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2016年5月11日 (水)

アメリカは東芝の「脱原発宣言」を絶対に許さない 志賀重範新会長に課せられた米政府に対する責任ある約束、使命とは何か!?

<六千四百億円。これが同時に進められていたWHの買収額だ。「狂気の計算」。本命と見られながら、二千億円も引き離されて敗れた三菱重工首脳はこう形容した。>

日本経済新聞 2006年4月20日

 

<東芝がWH出資の際に米政府が求めたのは原子力へのコミットメントだ。原子力発電所完成については16-17年までの使命だが、着工までに多くの投資をし、人員も8000人から1万3000人超に増やした。経営がうまくいっていると自信を持って断言できる>

ウェスチングハウスCEO 志賀重範 日刊工業新聞 2012年8月1日

 

 日本を代表するメーカーの「狂気の計算」。

 1999年。ウェスチングハウスは英国核燃料会社に買収された。買収金額12億ドル (約1320億円)。

 2005年9月。売却にともない公表されたウェスチングハウスの資産価値は、約2000億円。

 2006年1月。英紙が東芝のウェスチングハウス買収を報じると、東芝の株価は3日続落した。格付け各社も東芝を格下げの方向で見直した。

 ウェスチングハウス買収前。2005年9月から2006年1月まで、東芝株は90%も上昇していた。

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 三菱重工の入札額は推定4400億円。

<実は先週、買収額は四千億円台と、当初予想の倍以上に急騰した。東芝担当者も「もうだめか」と考えたが、>(日本経済新聞 2006年1月25日)

 東芝は2000億円でウェスチングハウスを買収しようとしていたのだ。

強気で「ゴー」の指示を下したのは西田社長だ。>

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 西田厚聡を発狂させたのは何だったのか?

 東芝の社内調査はこんな結論を下していた。

「ウェスチングハウスを買収しなければ、2020年までに東芝の原子力事業は世界で孤立する。機会損失も大きい」

 東芝が「失うチャンス」とは何?

 2001年5月。「戦場と原発のなんでも屋」ハリバートン社CEOだったディック・チェイニーが「国家エネルギー政策」を発表した。

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<大統領はエネルギー政策の重要な要素として原子力の拡大を支援すること>(原子力についての勧告)

 2002年2月。米エネルギー省のスペンサー・エイブラハム長官が「原子力2010イニシアチブ」を発表した。

<国家エネルギー政策の目的達成のために新規原子力発電所を10年以内に建設する>

 最大のポイントは「認可の迅速化」だ。

<早期サイト認可><新型炉の設計承認><一括建設・運転許認可>

 チェイニー一味は、米国原子力規制委員会(NRC)をガン無視して、2004年までに3つの原発新設を「認可」してしまった。

 ところが……。

 バージニア州ノースアナ原発 炉型 日立・GE連合のESBWR

 ミズーリ州グランドガルフ原発 炉型 日立・GE連合のESBWR

 イリノイ州クリントン原発 炉型未定 既存原子炉はGE社製

 東芝の名前はどこにもなかった。これこそが、東芝の「機会損失」だった。

 さらに……。2005年8月に制定された「エネルギー政策法」こそ、東芝を発狂させた「アメリカの罠」だ。

 原発6基に対し、予算総額なんと、185億ドル(約2兆535億円)!

 だたし、莫大な米国人の血税が与えられる原発は6基のみ。椅子は6つしかない。

 しかも……。

<6基の原子炉に対しNRC審査や公聴会、訴訟に起因する全出力運転の遅れに対し、最初の2基については最大5億ドルで遅延コストの100%までを保証>

 建設が遅れたら、米政府が555億円くれる、という法律なのだ。

 でも、「最初の2基」に選ばれなかったら?

<次の4基には最大2・5億ドルで遅延コストの50%までを保証>

 出遅れたら、もらえる税金が半分になってしまう!

「平等」をうたう国家でこんな法律が許されていいの?

「エネルギー政策法」は、原子力企業の鼻先にぶら下げられたニンジンだった。

「エネルギー政策法」制定と同時に、米国の名門企業だったウェスチングハウスが売りに出された。

 東芝はアメリカの罠に引っかかった。カモられて発狂した。

 

 2012年8月。日刊工業新聞は、志賀重範ウェスチングハウスCEOをインタビューした。

「次期社長と発表されていたジム・ファーランドが、就任の数日前に辞表を叩きつけたり、いろいろあったけど、ウェスチングハウスは大丈夫なの?」

 それがインタビューの趣旨だったが……。

 志賀は、唐突に「米政府」という言葉を発している。

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<東芝がWH出資の際に米政府が求めたのは原子力へのコミットメントだ。>(日刊工業新聞 2012年8月1日)

 コミットメント「責任ある約束」。

<原子力発電所完成については16-17年までの使命だが、着工までに多くの投資をし、人員も8000人から1万3000人超に増やした。経営がうまくいっていると自信を持って断言できる>

 志賀は米原発4基建設を米政府に対する「使命」とまで言っている。

 なぜ?

 このとき、すでに、ボーグル原発、VCサマー原発で「コスト超過」が発生していた。

 基礎の中の基礎工事「ベースマット設置」にNRCからクレームがついた。

「ベースマットの設計からやり直せ」

 東芝は米政府に対する責任ある約束を守れていない。使命を果たせていない。

 

<(ウェスチングハウス買収は)米国の安全保障にかかわる技術が絡むので「米政府による事前承認が必要だ」(米財務省)>(日本経済新聞 2006年2月7日)

 当時の新聞は、「米政府が東芝のウェスチングハウス買収を承認しないのではないか?」とさかんに報じていた。

 承認の条件は「原子力へのコミットメント」だった。東芝は、米国原発を造り、米国に利益をもたらす使命を負っている。

 複数の東芝の米国子会社への米法務省、米国証券取引委員会の調査が開始され、東芝の姿勢は一変した。

 それまでは、「原発事業は儲かっている」と言い続けてきた東芝が、あっさりとウェスチングハウス「のれん」の減損2600億円と、東芝アメリカ社株の損失1000億円を認めた。

 米当局は今も東芝の不正を調査している。

「不正」「米国の国益損失」が発覚すれば、東芝は即、米国から追放される。

 エンロンの粉飾額よりも東芝の粉飾額のほうが3倍近くでかいのだから当然だ。

 東芝なぜ、こう宣言することができないのか?

「莫大な損失を計上した原子力事業から手を引き、モノづくりの原点に立ち返ります」

 アメリカの呪縛があるかぎり、そんなことは口が裂けても言えない。

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