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2016年8月 2日 (火)

「テレビ局の出演依頼に勝手に応じるな」(世耕弘成)テリー伊藤起用「郵政民営化ってそうだったんだ通信」新経産相は何者なのか?

 世耕弘成新通産相とは何者なのか?

 2013年11月のメルマガを採録します。

「私は問いたい、郵政民営化、賛成か反対か」(2005年9月11日。衆院選投票日の新聞広告)

 なぜ、こんな乱暴な問いかけで小泉純一郎と自民党は勝利したのか?

 大企業の中の大企業、NTTの広報マンだった世耕弘成は、選挙の前年に自民党改革実行本部の事務局次長に就任。「改革メニュー」のなかに「広報改革」をねじ込んだ。選挙の直前には自民党内に「コミュニケーション戦略チーム」(コミュ戦。またの名を「チーム世耕」)を立ち上げた。

「改革」の正体とはいったい何で、自民党の何が変わったのか?

 情報戦は秘密裏に行われなくてはならないが、「チーム世耕」も失敗を犯している。

「B層」プロパガンダが表に出てしまったのだ。

<具体的なことはわからないが小泉総理のキャラクターを指示する層>

 内閣府から宣伝企画を受注した、広告会社「スリード」は「B層」をそう定義している。

<マスコミ報道に流されやすく「IQ」が比較的低い>

<B層にフォーカスした、徹底したラーニングプロモーションが必要と考える。>

 簡単に言えば「バカを狙え!」ってことである。

 裏を返せば「小泉内閣はバカが支えている」ってことでもある。

 

「スリード」が内閣府に提出した「郵政民営化・合意形成コミュニケーション戦略(案)」には、「IQ」を縦軸に、「構造改革にネガティブかポジティブか?」を横軸にしたグラフが登場する。

 IQが高く構造改革に賛成する人は「A層」。

<財界勝ち組企業><大学教授><マスメディア(TV)><都市部ホワイトカラー>

 これらの人たちは、

<エコノミストをはじめとして、基本的に民営化の必要性は感じているが、これまで、特に道路公団民営化の結果からの類推上、結果について悲観的な観測を持っており、それが現状の批判的立場を形成している>

 IQが低く構造改革に賛成する人は「B層」。

<小泉内閣支持基盤><主婦層&子供を中心><シルバー層><具体的なことはわからないが、小泉総理のキャラクターを支持する層><内閣閣僚を支持する層>

 これらの人たちは、

<最も重要な点は、郵政の現状サービスへの満足度が極めて高いこと><民営化の大儀と構造改革上の重要性認識レベルを高めることが必要条件>

 IQが高く構造改革に反対する人は「C層」。

 これらの人たちに関する説明はただひと言。

<構造改革抵抗守旧派>

 IQが低く構造改革に反対する人には「○層」という名前すら与えられていない。

<既に(失業等の痛みにより)構造改革に恐怖を覚えている層>

 つまり、「C層」と「名前のない層」に対しては「合意形成」プロパガンダを行っても無駄、ということだ。

 ターゲットはあくまで「B層」だが、

<前述のターゲットB層とは異なるが、B層に強い影響を与える、A層に対してのラーニング手段として、Webを活用する方法を提案したい。>

「A層」に対する「教育」も必要だ、というのである。

 やつらは具体的に何をやったのか?

<竹中平蔵氏と佐藤雅彦氏による対談「経済ってそういうことだったのか会議」(日本経済新聞社)の発刊は二〇〇〇年四月。小泉構造改革内閣誕生の一年前である。いわば、この本により、旧来とかく理解しがたい経済問題が、はじめて一般生活者によって理解可能な次元を切り拓かれ、高い支持率による小泉政権発足の原動力となった、とも考えられる。>

「B層」は竹中平蔵が書いた本を読まないから、

<公人としての竹中大臣発話に対して、対話者である識者が、生活者レベルでの理解可能な直喩と暗喩を駆使して、理解&納得可能なカタチに翻訳する。>

「A層」と「B層」をつなぐ「翻訳者」がプロパガンダのキーを握っている、というのである。

 実際に選ばれたのは放送作家のテリー伊藤だった。

『郵政民営化ってそうだったんだ通信』という新聞折込チラシが全国にばら撒かれた。

Photo_3

 プロパガンディスト・テリー伊藤が竹中大臣の言葉を「翻訳」「言い換え」をすることで、はじめて「B層」に届き、

<あ、わかった……なるほど、そーゆーことか>

「B層」は自民党に投票する。

<対話者は、学識経験者・識者にとらわれず、広く世の中、ターゲットから信頼を勝ち得ている著名人をセレクトしていく><彼ら自身がTV番組や連載記事などで発話空間を有していて、民営化の理解、合意が波状的に拡がるように設計する>

 めちゃくちゃになってしまった「世の中」は、プロパガンディストによって「設計」されたのだ。

 

「本日、衆議院を解散いたしました。それは、私が改革の本丸と位置づけてきました、郵政民営化法案が参議院で否決されました。いわば、国会は郵政民営化は必要ないという判断を下したわけであります」

 2005年8月8日。小泉純一郎の記者会見での言葉だが……。

 改めてびっくり!

 こんなむちゃくちゃな「リーダー」の言葉があるか!?

 参院議員は選挙で選ばれた国民の代表ではないのか!?

「私が改革の本丸と」勝手に「位置づけた」から議会制民主主義を否定してもいいのか!?

