原爆と原発メーカー 広島の人ひとりを「2600万円の札束にかえた」東芝子会社ストーン&ウェブスター
広島への原爆投下で「最も儲かった企業」は今、東芝の子会社になっている。
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身の毛がよだつような相手でも、ヨーロッパでは敵は人間だった。しかし、太平洋戦線では、日本人がまるでゴキブリかネズミのように見られていることがわかった。
従軍記者 アーニー・パイル 1945年2月
思慮分別のないジャップは、人間らしさを示すものが何ひとつない。
米国の雑誌『タイム』
2016年1月5日。東芝は「CB&Iストーン・アンド・ウェブスター社の買収が完了した」と発表した。
東芝は、子会社ウェスチングハウス(WEC)の新型原発「AP1000」を建設する会社を買った。株式100%取得。買収金額は非公開だが、ブルームバーグの報道によれば、2億2900万ドル。約270億円。
ストーン・アンド・ウェブスターには、日本人が絶対に忘れてはならない過去がある。
「マンハッタン計画」の最高責任者、レスリー・R・グローブスが書いた『私が原爆計画を指揮した』(恒文社)という本を読んでみてほしい。
<こうした条件からみて、私は最適の候補地はテネシー州のノックスビルに近いところであるという結論に達した。マーシャル大佐が私の見解に同意したので、彼とニコルズ中佐は部下やストーン・アンド・ウェブスター社およびテネシー川流域開発工事管理局の代表者とともにノックスビル一帯の現地調査をはじめた。>(14ページ)
最初に登場する企業名がストーン・アンド・ウェブスターなのだ。
<それから数日後、シカゴ治金研究所で会議が開かれた。コンプトン博士はウラン酸化物の不足を心配していたので、ストーン・アンド・ウェブスター社はこれを早急に購入するよう手配した。>
実際にウランを運んできた会社はどこだったのか?
<……ウェスチングハウスが、マンハッタン計画の正式スタートから三ヶ月後、早くも三トンという大量の純粋ウランを本部に届けた。>(広瀬隆『東京が壊滅する日』ダイヤモンド社)
ストーン・アンド・ウェブスターとWECが調達したウランが、ノックスビルから広島に運ばれ爆発した。
1945年。原爆投下により広島では「この年だけで」14万人が死亡した。
WECとストーン・アンド・ウェブスター。70年前の悪魔の同盟が、2016年1月に東京芝浦で再び合体したのである。
ストーン・アンド・ウェブスターは「マンハッタン計画」のほぼすべての施設を建設した。
以下、この会社が「殺人を札束に変える」ビジネスモデルを解説しよう。
「マンハッタン計画」最高責任者、グローブスによれば、オークリッジ「Y―11」ウラン分離・濃縮工場の建設費は1200万~1700万ドルと見積もられていたが、すぐに3500万ドルに増やされ、最終的には3億400万ドルに膨れ上がった。米国国家予算比較で現在の価値に換算すると約1兆2240億円!
予算総額は5億4400万ドルで(運転費2億400万ドルなど)、建設費は予算総額の55・89%を占めている。
「マンハッタン計画」全体の予算は22億ドルで、現在の価値に換算すると約10兆円!!
グローブスの著書が正確なら、原爆工場を建設したストーン・アンド・ウェブスターは、約5兆5890億円を得た計算になるのだ。
賢明な読者なら、次の事実を承認してくれるはず。
「日本は原爆投下の数ヶ月前から戦争終結を模索していた」
「原爆を投下されなくても日本は降伏していた」
原爆投下による死者は、「その年だけで」広島14万人、長崎7万4000人。計21万4000人。
ストーン・アンド・ウェブスターが得た金を21万4000で割ると……。
この会社は、日本人ひとりの命を2611万6822円の札束と小銭に変えた計算になるのである。
1千万円の札束は「レンガ」と呼ばれるが、煉瓦2つ半。
広島・長崎で死んでいった人たちは「炎を上げる炭」と表現された。銀行の前で「単なる影」となり消滅した人もいた。
<ウェスチングハウスの研究所に帰る決心をしました。>
<ここ(「マンハッタン計画」ロスアラモス研究所)にいれば、ウェスチングハウスにいるよりも、より戦争に役立っている、という強い確信を持つことはできませんでした。>
コンドン博士のオッペンハイマーへの手紙。
「私はあなたたち日本人を傷つけてしまった」
アルバート・アインシュタインが湯川秀樹に初めてかけた言葉。
<「米国による原子爆弾の開発は必要であったのか?」という質問に対する答えとして、私は率直に「必要であった」と答える。「原子力というものは善の力か悪の力か?」との質問に対しては、私はただ「人類が欲するとおり」と答えることができるだけである。>
レスリー・R・グローブス『私が原爆計画を指揮した』
「私の名は死」
“原爆の父”ロバート・オッペンハイマー
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