2016年度、東芝と日本経済に底なしの恐怖が襲いかかる 理由はただひとつ 原発は絶対に儲からない なのに東芝が「原発事業をやめる」と言わないからだ
なんで、東芝は、一番儲かっているメディカル部門を売ったのか?
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なんで、東芝は、一番儲かっているメディカル部門を売ったのか?
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スティーヴン・キングなどモダン・ホラーが好きな人は、東芝のウェブサイトを開いてみてほしい。
グーグル検索「東芝」 「東芝:トップページ」クリック
「企業情報」クリック 会社概要の「東芝グループ」クリック
このページが出てくるはず↓
一番下の「海外拠点」になぜか(English)とあるよね。
東芝は日本を代表するメーカーであり、日本最大級の対米輸出企業である。
なぜ、東芝の海外子会社の情報が日本語で読めないの?
これ、日本語の企業情報だけ読んで東芝株を買った人に対する犯罪じゃないの?
「おかしい」と思いつつ「海外拠点」をクリックすると……。
<このページはムーブしました>
これが出たら、こう思え。
企業が隠したい情報はその「引越し先」にある。
5年間、東京電力のウェブサイトを漂流し、得た結論だ。特に事故直後は英語で検索しないと真実を知ることができない状態だった。
このページのアドレスをクリックすると……。
なんと、「東芝:トップページ」の英語版になった。「ふりだしに戻る」なのだ。
うんざりして検索をやめた日本人は何人いた?
本当の「お化け屋敷」はここから先なのに。
左の「Overseas」一番下の「North&South America」……。
なんで、最大の取引先のアメリカ合衆国が一番下なの?
クリックするとアメリカ大陸全体の地図が現れる。
「United States」をクリックして、やっと目的地の名前が出てくる。日本のマスコミがまったく報道しない企業。
「Toshiba America Inc」
日本名「東芝アメリカ社」。東芝は、この会社の株の100%を持っている(東芝の現地法人なので当然だが)。株を持っているために、2015年度決算に「なんと約1000億円!」の損失を計上する。
東芝の有価証券報告書によれば、東芝アメリカ社の資本金は10億253万ドル(約1067億3899億円)。ウェブサイトによれば、年間売り上げ11億3000万ドル(約1280億円)。
東芝アメリカ社株の価値が1000億円失われたということは……?
東芝アメリカ社は消滅した。
東芝のアメリカでの仕事は終わった。
「1000億円儲けた!」と言う東芝アメリカ社のウェブサイトは、ネットの海を漂流する幽霊船なのだ。
日本のマスコミは、何度も「東芝粉飾決算事件は終わった」と書いてきた。
「第三者委員会報告書提出、決算修正で幕引き」
「歴代3社長辞任で終止符」
「金融庁に73億円の課徴金を払ったら東芝は無罪放免だ」
東芝と東芝の広告料に支えられたマスコミが、絶対に口にしたくないのは「米国原発建設で東芝は大損した」という事実である。
江戸時代のように日本が鎖国した国ならば、東芝は子会社ウェスチングハウスの減損などせずに悠々と逃げ切れただろう。
事態が急激に動き始めたことを告げたのは、米国メディアの報道だった。
<東芝を米司法省・SECが調査、原子力子会社の会計をめぐり―関係者>(ブルームバーグ 2016年3月17日)
ここから、お話はビジネス書の世界からモダン・ホラーへと変貌する。
<当社の知る限り、ウェスチングハウスの財務報告は調査を受けていません>(ウェスチングハウスのプレスリリース 3月18日)
また、お化けが出てきた。「世界一のホラ吹き」「原子力業界のねずみ男」ウェスチングハウスのダニエル・ロデリックCEOである。
<事実無根><報道と言論の自由を汚す><粗雑な「報道」>
ロデリックはブルームバーグの報道を「口汚く」全否定した。ところが同じ日。
<複数の当社米国子会社が米国司法省(DOJ)及び米国証券取引委員会(SEC)から会計処理問題に関連して情報提供の要請を受けており、当社米国子会社はこれに協力しております。>(東芝のプレスリリース 2016年3月18日)
一体化したはずの親会社と子会社が180度主張の違うプレスリリースを出し、東芝はこの事態を放置している。
東芝は「口がふたつある怪物」となった。
注目すべきは、東芝が<複数の当社米国子会社>と言っている点だ。
百歩譲って、「ロデリックCEOが正しい主張をした」と仮定してみよう。
米国当局の調査を受けている東芝子会社はどこなのか?
