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2016年8月 3日 (水)

「脱原発テント」不当判決 そこはマスコミをぶっ飛ばす言論の場「パブリック・フォーラム」これからも経産省前に集まろう!

 経産省前「テントひろば」の撤去をめぐる裁判で最高裁が上告を退けた。

<国から訴えられていた渕上太郎さんは「いささかもたじろがず粛々とテントを守り、脱原発の旗を高く掲げて闘い続ける」>

<「私たちは幸か不幸か土地も家もない。お金がないので払えない。国が私を捕まえて強制労働させるなら大歓迎だ」>(レイバーネット 8月3日)

<福島第一原発からわずか1.2キロの地点に住んでいた亀屋幸子さんは「第一の故郷の双葉町は東電に奪われた。第2の故郷であるこのテントを奪われたら、私はどこに帰ればいいのか」と涙ながらに訴えた。>(田中龍作ジャーナル 8月3日)

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 2015年2月のメルマガを採録します。

 

「集会の自由」について、専修大学教授、憲法学者の内藤光博さんはこう書いている。

「集会の自由」の意義としては、以下の点が重要であることが指摘されている 。

 まず挙げられるのは、巨大な資金力を持つマス・メディアによる言論市場の支配的独占状態により阻害されている「一般市民」の意見表明権の保障という点ある。>(東京地裁への意見書)

「言論市場の支配的独占状態」を作ったのは誰か?

 マスコミ対策に年間2000億円をつかっていた電力会社である。

<事故前の2009年度、東電の広告宣伝費は約245億円、販売促進費約240億円。さらに中部電力などの各電力会社、その連合体である電気事業連合会などを含めると年間2000億円にものぼる巨大な電力マネーがメディアに流れているのだ。>(神林広恵「東電広告&接待に買収されたマスコミ原発報道の舞台裏!」『原発の深い闇』別冊宝島)

「阻害」は私も何度も体験してきた。

 原発について私は何度も企画書を書いてきたが、すべて出版社によってボツにされた。

 ボツにされて怒った?

 いや、私は妙に納得していた。

 企画を持ち込んだ出版社の雑誌を開く。雑誌のど真ん中にあるカラーページ……出版社が最も多くのカネを稼げる広告スペースには、決まって電力会社とその連合体である電気事業連合会などが出稿している。

 それを見て「しょうがねえなあ」と思っていた。今となっては「犯罪的態度」である。

こうしたもっぱら情報の「送り手」であるマス・メディアの言論市場の支配状況もとで、もっぱら情報の「受け手」に置かれ、資金力をもたず有効な意見表明手段を持たない一般市民が、とりわけ政治・経済・社会問題について、自らの意見を国家や市民社会に向けて表明し、異議申立てを行う方法として、「集会の自由」や「集団行動(デモ行進など集団示威運動)の自由」の保障が位置づけられる。>(内藤博光)

表現活動やその一類型である集会には、それを行うための手段(言論・出版・多種多様な表現手段、また集会や集団示威運動なども手段ではあるが)や物理的空間(場所)が必要となる。表現の自由が保障されるためには、それを行うための空間、すなわち誰もがアクセスすることのできる「公共空間」の利用が保障されなければならない。こうした言論のための「公共空間」を「パブリック・フォーラム(公共の言論広場)」とよぶ。>

 パブリック・フォーラム……これこそが我が国に最も欠如していたものである。

 私は職業訓練によって言論空間に「侵攻」し、領土の拡大とともにより多くの活字とお金(原稿料)を得てきたが、その行為によって阻害され殺された言葉はいったいどのくらいの量になるだろうか?

 そのことを私はメディア空間から阻害されることで初めて思い知らされた。

<これまでのアメリカの判例論の「パブリック・フォーラム」法理の展開の中で、ある空間(場所)が「パブリック・フォーラム」と判断されると、その場所での表現活動は全面的に禁止することはできず、そこでの時・方法などの規制は合理的なものでなければならず、すべての表現者に平等にアクセスが保障されなければならないとされ、その場所における所有権や管理権よりも、その場所の本来の利用目的と両立されるべきか否かが問題とされるに至った 。>

<本件におけるテント設営および居住の場所土地(明渡しの対象となっている経産省前の土地)は、経産省の北側の交差点角に位置し、経産省の敷地(すなわち、国有財産)ではあるが、敷地を区切る柵外にある半円形をした形状の空間である。面積は8963平方メートルあり、霞ヶ関付近の建物の案内板が設置されている。経産省ビル前庭との間には柵を挟んでベンチ本石が置かれており、その目的は特定されていない。筆者の見る限り、一般市民の交通などの利便に供せられるべく提供された「公開空地」と評価される。>

 それは本当に狭い一角にすぎない。

<経産省はこの空地を何らかの公共目的をもって利用しているわけでもなく、市民団体側は平和のうちに表現活動を行っており、言論活動を行おうとする他者との競合もない。>

<経産省前「テントひろば」はいわゆる「パブリック・フォーラム」にあたり、経産省の管理権よりも市民団体側の「集会の自由」の保障が優位されるべきことである。>

 そこは言葉を殺し続けてきた私の弔いの場でもある。

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