「住民にはまったく健康被害がない」TBS報道の直後に退避する自衛官が「原発が爆発する」「100キロ以上離れて!」マスコミが市民を見殺しにした2011年3月14日
<14日午後9時ごろ。第一原発の西25キロにある葛尾村役場では、松本允秀(まさひで)村長(73)らがテレビを囲んで情報収集していた。電話はすでに使えなくなっていた。>(朝日新聞 2011年9月11日)
家を追われ何も持たずに逃げてきた人たちにとって、テレビの情報しかなかった。
住民にとっての「ただ一本の命綱」で、斗ヶ沢秀俊・毎日新聞編集委員が勝手に「安全宣言」をした。
「健康に問題がないということを強調しておきたい」
「まだ避難勧告の範囲内にいらっしゃる方々がいるということですけれども、そういう方々も含めて、住民にはまったく健康被害がない」
それから1時間もたたないうちに……。
<東日本大震災発生から4日目の3月14日午後9時40分すぎ。福島県南相馬市役所1階にいた江井(えねい)芳夫課長(56)は、正面入り口から入ってきた迷彩服姿の自衛官が発した言葉に驚いた。
「原発が爆発します。退避してください」
自衛官は階段を駆け上がり、各階で「100キロ以上離れて」と呼びかけた。>
<原発の状況は、放射能汚染は……。市は情報を集めようにも、地震と津波で通信網がやられ、外部とつながるのは災害用の衛星携帯電話一つだけ。県の災害対策本部からは情報がほとんど来なかった。
駐車場の自衛隊車両は赤色灯を回し、内陸方面に向かっていく。職員たちは色を失った。>
この報道が正確なら、市民よりも先に自衛隊が逃げ出した。
この時点ですでに、日本は国家の態をなしていない。祖国が崩壊した。
<情報は正しいのか。急いで県の災害対策本部に真偽を確かめた。「原発にそうした動きはない」と確認が取れたのは午後10時5分ごろ。その10分後、桜井勝延市長(55)も県から同じ回答を得た。市職員が説明のために避難所を回った。
しかし、市民は目の前の光景を信じ、情報はメールや口づてで広がっていた。避難所を出ていく人が続出。石神第一小学校では、1100人の避難者が翌朝には800人に減った。>
3人にひとりは、国家、地方自治体、マスコミの情報を信じなかった。自衛官を追って逃げた。
このとき、防衛省に多くの記者が詰めていた。
なぜ、テレビは自衛隊退避を報道しなかったのか?
石神第一小学校の混乱は、日刊ゲンダイも報道していた。
<14日の深夜。
町全体が壊滅状態の福島県南相馬市の石神第一小学校の体育館には、 津波から逃れてきた1000人もの住民が避難していた。燃料もなく体を寄せ合って眠っている中、突然、自衛隊がジープで乗りつけ、避難住民に向けて大声で叫んだ。
『私たちは上(北沢防衛相?)の命令で退避するように命じられたので南相馬市から引き揚げます。 これは私見ですが、福島原発は非常に危険な状況にきていると思います』
そう言うやいなや、隊員たちはジープに乗って去って行ってしまった。
館内は騒然となり、避難住民は出口に殺到。止めてあったマイカーに分乗し、大急ぎで福島市方面に逃げ出した。>(2011年3月18日)
複数の新聞が報道しているのに、5年半が過ぎた今、石神第一小学校で起きたことは「デマだ」とされている。
「自衛隊退避」の第一報が毎日新聞だったことは、「歴史の皮肉」では片づけられない大問題だ。
<東日本大地震 防衛省に「東電不信」 陸自特殊防護隊が撤退>(毎日新聞3月16日02時30分配信)
<東京電力福島第1原発の爆発事故の応急対策を巡り、自衛隊が東電の対応に不信感を募らせ一時撤退する事態に発展。政府内でも被災地への救援物資輸送で調整不足も露呈、支援活動でもぎくしゃくぶりが目立っている。【西田進一郎、坂口裕彦】
「安全性が担保されていない。慎重に対応すべきだ」。14日夜、北沢俊美防衛相ら防衛省幹部の会議で折木良一統合幕僚長が指摘した。幹部の一人は会議後、「給水活動は危ないのでしばらくできない」と語った。
きっかけは14日に起きた同原発2号機の爆発事故で給水作業中の隊員4人が負傷した事故。東電からは「安全だから」と言われて指示された活動だっただけに、安全性に対する東電などの判断に疑問が噴出した。防衛省は14日夜、現地に派遣した中央特殊武器防護隊150人など計180人を原発近くの政府などの拠点施設オフサイトセンターから60キロ離れた陸上自衛隊郡山駐屯地(福島県郡山市)まで退避させた。午後にオフサイトセンター自体が約60キロ離れた福島県庁に移されたが、自衛隊が後退したのはその15時間前だった。
中央特殊武器防護隊は核・生物・化学(NBC)攻撃を受けた際、有害物質を検知し、部隊を安全なところに誘導したり、汚染された隊員を除染するのが主な任務。今回行った民間人の除染は国民保護法に定められた活動だが、原発事故への対応は想定外だった。防衛省関係者は「原発関連のノウハウは防護隊は分からない。安全性や、どの現場に向かうかの判断は東電や原子力安全・保安院に従うしかない」と不満を漏らした。>
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