<調査対象となっているのは、WHのほか東芝アメリカ社や東芝インターナショナル米国社など。>(朝日新聞デジタル 2016年3月18日)
最大の怪物が現れた。
米司法省、米国証券取引委員会が乗り出したのは、当然、「東芝に不正はないか?」調べるためだ。
不正はある。それも世界経済史上まれにみるめちゃくちゃな不正が!
そもそも、東芝アメリカ社自体が幽霊だ。傘下企業の支配権を握っているだけの持株会社だからだ。
「お化けにゃ学校も仕事もなんにもない」ってやつ。
東芝アメリカ社傘下に不正をやった企業がふたつある。
ひとつは、NY証券取引所上場企業キャノンに売却された東芝アメリカメディカルシステムズ社。
もうひとつは、東芝アメリカ原子力エナジー社。またの名を「NINA」。
(つづく)
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東芝メディカル部門「脱法」売却からの流れを見て、皆さん、どう思いますか?
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東芝が子会社ウェスチングハウスの「ブランド価値≒のれん」として資産計上していた約3500億円。マスコミ各社は、「そのうち3000億円を減損する」と報道していた。
ところが……。
4月26日の記者会見での減損額は2600億円にとどまった。
なぜ?
同じ日、東芝は世にも奇妙なプレスリリースを出した。
<当社保有の関係会社株式の評価損の計上及び当社個別財務諸表の資本の欠損について>
東芝が持っている株が暴落した?
評価損の額は、なんと約1000億円!
東芝の金庫にある株券が紙くずと化した?
東芝は一体、どこの会社の株を大量に持っていたのか?
会社の名前を見て、私はひっくり返りそうになった。
<関係会社名 :TOSHIBA AMERICA,INC(以下「東芝アメリカ社」)>
東芝アメリカ社は、東芝にとって「他社」ではない。半世紀以上の歴史を誇る東芝の米国現地法人である。東芝と「TOSHIBA」の名前のついた米国現地法人は「一体である」とみるのが常識だろう。
東芝が「TOSHIBA株」で1000億円の大損をした!?
最悪のニュースはアメリカからやってくる。
米国法務省、米国証券取引委員会は、東芝の調査に乗り出していた。当然、調査の目的は「不正はないのか?」だ。
マスコミ各社一斉の「東芝が原発事業で損失計上」報道に隠れ、東芝アメリカ社株の問題はまったく報道されていない。
内部告発、情報求む!
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点と点が結ばれた。
東芝はなぜ、大いに儲かっていたメディカル部門の売却を急いだのか?
<東芝メディカル売却に、富士フィルムが「待った」><「なぜ、キャノンなのか」、室町正志社長に質問状送付>(『日経ビジネス』2016年3月17日)
独占禁止法違反ギリギリの「脱法スキーム」まで繰り出して、東芝が、3月31日までに6000億円を超える現金を調達したのはなぜなのか?
東芝が恐れていたのは、債務超過でも上場廃止でもなかった。
東芝を無謀な金策に走らせたのは「米国エンロン事件の悪夢」だった。
私は改めてエンロン事件の本を紐解いてみたが、「米国証券取引委員会が調査に乗り出した」という記述はない。エンロンは、米当局が動き出す前に「自滅」したが……。
2002年1月。エンロンの元副社長、クリフ・バクスターが愛車メルセデスの中でピストル自殺。
「スター経営者」ケネス・レイ、ジェフ・スキリングらが次々に議会に呼び出され、全米ネットのカメラの前で辱めを受けた。
10月。エンロンの最高財務責任者、アンドリュー・ファストウ逮捕。彼を乗せた車は、そのまま連邦裁判所に入らなかった。入り口で下ろされたファストウは手錠をかけられたままカメラの砲列にさらされた。禁固10年。
ケネス・レイは判決を待たずに死去。ジェフ・スキリングには禁固24年が言い渡された。
東芝の粉飾額はエンロンの3倍近い。史上最大の粉飾事件の原因は、東京・浜松町ではなく、ペンシルバニア州モンロービルにあった。
すでに米当局は、東芝の調査に乗り出している。
東芝がウェスチングハウスの「のれん」減損をしなかったら、どうなる?
