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2016年8月11日 (木)

「組合員だけ」監視「東電第三者委員会報告書」の闇 消えた「米軍のパレード」「320キロ圏内から米国人全員退避」の衝撃

 7人を死に追いやった空母「ロナルド・レーガン」大量被ばく事件。

 東電の米兵への犯罪はそれで終わりではなかった。

「すみません、技術班ですけども。ええっとお、ちょっと、これまでの2号機の状況ですけど、18時22分ぐらいに燃料がむき出しになってるんじゃないかと、想定をしてます。そうすると、約2時間で完全に燃料が溶融すると。で、さらに2時間でRPVを損傷と、いうことで。まあ、22時過ぎにはRPVが抜ける可能性もあるというような非常に危機的な状況であると思います」(東電テレビ会議 2011年3月14日 19時21分)

 2号機の原子炉に水が入らない。圧力容器内の水位は水位計で計れないところまで低下。

 20時過ぎには、メルトダウン。

 22時過ぎには、メルトスルー。

 このときすでに、吉田所長は細野豪志首相補佐官に電話で危機を伝えていた。

<炉心が溶けてチャイナシンドロームになる>

<水が入るか入らないか賭けるしかないですけども、やります。ただ、関係ない人は退避させる必要があると私は考えています>

<すさまじい惨事ですよ>(朝日新聞 2014年5月20日)

 21時になると、最初の大規模放射能放出が起きた。

「なんかオフサイトセンターでかなり線量が上がってきたんですけど、そちら大丈夫ですか?」(東電テレビ会議 オフサイトセンター 22時19分)

「オフサイトセンターいくらあんの?」(武藤副社長)

「今、500」

「おお、そりゃ高いな」

 オフサイトセンターは福島第一原発から南西に5キロ離れている。

「21時37分に正門で測定しました結果ですが、3・2mS/h……」(保安班 22時20分)

「ちょ、ちょっと待ってくれ! ちょっと待って。あの、聞こえないのと、2テン、ミリシーベルトなの!?」(吉田所長)

「それ、大変だよ」(本店の武藤栄副社長)

 強烈な放射能雲が東京方面に向かっていた。

「……消防車が何か横田基地をもう、今日出るでしょ、あと1、2時間で出てきて、こっちに来て……」(吉田所長 23時8分)

 遅くとも3月15日未明。米軍の消防車が横田基地から出動していた。

 3号機が爆発した日の深夜。吉田昌郎所長が吐いた言葉は記憶されていい。

「とりあえず、明日の米軍は、各県を県の県警が先導してくれるという、パレードも兼ねてるようなことをやるんで、よろしくお願いします」(23時10分)

 パレード!?

 東電から情報を得られぬまま、強烈な放射能雲を突っ切って北上する米軍の車列を「パレード」と表現しているのだ。

 自分たちは逃げなきゃならないけど、「米軍はウェルカム」ってこと?

 

 その直後、東電テレビ会議は終わる。「ハードディスクの容量切れ」(東電の説明)で記録されていない。

 誰だってこう思うよね。

「ここから東電の“最大の犯罪”が起きた」

 なぜ、第三者委員会のヒアリングで「組合員のみ」上司が同席し監視したのか?

「ここから“しゃべってもらっちゃ困る”事態となった」

 米軍の動きにフォーカスを当てたいのだが、「米軍のパレード」もまた、ここで闇の中に消えてしまう。報道も錯綜している。

 時系列で追ってみよう。

 15日5時35分。菅直人首相、東電本店に到着。「東電は逃げるな!」という怒鳴り声とともに謎の一言を残している。

「このままだと外国が乗り込んでくるぞ」

 外国?

 米国以外、考えられない。

 6時10分。衝撃音があり、2号機圧力抑制室の圧力がゼロになったとの報告。

 6時42分。吉田所長が第一原発近場での待機を指示。9割の所員、作業員は福島第二原発へ避難した。

 9時00分。第一原発正門付近の放射線量が最高値を記録。1万1930マイクロシーベルト。

 9時38分。4号機で火災発生。

 問題はここからの報道だ。

 11時33分。日本テレビ。

「4号機の4階で火が出ているのが確認されました。このため、自衛隊とアメリカ軍が共同で消火活動をどのように行うか検討しています」

 自衛隊と米軍の混成部隊が敷地内で消火活動!?

 放射線量が最高値を記録した直後、吉田所長が兵士を4号機周辺に招き入れたとしたら、完全な犯罪だ。

「軍人は火を消して死ね」

 そう言っているに等しい。

 読売新聞夕刊一面。

<米軍が消火活動 4号機>

<東京電力は15日、火災が起きた福島第一原子力発電所の4号機の消火活動に、米軍があたっていると発表した。火災はその後、鎮火したとみられている。>

 自衛隊は消え、米軍だけになっている。

 ところが、読売系メディア以外は「原発敷地内の米兵」にまったく触れていない。

 日本経済新聞電子版。12:38分。

<東京電力は15日、福島第1原子力発電所4号機の火災で米軍に消火を要請したことを明らかにした。ただ、火災は米軍が到着する前に自然鎮火したとしている。>

 米軍到着前に火は消えた?

 吉田所長の発言が正しければ、4号機から火が出る8時間以上前に米軍車両は横田基地を出発していた。

 のろすぎる!

「到着前に鎮火」などありえない。

 米国のメディアはどうか?

<米軍は2台の消防車を原発に派遣。日本政府は追加のポンプやホースの提供を求めている。これらの消火設備は日本人が操作している。>(WSJ.com 3月17日 8:07)

「米軍のパレード」はたった2台!?

 しかも、米軍は消火設備を操作しなかった?

 米空母被爆から始まる一連の状況証拠から考えれば、つじつまが合うのはウォールストリート・ジャーナルの報道だけだ。

 原発に到着した米軍は、消防車を残し、「タッチ・アンド・ゴー」で逃げた。

 なぜ? 意気地なしだから?

 違う。情報をまったく出さない東電が、米海軍に続き、横田基地の米空軍も被爆させたからだ。

 実際、東電テレビ会議の「記録の空白」をさかいに米国政府の態度は豹変した。

 3月15日まで、米政府も米軍も自国民に対し「日本政府の指示に従え」と指示していた。

 20キロ圏内からは避難。20~30キロ圏内は屋内退避。

 しかし、その裏で恐るべき計画が持ち上がっていた。

<「半径200マイル(約320キロ)を退避勧告の対象範囲とすべきである。東京在住の米国民9万人全員を退避させる必要がある」>(船橋洋一『カウントダウン・メルトダウン』文藝春秋社)

 発言の主は、米国「太平洋戦略の要」である空母「ロナルド・レーガン」を失い、激怒したカークランド・ドナルド海軍大将。時間は15日午後。

Photo

「このままだと外国が乗り込んでくるぞ」という菅直人の懸念……実はまったく逆だった。

 菅直人に問いたい。

 汚染され、すでに失われた外国の国土に乗り込み占領したとしても、米国のメリットが何かあるか?

「日米同盟は終わった。米軍は日本から撤退する。米軍に大損害を与えた日本は滅びるにまかせろ」

 それが米海軍大将の主張だったのだ。

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