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2016年12月31日 (土)

原発企業幹部、ジェイク・ホートンはなぜ、爆死したのか? 東芝は「社内殺人事件」を起こした会社となぜ、今もチームを組みボーグル原発を建設しているのか?

米国の原発建設補助金とは何か?

四半世紀以上前に起きた「社内殺人事件」が原発建設補助金の闇に、一瞬だが、光を当てた。

1989年4月10日。米電力会社サザン・カンパニー子会社、ガルフ・パワー・ユニット副社長のジェイク・ホートンが爆死した。

その日、ホートンは社が所有する専用機に乗り込んだ。

目的は大きくふたつあった。ジョージア州アトランタのサザン本社に乗り込み、役員と対決すること。そして、米連邦検事と面会し、サザンの不正経理、電気料金の不正請求、政治家への不正な献金などをぶちまける。

離陸の数分後、専用機は爆発する。

同じ日、警察に匿名の電話が入った。

「ガルフ・パワー・ユニット社への捜査をやめるのなら今のうちだぞ」

 

ウォールストリート・ジャーナルは、米原発の歴史についてこう書いている。

<1966年から1986年に建造された75の原子力発電施設は、計画当時の3倍のコストがかかった。>(2008年3月12日)

最悪の「コスト超過」はどこだったのか?

<ボーグル原発は、10倍以上のコストがかかった。>

ボーグル原発を建設したのは、東芝が買収したウェスチングハウス。建設現場で働いていたのは、東芝巨額損失の発生源であるストーン・アンド・ウェブスター(S&W)社に雇われた人たちだった。

1976年8月1日に着工したボーグル原発2号機が、商業運転を開始したのは1989年5月20日。建設には、なんと、12年9ヶ月もかかっている。ボーグル原発の建設費は、1・2号機合計で88億7000万ドル。

 ジェイク・ホートンが殺されたのは、史上最大の工事遅延、コスト超過を起こした原発の運転開始40日前だった。

「原発建設で発生した巨額損失を取り戻そうとして、サザン・カンパニーは顧客に不正な電気料金を請求している」

 彼が告発したかったのはそれだけだったのだろうか。

 いや、それ以前に、ボーグル原発建設の「10倍以上のコスト」を支払ったのは誰なのか。

 

 S&Wの仕事は、1970年代からずっと「詐欺」だ。

この事実を明らかにしたのは、ニューヨーク州ロングアイランドにある「たった一日稼働しただけで閉鎖された」ショーラム原発をめぐる裁判記録だ。

 1985年。市民団体からの依頼を受けた「企業探偵」グレッグ・パラスト(現在はジャーナリスト)は、S&Wと原発を所有するロングアイランド電力が取り交わした膨大な文書を入手した。

 ショーラム原発は1970年に運転を開始するはずだった。

 1973年。ロングアイランド電力は「原発はあと1年ほどで完成する」と政府に説明した。

 米政府は激怒した?

 いいえ。まったく逆だった。

「あと1年でできるのなら国民の血税5億ドルをつかってもいいよ」

 これが原発建設補助金である。

 1974年。ショーラム原発は完成しない。

 同じことが繰り返された。

 ロングアイランド電力はまたしても5億ドルを手に入れた。

 S&Wにとって、こんなおいしい話はない。

「工期を守るために懸命に働く」というが建設会社の使命だが……。

 突貫工事で原発を作り、お金を貰ったら、建設会社は次の仕事を探さなければならないが、原発建設は違う。

「仕事をしない」「工期を守らない」と決めたら、政府が国民の血税を振り込んでくれる。

 つまり、「働かない」ことが「安定収入」を生むのだ。しかも、仕事は途切れない。社員を養うために営業に走り回る必要もない。

 詐欺は14年間も延々と続いた。

 1988年。ニューヨーク市民が電力会社を訴えた。

「ロングアイランド電力は顧客の損害130億ドルを支払え」

 この裁判は「もうひとつの原発建設助成金」をめぐるものだ。

 それは「原子力の二重取り」と呼ばれている。

 米国の原発には政府の補助金(税金)だけではなく、ふたつの「奇妙な装置」が取り付けられている。

 ひとつは「Early Cost Recovery(早期コスト回収)」。もうひとつは「Construction Work in Progress(建設作業進行中)」略してCWIP。

 装置の仕組みをボーグル原発1・2号機のケースでみていこう。

「原発2基を工期4年、総工費9億ドルで建設します」

 電力会社がそう宣言して、建設が開始される。「建設作業進行中」なので、電力会社は9億ドルの最大3分の1、3億ドルを電気料金に上乗せすることができる。百万世帯に電気を売っていたとしたら、300ドルの電気料金値上げが認められているのである。

「4年ではできませんでした。あと3億ドル必要です」

 電力会社はウソついていたわけだが、米国政府は叱りもしないでこう言う。

「そうですか。1億ドルを電気代に上乗せしていいですよ」

 なぜなら、「建設作業進行中」だから。

 100万世帯に「原子力の明かり」がともる10年も前から、住民は原発建設費を払い続ける。電力会社はリスクを社会に押し付け、自分の利益はがっちり守る。

 米国原発の工事が遅れ、コストが平均3倍に膨れ上がった理由は、このシステムにある。

 システムがある限り、犯罪は繰り返される。

 

 ブルックリン連邦裁判所は、ロングアイランド電力に43億ドルの支払いを命じた。

ショーラム原発訴訟は市民が電力会社に勝訴した、むちゃくちゃに数少ないケースのひとつだが、グレッグ・パラストの筆は怒りに満ちている。

<泣いたヤツはいない。原発を建てるために何一〇億ドルも儲けたストーン・アンド・ウェブスター社も、もちろんだ。同社は判決にもかかわらず、五万ドルの調整手当を得た。>(『告発! エネルギー業界のハゲタカたち』早川書房)

 主犯は罰金刑すら受けずに、逆に国民の血税を政府から恵んでもらっていた。

<「大ウソつき度」を比べるなら、いまはなくなったロングアイランド電力は、最悪とはいえない。私が調査した一〇か所あまりの原発企業について、一つの例外もなく言えることがある。「不正」は、セメントや鉄鋼と同じくらい、原発建設には必要不可欠な材料だという点だ。>

 

 連邦検事に会う直前に爆死したジェイク・ホートンがぶちまけようとしたもの。それはドナルド・トランプが「システム」と呼ぶものに他ならない。

 ウェスチングハウス、S&Wによって10倍もの建設コスト超過を浴びせかけられたサザン・カンパニーは倒産寸前だった。倒産寸前だったからこそ、電気料金の不正請求から社内殺人へと至る道を転げ落ちていった。

 サザン・カンパニーを救ったのは誰か?

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