東芝が私たち、日本人にした説明。
「米国原発では損をしたけど、これから世界で64基の原発を受注して大儲けするから大丈夫」
エンロン事件を経験した米当局に対し、東芝が同じ説明を行ったら、どうなる?
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東芝が買収した「英国の原子力企業」ニュージェンは、セラフィールドに「原発を建設するため」に2009年2月に設立された。ホライズンよりも「出来立てほやほや」の会社である。設立時、ニュージェンには「英国人がいた」。
エンジー(フランス)とイベルドローラ(スペイン)が37・5%出資。SSE(スコッティッシュ・アンド・サザン・エナジー イギリス)が25%出資。
2011年9月。福島での原子力災害を受け、まず、逃げ出したのが英国人だった。
東芝製原発が爆発したからだ。
「再生可能エネルギーへの投資に集中する」(SSE)。
「原発に未来はない」という判断だ。
仏エンジーは50%に増資し、スペインのイベルトローラに「会社の半分を持って欲しい」と持ちかけたが、スペイン人も逃げ出した。
仏エンジーがわずか2・5%の増資で40%出資。残りの60%を「日本人に買ってもらう」。これが東芝のニュージェン買収の経緯なのだ。2社が逃亡した経緯を見て「ニュージェンの前途は有望だ」などと言う人がいたら、そいつは夢想家だ。
10年後、20年後に「莫大な現金が振り込まれることを夢見て」まず、大金を払う。やっていることは日立と同じだが、東芝のビジネスは日立より何倍も危険だ。
自己資本比率37・3%(2015年3月期)の日立にはお金の余裕があるが、自己資本比率が一桁に落ち込んだ東芝には余裕がまったくない。もちろん、それが最大のリスクだが……。
それ以前に問題なのは、WECが「ウソつき」「詐欺の常習犯」だということだ。
<東芝の英原発資金確保に懸念、日本からの肩代わり出資探る>(ロイター 2015年12月10日)
WECのウソを報道するのは、ロイターやウォールストリート・ジャーナルなど海外メディアのみ。日本のマスコミはまったく触れない。
<東芝側は従来、同3基の総工費として日本円で1兆5000億円程度とみていた。>
原発1基を5000億円で建設する?
WECは、またウソをついていた。
「そんなに安くできるわけがないだろう!?」
クレームをつけたのは、おそらく、ニュージェン買収で増資に応じた仏エネルギー大手エンジーである。もしくは、東芝の投資アドバイザー英金融大手HSBC。両方から攻められている可能性も高い。
<しかし、人件費が高く、安全性の確保に厳しい対応を迫られる先進国での新規案件だけに、「1基当たり最低でも1兆円」との相場観が浮上している。>
実際、仏アレバが建設する英ヒンクリー・ポイント原発の建設費は、2基で180億ポンド、約2兆7804億円。1基あたり約1兆3902億円と試算され、ごうごうたる非難を浴びている。
「WECは、アレバの半分以下、36%の建設費で原発を作ります」
こんな説明にうなずくのは狂人だけだ。
そもそも、東芝の子会社、ウェスチングハウスの最新原発AP1000は、英国の原子力規制当局に承認されていない。
「東芝は英国に原発を造ってはならない」
そう言われているのに、東芝はどうやって原発を造るの?
誰が東芝の英国原発に投資する!?