「いわば、今回の解散は郵政解散であります。郵政民営化に賛成してくれるのか、反対するのか、これをはっきりと国民の皆様に問いたいと思います」

 小泉の暴走には自民党内からも反対の声が噴出した。

 島村農水大臣は解散詔書に関する閣議決定文書にサインしなかった。小泉は閣議を中断し、天皇の承認を得て島村を罷免した。小泉自身が農水大臣を兼任することで、解散をごり押しした。

 このとき、小泉純一郎は完全な劣勢に立たされていた。

 当時、国民の一番の関心事は「食い逃げされた年金問題」であり、郵政民営化など二の次、三の次だった。

 小泉純一郎が唯一、優勢だったことは、大多数である「B層」が小泉のキャラクターに好感を持っており、

「岡田克也民主党代表は悪役」

「小泉にはリーダーシップがある」

 そんなプロレス的な闘いの構図があるのみだった。

「このまま郵政一本で選挙を闘えるのか?」

 世耕弘成にも迷いはあったようだ。

「チーム世耕」は毎朝10時に会議を開き、モニタリングを強化した。

 PR会社「プラップ」から加わったスタッフは世論の動き、揺れを細かく報告した。

「テレビでは年金の話題が圧倒的に多いですよ」

「あのコメンテーターは『郵政なんて』のひと言で切り捨てていましたよ」

 世耕はこう語っている。

<非常に悩みました。ここで自民党の年金政策はこうですよ、あるいは民主党の年金政策の問題点はこうですよ、と指摘するような広告を打った方がいいのではないかと検討しました。>(「すべてセオリー通り、です」『論座』2005年11月号)

 小泉が放った「刺客」には「落下傘候補」との批判がつきまとった。

<また、「落下傘」であることに批判を受けている人が多いので、その批判への答え方を教えた。初期のテレビ出演ではみんな、ものすごく答え方が下手でした。理屈で答えちゃうんですよ。「祖父が昔、2年くらいここで仕事をしていたことがある」とか「昔、観光でここに来て素晴らしい土地だと思っていた」とか。それだと、じゃあ何でその時に住まなかったんだとなっちゃうわけです。>

 世耕の対策は「刺客」を自動人形のようにして、同じことをしゃべらせることだった。

<私は骨を埋めるつもりで来ています。何か文句あるんですか」、それで通せと。住民票も本籍も移しました、選挙に勝とうが負けようがここに住み続けるんですよ、何か文句あるんですかと。それでも執拗に言われたら、この選挙区には大きな工場があって、東北や九州から働きに来て、この地域に根づいて頑張っている人がいますが、あなたはそういう人を否定するんですかと。>

異口同音作戦。「刺客」「小泉チルドレン」の正体は、世耕弘成の操り人形だったのである。

<プラップは日本で唯一、ちゃんとしたメディアトレーニングができる会社です。>

<候補者はやっぱりテレビで討論をする機会が多い。特に「刺客」――あまり刺客と言ってはいけないんですが――は、テレビに引っ張り出されて相手候補と討論させられるケースが多いのですが、相手は現職の政治家ですから言い負けてしまう。だから討論のテクニックや、絶対に首をかしげたらダメだとか、腕を組んだら困っているように見えるとか細かいところも教えました。>

 メディアトレーニング、モニタリング、リスクマネジメント……。

 2000年代半ば、世間は書き割りに、私たちの代表である政治家は張りぼてになってしまった。

 

<特定秘密保護法、とても危ない法律だと思うが、テレビでほとんど扱われない。なぜかと聞いた。視聴率がまるでこないからだと言う。困った事だ。>(田原総一郎のツイート)

 ……呆然である。

 田原総一郎らが開拓してきた、いわゆる「ニュージャーナリズム」の起源のひとつは、ボブ・ウッドワードらニューヨークタイムズ記者のウォーターゲート事件報道である。「ディープスロート」という言葉が流行語となった。

 記者が取材の過程で権力中枢にいる匿名の情報源「ディープスロート」をつかまえる。

 まさに特定秘密保護法が標的にする取材手法である。

 田原総一郎のノンフィクションは特定秘密保護法違反である。最高懲役10年及び罰金1000万円。10年間、監獄に閉じ込められるだけではなく、破産もさせられるのだ。

 最も大きな声で「反対!」を叫ばなければならないはずの田原総一郎が「困った事だ」ですませてしまう。しかも、

「視聴率が取れないからしょうがないじゃん」

 ここまでジャーナリズムが劣化してしまうと、戦争が起きる。私はそう思う。

『ご臨終メディア』(集英社新書)によれば、森達也さんはメディア関係者の勉強会で日本テレビの報道局記者にこう尋ねた。

「大騒ぎになっている有事法制をなぜ、日本テレビは取り上げないのですか?」

 その答えを聞いて、20人ぐらいの参加者がみんな呆然となった。

「だって数字こないんですよ」

 他の参加者が突っ込んだ。

「じゃあ日本テレビはニュース項目を数字で決めているの?」

 テレビの記者は間髪入れず、

「当たり前でしょう」

 世耕弘成ら「スピン・ドクター」が狙いを定めたのは、そんなマスコミの惨状なのだ。

 

「自民党をぶっ壊す!」

 視聴率の取れるベビーフェイス(いい役)をでっち上げる。

「田舎には1000万円の貯金をしている人はいない」

 視聴率の取れるヒール(悪役)をでっち上げる。

「郵政民営化に反対するやつはすべて抵抗勢力だ」

 テレビの時代劇のような視聴率の取れる「対立の構図」をでっち上げる。

 PR会社が参加者を演技指導し、お芝居をやらせる。

 プロパガンダの基本中の基本は「説得をしないこと」である。

「よくわからないけど、スカッとするね」

 国民の大多数を「よくわからない」ままの状態にする。

「よくわからないけど、面白い」

「B層」は「勝ち組」に加わりたい、と思う。

 選挙で自民党が圧勝する。

 狂った「メディア空間」が生まれ、それがそのまま日本の「世間」となる。

 私たちはすでに「戦前」を生きている。

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