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2016年9月 6日 (火)

脱原発テント強制撤去「これから逮捕される人にそれを知らせることはできない」(東京新聞社会部記者)

 私が東京新聞を取材したのは「記者には記者の言い分があるはずだ」と考えたからだ。

<脱原発テント、未明に強制撤去「外に出たらマスコミがいた」>(田中龍作 ブロゴス 2016年8月21日)

 東京新聞を含むすべての新聞が、脱原発テント強制撤去の日時を知っていた。

<権力はマスコミを引き連れていた。警視庁記者クラブあるいは司法記者クラブへのリークであることは明らかだ。>

 東京新聞本社は、テントからワンブロックしか離れていない。徒歩2分。脱原発テントを最も熱心に取材してきたのは東京新聞だ。

 なぜ、強制撤去の日時を教えてくれなかったのか?

 東京新聞社会部記者の言葉を聞いて唖然とした。

「たとえば……たとえば、ですけど、誰かが逮捕される、とわかったとき、逮捕者にそれを知らせるか、というと、それはできない」

 どういう意味なのか?

 記者が市民に情報を伝えていたら、状況は大きく変わっていた。

 2012年1月。当時の民主党政権が脱原発テントを撤去しようとしたとき、何が起きた?

 撤去期限の1月27日。500人を超える市民が駆けつけた。警察は近づくことすらできなかった。

「テント撤去の報を聞いたら、いつでも駆けつける」

 市民の意思は今も変わっていない。

 田中龍作氏のレポートにはこうある。

<連れて来てもらったことへの恩返しなのか。マスコミは道路の中央分離帯から望遠レンズで撮影した。新聞テレビは政府と原子力ムラの広報機関であることが改めて明らかになった。>

 取材自体が「警察の仕切り」で行われた可能性が高い。

 8月21日午後1時半。テント跡地で取材していたフリーのカメラマンが逮捕された。

「これから逮捕される人に、それを伝えることはできない」

 新聞記者が立つ場所は、「市民の側」なのか? それとも「権力が仕切る空間」なのか?

 脱原発テント撤去の前日。沖縄・高江で沖縄タイムスと琉球新報の記者が警察に拘束された。

 8月20日午前。ヘリパッド建設資材を搬入する車両を止めようとして市民約50名が高江橋に座り込んだ。

<排除の様子を撮影していた本誌記者は機動隊員に2度も両腕をつかまれ、背中を押されて約40メートルも移動させられた。2度目は車両の間に押し込められた。約15分の不当な拘束により、記者は市民排除の様子を取材できなかった。>(琉球新報 社説 8月22日)

<本誌記者は午前10時26分すぎ、排除の様子を取材していたところ、機動隊4人に囲まれた。背中を強く押されながら、バスとバスの間に連れて行かれ、すでに拘束された市民ら15人と一緒に押し込められた。>(沖縄タイムス 8月21日)

 この事件を東京で報道したのは、東京新聞ただ一紙だった。

<警察 報道の自由侵害><記者ら沖縄で一時拘束 東京で逮捕>(東京新聞 8月23日)

<こうした度を越した警察の強権的な対応は、報道の自由を侵害している。>

 もし、東京新聞の記者が脱原発テント側に強制撤去の日時を伝えていたら、多くの市民が駆けつけ、高江橋と同様の事態が東京・霞ヶ関でも起きていただろう。そのとき、東京新聞の記者は「市民とともに拘束される側」にいただろうか?

「これから逮捕される人に、それを伝えることはできない」

 沖縄では、反対派の車両の屋根に上り、「報道の自由」を叫び、最後まで抵抗する地元紙記者の姿が記録されている。

 それが「市民のために権力を監視する」新聞記者の真の姿ではないのか?

 東京新聞は、脱原発テント強制撤去を最も大きな紙面で報道した。

<脱原発テントは消えても 避難者を優しく支えた場「またみんな集まってくる」>(東京新聞8月22日)

<「何も持たずに逃げてきた。こんな私をテント村の人たちは優しく支えてくれた。その第二の古里を返して」

 原発事故直後、福島県双葉町から避難し、東京都港区で暮らす主婦亀屋幸子さん(七二)は、テントのなくなった経産省前で涙ながらに語った。毎週金曜日の集会に通い続けた。市民団体のメンバーからの電話で未明に駈け付けたが、テントの撤去作業を見守るしかできなかった。>

 避難者を「見守るしかない」状態に追いやったのは誰なのか?

 私は東京新聞に現場にいた記者への取材を申し込んだが、返事はない。

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