(つづく)
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東芝、日立製作所が進める「英国への原発輸出」は、巨大な詐欺事件に発展する可能性を秘めている。
そもそも、「これはビジネスなのか?」という根本的な疑問がある。
輸出の第一歩は、政府、企業、投資家、大金持ちの「売ってくれ」という声である。需要、お願い、注文がなければ何も始まらない。
福島第一原発1号機は、東京電力と日本政府が、米国ゼネラル・エレクトリックに「売ってくれ」と言ったから、米国が輸出した。日本は輸入した。
ところが、日本企業に対し「原発を売ってくれ」と言った英国企業はない。ただの1社も存在しないのだ。
2012年。日立製作所と東芝は、「英国の原子力企業」ホライズン・ニュークリアパワー社の買収に乗り出した。しかし、ホライズンの持ち主は英国人ではない。
E.ON(ドイツ)50%出資。RWE(ドイツ)50%出資。
ホライズンは、「原発を建設すため」だけに2008年7月に設立された。「出来立てほやほや」で「実績ゼロ」「儲かったことがない」ドイツ企業である。
2011年3月。東芝製原発、日立製原発が立て続けに爆発した。
ドイツのメルケル首相は、すぐさま、脱原発政策へと舵を切った。
「もはや原子力発電に未来はない」
英国に原発を造ろうとしていたドイツ人は逃げ出した。ホライズンは売りに出された。
日立製作所は、「未来のない」会社、ホライズン買収に6億7000万ポンド、約1034億9363万円(!!)を差し出した。
ドイツ人もびっくり!!
「日立の買収額は高すぎる」として東芝は降りた。
買収の理由は、誰が聞いても奇妙なものだった。
「発電所を建設する場がほしかった」(羽生正治・日立製作所専務)
日立のプレスリリースはさらに奇妙だ。
<本買収により日立は、英国のアングルシー島ウィルファおよびサイスグロスターシャー州オールドベリーにある2か所の用地を所有することになり>(2012年11月26日)
土地取引か!? 島とド田舎の土地を買うために1000億円以上を出した!?
<ホライズン社はそれぞれの施設に1,300MW級の原子力発電所を今後2~3基ずつ建設する予定です。>
つまり、日立は英国の電力会社になる?
そもそも、英国の原子力規制当局は、日立の原発を承認していない。
「英国に日立の原発を作ってはいけない」
そう言っているのだ。
土地だけ買ってどうすんの?
土地さえ押さえれば、原発を建設できるの?
「原発を建設できたとしても、1000億円の投資はありえない」との声に日立は、言い訳を繰り返している。
「本当の買収金額は2600万ポンド少ない6億4400万ポンド」
「原子力発電事業をやるわけではない」
じゃあ、誰が原発を管理、運営していくの?
「パートナーはこれから探す」
……腰が抜けた。
「政府系金融機関などに出資を募り、出資比率を50%以下に引き下げたい」
政府系金融機関?
日立はこんな皮算用をしていた。
「安倍晋三や経産官僚に頼めば、英国原発に日本人の血税を回してくれる」
甘えるのもいい加減にしろ!!
国際協力銀行など政府系金融機関が「英国への原発輸出に融資する」という話は聞いたことがない。
<「本当はホライズンが欲しかった」。そう東芝の関係者はささやく。>(ビジネス・ジャーナル 2014年2月10日)
買収合戦に敗れた東芝は、「英国の原子力企業」ニュージェネレーション(ニュージェン)の株式60%を取得して買収した。
ホライズンの原発は沸騰水型(BWR)。ニュージェンは加圧水型(PWR)。
「純東芝製BWR」初の輸出となるはずだった米国サウス・テキサス・プロジェクト原発新設計画は、暗礁に乗り上げている。頓挫したまま。
ゆえに東芝は英国でも「純東芝製BWR」で勝負したかったのだ。巻き返しを図りたかった。
これが最初のつまづき。第一の敗北。
仕方なく、子会社ウェスチングハウス(WEC)にニュージェンを買収させた。
10年後、20年後に「莫大な現金が振り込まれることを夢見て」まず、大金を払う。やっていることは日立と同じだが、東芝のビジネスは日立より何倍も危険だ。
自己資本比率37・3%(2015年3月期)の日立にはお金の余裕があるが、自己資本比率が一桁に落ち込んだ東芝には余裕がまったくない。もちろん、それが最大のリスクだが……。
それ以前に問題なのは、WECが「ウソつき」「詐欺の常習犯」だということだ。
(つづく)
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南無大師遍照金剛
バットは「ご神体」と化していた。じっとバットを見つめる清原。
チームメイトと談笑する場面はおろか、まともな会話すらない。
清原が「ゆるいゴロを捕って返球する」だけのさびしい守備練習をしているそばを松井秀喜が通りかかったことがあった。
