国家核電技術公司の怒りを買った。>
「怒った」だけですむはずがない。
しかし、日本のマスコミは、近年に生じた「東芝の中国への支払い義務」については何も書かない。
東芝の巨額損失事件は、半分が公表されただけなのだ。
ジェフ・ベンジャミン ウェスチングハウス・バイスプレジデント
| 固定リンク
« 朝日新聞よ、恥を知れ!「トランプ大統領就任で終末時計すすむ」のニュースで「地球温暖化」と書いたのは日本の新聞だけ 温暖化対策に年間7000円を取られている日本人はまさに世界の孤児だ | トップページ | 東芝巨額損失事件 サウスカロライナの闇「VCサマー原発2基完成は、少なくとも2年遅れ、コスト超過は16億ドル」ウェスチングハウスと原発所有企業スキャナは、紛争処理委員会で現在も大ゲンカ中 »
この記事へのコメントは終了しました。
コメント