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2016年5月 8日 (日)

志賀重範東芝会長の犯罪その3 テキサス州サンアントニオ市民に対する詐欺 2兆8688億円の損害賠償請求

 2006年10月。東芝がウェスチングハウス(WEC)を買収すると、志賀重範はWEC統括事業部長、ウェスチングハウス社上級副社長というふたつの肩書きを得た。ウェスチングハウスに送り込まれた東芝の最高責任者、監督者が志賀だった。

 2008年。志賀は東芝電力システム社副社長とウェスチングハウス社上級副社長を兼任していた。

 志賀重範は、テキサス州サンアントニオの100万市民に対する詐欺の主犯だった。

 1970年代初め。テキサス州に原発を建設計画が持ち上がった。ウェスチングハウスはサンアントニオ市民に約束した。

「原発建設で電気料金が驚くほど安くなります」

 サウス・テキサス・プロジェクト(STP)原発1・2号機の着工は1976年。

「5年で運転を開始します」

 これが詐欺の始まりだった。

 運転開始は1988年。原発建設に、なんと12年もかかった。

「2基12億ドルで原発を建設します」

 これこそが究極のウソだ。

 建設費は5倍近い58億ドルにまで膨れ上がった。

 工事遅延によるコスト超過分は誰が支払ったのか?

「○年○月に原発の運転を開始します」

 原発を所有する電力会社リライアント(現在のNRGエナジー)が、ウソの宣誓証言をするたびに原発建設費は電気料金に上乗せされた。「米国の国家機密に属する」補助金が湯水のごとく注ぎ込まれた。

 サンアントニオ市民、米国民の財布からお金が盗まれた。詐取である。

 被害はそれだけではない。

 2003年。NRGエナジーは破産申告をした。

 ウェスチングハウスに原発を注文すると電力会社は破産する。

 1980年代以降、ウォール街は「原発は投資不適切」とアナウンスし続けてきたが、STP原発こそ、そのモデルケースだ。

 

「STP原発を2基増設します」

 志賀重範が、ウェスチングハウスの名刺を出してそう切り出しても、耳を傾ける米国人は誰もいない。サンアントニオ市では、ウェスチングハウスは「前科者」だ。

 志賀重範は仮面をつけた。

 NRGエナジー88%出資、設立したばかりの東芝アメリカ原子力エナジー12%出資のニュークリア・イノベーション・ノース・アメリカ(NINA)の名刺が印刷された。

「建設費折半でSTP原発2基を新設しましょう」

 仮面をつけた東芝は、サンアントニオ電力公社(CPS)に擦り寄っていった。

「ABWRは、柏崎刈羽原発で実績を積んできた東芝製新型原子炉です」

「投資環境は30年前とは大きく変わりました」

「原子力ルネサンス」の正体は、国家ぐるみの詐欺だ。

「一基あたり57億ドルで原発を建設します」

 東芝は、30年前のウェスチングハウスとまったく同様のウソをついた。

「新大統領となるバラク・オバマと話はついています」

 サンアントニオ市が原発建設費の半分、28億5000万ドルを投資する。

 30年前と同じことが起きたら!?

<債務保証 総プロジェクトの80%を超えない範囲での負債の100%を保障>(2005年エネルギー政策法)

 原発が動かなくても、サンアントニオ市は政府から22億8000万ドルのお金を返してもらえる。この金は100%米国民の血税である。

 米国エネルギー政策法にはさらに、恐るべき「保険」がついている。

<米国原子力規制委員会の審査や公聴会、訴訟に起因する全出力運転の遅れに対し、最初の2基については最大5億ドルまで遅延で発生するコストの100%を保証。>

 工事が遅れたら「政府が5億ドルくれる」という法律なのだ。

 サンアントニオ市に対し、東芝はこう言ったに違いない。

「もちろん、最初の2基に選ばれるのは、私たち東芝です」

 とんでもない大ウソ。究極のヨタ話だ。

 でも、<最初の2基>に選ばれなかったらどうなるの?

<次の4基については最大2・5億ドルまで遅延で発生するコストの50%を保証。>

 出遅れて3基目になってしまうと、もらえるお金が半分になってしまう。

「平等」の旗を高く掲げる国で、こんな法律、許されるのか!?

 この「保険」は、電力会社の鼻先にぶら下げられたニンジンだ。

「早く決断しないと、投資環境が大きく変わってしまいます」

 CPSは市営企業なのに、東芝の詐欺にまんまと引っかかってしまった。

 

 サンアントニオ市は、原発建設資金を債券によって捻出しようとしていた。

 2009年10月。原発建設のために4億ドルの債券発行を承認するはずだったサンアントニオ市議会は、大混乱に陥った。

「プロジェクトの総額が入札時より40億ドルも高いという情報を入手した。この情報は市議会にはまったく知らされていない」

 東芝の内部文書が流出。志賀重範らが仕組んだ詐欺が、議会で暴露された。志賀のウソがばれた。

 サンアントニオ市議会議員に渡った東芝の内部文書は、ジャーナリストのグレッグ・パラストの元にも送られ、『告発! エネルギー業界のハゲタカたち』(早川書房)の458ページに写真が掲載されている。

Photo_2

<57億900万ドル→142億7200万ドル÷2=71億ドル 一基につき(秘密)>

 政府に報告した原発建設費は一基あたり57億900万ドルだが、本当の建設費は2基で142億7200万ドル。2で割って一基あたり71億ドル(でもこれは秘密だよ)ってことだ。

 文書にはこんな走り書きもある。

<内密に提出。企業秘密または自己管理情報>

 東芝はウスラ馬鹿なのだろうか? こんなにあからさまでわかりやすい「秘密文書」を見たのは初めてだ。

 

 CPS幹部はすぐさま航空便を予約し、東京・浜松町の東芝本社に乗り込んだ。

「費用の増大は認められない」

 テーブルの向こう側にいたのは、まず間違いなく、志賀重範だ。

 2009年12月6日。CPSはNINAを訴える裁判を起こした。

「CPSが原発増設プロジェクトから撤退した場合、CPSが負うべき法的義務と責任を明確にするように」

「裁判長、私たちはどうしたらいいの?」という(公務員らしい?)ずいぶんおとなしい訴状だったのだが……。

 恥知らずの東芝は、なんと、カウンター訴訟で応えた。

 志賀重範の逆ギレは記憶されていい。

「CPSが投資した3億ドルを放棄してプロジェクトから撤退するか、出資を継続するか、どっちかに決めろ!」

「日本を代表するメーカー」東芝は発狂した。

 NINAの態度に激怒したCPSは、争点を変えた。

「NINA社の詐欺的契約に誘い込まれた」

 訴状には「詐欺」「不正行為」「共謀」という言葉が並んだ。

 損害賠償金の額はなんと……。

 320億ドル!!

 当時のレートで約2兆8688億円!!

 裁判に負けたら、東芝は破産していた。

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