松井は立ち止まって先輩を見た。松井は声をかけたかったに違いない。しかし、清原は一瞥して視線を外す。「しょうがないなあ」という感じで松井は通り過ぎていった。
清原和博は人間を拒絶していた。
8年後。私は「敵」として、清原和博と対面した。
こんなに奇妙で幸福なインタビューは、あとにも先にもない。
検証――「Kの悲劇」
番長が迷い込んだ「オレンジ色の牢獄」より
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英国の原発建設のために、習近平はデイビッド・キャメロンに1兆円以上の大金を差し出した。
キャメロン首相の父親と習主席の姉の夫が、仲良く「パナマ文書」に名前を連ねていたことは「皮肉な話」ではすまされない。
「キャメロンよ! 出ていけ!」
「恥を知れ!」
ロンドンでは千人を超える人々が抗議の声を上げ、キャメロンも形ばかりの「釈明」をしたが……。
<【パナマ文書の衝撃】NHKが習近平親族の利用伝えたとたん、画面が真っ黒に 指導部が神経とがらせる?>(産経ニュース 4月6日)
中国政府にできることは「情報統制」しかない。
習近平の権力基盤は、「反腐敗運動」に対する国民の支持だった。
「ワイロをもらったやつが捕まった」
「接待を受けたやつが摘発された」
習近平体制は一日に500人もの「腐敗分子」を摘発してきたのだから、中国メディアは当然、「金に汚いやつ」の話で塗りつぶされた。ニュースに拍手喝采する国民が多数派であるかぎり、習の権力は安泰だと思われてきたが……。
「その当人が……!?」
<検索サイトでパナマ文書と中国語で打って、検索ボタンを押しても、結果は一切表示されません>(TBS NewsI)
情報統制は、「パナマ文書」が習近平体制にとって「マジやばい」からである。
「パナマ文書」には、世界の原発推進派の名前が書き連ねられている。まさに、オールスターキャストだ。
東芝の子会社、ウェスチングハウスのプレスリリースをのぞいてみてほしい。
「原発燃料を受注」「原発部品を受注」といった明るいニュースは、ほぼすべてがウクライナ発である。
ネオナチによる暴動、クーデターでロシアの原発企業を追い出したペトロ・ポロシェンコ大統領は、自らタックスヘイブンに会社を設立していた。
<われわれの兵士が何百人も死んでいるときにオフショア企業を設立するとは皮肉の極みだ。>(ウクライナの野党、急進党のリシャコ党首のフェイスブックへの書き込み)
内戦がピークを迎えていた2014年8月。ポロシェンコは自身の菓子メーカー「ロシェン」を英領バージン諸島に移していた。
ハンガリーの原発建設にポンと1兆円以上を貸したロシアのウラジーミル・プーチン大統領の親友で音楽家のセルゲイ・ロルドゥーギンも「パナマ文書」に名を連ねている。
<ロルドゥーギン氏はタックスヘイブンの複数の会社の所有者で、プーチン氏の周辺で少なくとも20億ドル(2千億円余)がその会社と銀行を行き来した。>(朝日新聞デジタル 4月8日)
富を独占する新興財閥を追放、解体したことで名を上げたプーチンにとって「税金逃れ」の汚名は致命傷となるかもしれない。
<プーチン氏は近年、政治家や官僚が国外に資産を持つことを厳しく制限する方針を打ち出し、国会議員や幹部官僚、国営企業幹部が外国の銀行口座や外国企業の株式などを保有することを禁じる法律が成立。配偶者も規制対象となったため、規制を嫌った国会議員が辞職したり、偽装とみられる離婚が相次いだりする騒ぎとなった。>
「その当人が……!?」
となったとき、「報道規制しか能がない」のは、習近平と同様だ。
<ロシアの主要テレビ局は今回の問題をほとんど報じていない。>
中国の自称国産原発、華龍1号を建設しようとしているアルゼンチンの新大統領、マウリシオ・マクリには、すでに捜査の手が入っている。
マクリは、アルゼンチンで最大級のコングロマリット「ソクマ」グループの御曹司。身代金目当ての誘拐事件も経験したボンボンだ。ソクマの中核は建設事業。当然、原発とも深いかかわりがある。
「パナマ文書」流出により、巨大企業を築き上げた父親とともにタックスヘイブンの会社の役員として登記されていたことが暴露された。これが事実なら、政治家に課せられた資産などの申告義務違反となる。
<サウジアラビアでは><2030年までに16基の原子力発電所の建設が計画されるなど、原子力発電所に関する関心が高まっております。><同国での原子力発電所受注を目指します。>(東芝のプレスリリース 2013年9月9日)
サウジアラビアのサルマン国王も「パナマ文書」に名を連ねている。
<中国、パキスタンに原子炉追加輸出へ>(ウォールストリート・ジャーナル 2013年10月16日)
契約総額は、なんと、91億ドル! 約9835億円!
<資金の82%は中国からの融資で賄われ、融資条件は非常に緩いという。>
<米国は、中国が各技術移転に関する国際ルールを無視しているとの懸念を強めている。>
<パキスタンの当局者は今回の原子炉契約について公には発言していない。この契約は今年半ばごろに秘密裏に調印され、7月初めに手続きが完了した。パキスタンのシャリフ首相はこの時期に中国を訪問していた。>
ナワーズ・シャリフ首相も「パナマ文書」に名を連ねている。
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「今回の習近平国家主席の訪英は、英中関係が最もよい時期に当たっている。私はこれを英中関係の“黄金時代”と呼んでいる」(デイビッド・キャメロン英国首相)
紙でできてはいるが、「黄金」は確かに史上最大である。
「今回の習主席の訪英でこれまでに400億ポンド相当の事業契約を締結した」
日本円で約6兆2841億円!
しかし、「黄金」の60%は危険な核分裂を起こす。
<2015年に完成予定のヒンクリー原発は、総投資額が240億ポンド>(産経ニュース 2015年10月21日)
約3兆7704億6100万円!
<中国が30%を出資する>
約1兆1311億3830万円!
中国の原発外交の必殺技は、建設資金の「供与」だ。
ロシアは、ハンガリーの原発建設に約1兆2717億円を「融資」して世界を驚愕させたが、中国は英国原発に約1兆1311億円を「供与または融資」するのである。
「融資(貸してあげる)」と「供与(くれてやる)」は、似ているがまるで違う。
中国にとっての見返りは何?
<原子力協力では、英南東部エセックス州にある「ブラッドウェル原発」で中国技術を採用する。中国が「華龍1号」と呼ぶ新型原発>(日本経済新聞電子版 2015年10月22日)
海のものとも山のものともつかない「自称中国国産」の「コピー原発」を英国に建設!?
華龍1号 まだ世界で一基も動いていない
いろんな国の原発事情を探ってきたが、イギリスほどデタラメな国はない。
「原発の新規建設を凍結する」
これがウソのつき始め。
そもそも、労働党のトニー・ブレア首相は、「脱原発」を掲げて保守党と闘い、首相の椅子に座った男である。
ところが、2006年になると……。
「北海ガス田が枯渇した!」
「電気料金が上がる!」
「地球温暖化ガスの削減目標を達成しなければならない!」
あっさりと原発推進派に変身。
新設原発の認証審査が始まったのは2007年8月。候補は、仏アレバ社のEPR、東芝・ウェスチングハウス(WEC)のAP1000、GE日立のESBWR。
「3年半で審査を終了する」
これまた大ウソ。
9年近くたった現在、ひとつも認証されていない。
特に難癖をつけられまくっているのが東芝だ。
<東芝傘下WHに改善要請 英原子力規制機関 「認証の進展に遅れ」>(日本経済新聞 2016年4月4日)
<ONR(英原子力規制機関)は日立の審査については「想定通りに進んでいる」と評価した。>
じりじりと待たされ続けたあげく……。
「1兆円あげますよ」(習近平)
「じゃあ、華龍一号を買いますよ」(デイビッド・キャメロン)
東芝にとって「そりゃないよ!」どころの話ではない。怒り心頭に発しているはずだ。
2012年。東芝は、英国の電力会社ホライズン・ニュークリアパワーの買収に失敗していた。
理由がものすごい。
「東芝は中国国営企業、国家核電技術と組んだのでダメ」
「英国の安全保障上の問題だ」
「中国に英国原発を任せるわけにはいかない」
じゃあ、なんで……?。
国家最高権力者の豹変の裏にあるのは、必ず金だ。
キャメロン、習の共同記者会見でBBCの女性記者が切り込んだ。
「習主席、英国民は、民主主義がなく、不透明で人権に大きな問題を抱えた国とのビジネスが拡大することを、なぜ、喜ばなければならないのでしょうか?」
習が即答できないので、キャメロンが割って入った。
「人権かビジネスか、という質問の前提にはまったく賛成できない」
「両方が重要だ」
習も重い口を開いた。
「我々は現実に即した人権発展の道を見つけた。人権は大切であるが、世界を見渡せば、すべての国で改善が必要な状況にある」
……なんじゃ、それ?
たったふたりの記者の質問に答えただけで、習とキャメロンは会見場から逃げ出した。
会見が続いていたら、次のような質問が出たはずだ。
「2ヶ月前に天津で大爆発事故が起きたばかりだ。中国に英国原発の運営をまかせていいのか?」
2015年8月12日。天津の倉庫で起きた爆発事故による死者は145人とも173人ともいわれている。中国政府が情報を統制したため「いまだ不明」と書く他ない。
事故後、50のウェブサイトが閉鎖され、360のアカウントが凍結された。
ツイッターに「のどが痛い」と書いただけで当局に摘発された。
英国規制当局が中国原発を認証審査した、という話は聞いたことがない。
「中国原発は安全だ」と言った人を私はひとりも知らない。
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米国予算局は、ずうっとこう言ってきたのである。
「原発事業が債務不履行に陥る可能性は50%以上と推定」
原発に投資した人の半数以上が破産するということだ。
東芝は、今まさに「半数以上」の領域へと足を踏み入れようとしているのに……。
<【Czech】4基>(東芝の記者会見資料 2015年11月27日)
チェコに4基の原発建設計画がある!?
2基がドタキャンされ、<深く失望>したばかりなのに、さらに2基の受注を目指す!?
真っ赤なウソ。これこそが「風説の流布」である。
テメリン原発 チェコ
<AP1000 グローバルな受注活動>
<400基以上の建設計画において64基の受注を目指す>
最初に出てくるのは「英国 13基」。
<東芝傘下WHに改善要請 英原子力規制機関 計画の加圧水型軽水炉 「認証の進展に遅れ」>(日本経済新聞 2016年4月4日)
AP1000は、英国では認証すらされていなのだから、お話にならない。
「ポーランド 2基」。
<ポーランドが導入計画を改定 初号機の完成含め数年先送り>(原子力産業新聞 2014年2月6日)
原発建設が4~5年延期された。しかし、「延期し2024年に完成」という計画もウソだった。
環境保護団体「グリーンピース」が入手した資料。
「原発の完成は2031年以降になる」
「ブルガリア 1基」
ブルガリアでは今、ロシアと米国が激烈な「原子力戦争」を展開している。それについては項を改めるが、「政権交代が起きればWECはアウト」という現実はチェコと同様だ。
「スロバキア 2基」
スロバキアで建設中の原発2基はロシア製VVER。2012年に完成予定だったが、いまだ建設中。「そのさらに先の2基をロシアに勝って受注する」というのは寝言以外の何ものでもない。
東芝さん! ヨーロッパのどこに原発を建てるの!?
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それは、東芝が大儲けできるビジネスだった。
<当社のグループ会社であるウェスチングハウス社は、チェコ電力(CEZ)が自国で建設を計画しているテメリン原子力発電所3・4号機における一次入札審査において、チェコ電力から、同社が提案している110万キロワット級原子炉「AP1000」が、許認可、実効性、技術的リスク評価、価格、契約条件など総合的な評価で最上位評価を獲得しました。>(東芝のプレスリリース 2013年3月26日)
この時点では、ウェスチングハウス(WEC)にとって「チェコでのビジネスは楽勝」だったはずなのだ。
このプレスリリースが発表されたころ、WECは米国原発建設遅延、減損問題で大揺れの状況。チェコの原発2基は「絶対に獲らなければならない案件」「WEC存続の命綱」でもあった。
<年内の2基受注獲得に向け、本格的な契約交渉を開始します。>
成功すれば、東芝も胸を張って言える。
「原子力事業は儲かっています」
前年の10月。最大のライバルだった仏アレバ社が入札から消えた。消えた、というより、チェコ政府が「消してくれた」。国営企業のチェコ電力が、アレバの入札提案書を「法的な契約要件を満たしていない」として入札候補から除外したのだ。
「政治的」としか形容しようのない不可解な動きだった。
ロシアのロスアトムとの一騎打ちとなった12月。強力な助っ人がプラハの地に降り立った。
原子力企業エンタジーの元弁護士、「ミセス・アトミック」ヒラリー・クリントン国務長官である。
「オバマ政権はWECを強力に後押ししている」
2013年8月。勝利を確信したWECは、チェコの現地企業にAP1000のモジュール製造を依頼した。
ところが……。
2013年1月。チェコの大統領選で異変が起きていた。
前大統領、ヴァーツラフ・クラウスは、ミルトン・フリードマン、マーガレット・サッチャーを信奉する筋金入りの新自由主義者。
「電力をはじめとする公共事業を民営化し、外国企業に売り払ってしまえ」
約10年間の大統領在任中、クラウスは、サッチャーと同様の急進的な経済政策を採ってきた。
WECの原発輸出は「クラウス・ヒラリー」のコンビで推し進められてきた。
クラウスは大統領を辞め、社会民主党の元党首、左派のミロシェ・ゼマンがチェコ大統領の椅子に座った。
原発建設は、計画から運転開始まで10年以上かかる「亀のごとく歩みののろい」事業である。その間、「政権交代など起きない」と考える投資家がいたとしたら、そいつは相当なアホだ。
2014年4月9日。ゼマン大統領は議会で断言した。
「テメリン原発に政府の価格保証は付与しない」
原発建設費に見合った価格で政府が電力を買い取る、という約束が反故にされた。ゴミ箱に投げ捨てられた。
翌10日。チェコ電力は、入札を取り止めた。
WECはすぐに声明を出せなかった。プレスリリースの書き出しは、
<私たちは深く失望している。>(2014年4月14日)
<決定プロセスの最終段階で、チェコ電力は入札をキャンセルした。>
4日間の遅れは、その間、WECが事態打開を模索していたことを意味するのかもしれない。
間違いなく言えるのは、WECがオバマ政権の幹部に「チェコ政府を脅してくれ」と依頼したことだ。その証拠は、チェコの米国大使館が民間の企業取引について出した「ありえない声明」である。
<落胆している。><チェコの親しい友人である同盟国として、入札中止は、わが国の投資家、世界の投資家に対し、どんなメッセージになるか、懸念している。>
この時点で、普通の日本人経営者なら「WECを売却する」と宣言しただろう。米国原発建設での大損害とのダブルショックで、WECは息の根を止められたのだから。
しかし、東芝は、2006年のWEC買収で、とんでもない「高値掴み」をしていたので、WECを捨てたかったけど、捨てることができなかった。
2006年当時、WECの企業価値は19億ドル程度と言われていた。東芝はWECを54億ドルで買った。
もし、東芝がこう言ったとしたら?
「WECを54億ドルで売ります」
大企業のトップ、投資家、市場関係者は「バカか?」と言うだけだ。
「じゃあ、19億ドルで売ります」
買うやつはひとりもいない。万が一、買うやつが現れたとしても、東芝は35億ドル、約3906億7千万円の損失(赤字)を計上しなければならない。現在の業績予想では、東芝の純資産は1500億円しかない。
「WEC売却」=「東芝の破産」なのだ。
2014年4月。チェコでのビジネスが消え、東芝・WECに残されたのは「願望」のみとなった。
<私たちは代替案を待っています。話し合いが継続することを期待しています。><私たちは利益を実現します。><私たちのグループ企業である東芝は、世界をリードする原子力エネルギー企業であり、世界中の顧客に原発とその部品、技術を提供してきたリーディングカンパニーです。>(WECのプレスリリース)
代替案などあるはずもなく、チェコ電力は原発建設を断念した。
これで話はおしまいだ、と私は思っていた。ところが……。
2016年3月31日。中国の習近平国家主席がチェコを訪問し、ゼマン大統領と会見した。習近平のあとにくっついて会議室に入ってきたのは、原子力企業、中国広核集団(CGN)の幹部たちだった。
<中国:欧州への「華龍一号」輸出促進でチェコとの原子力協力強化>(原子力産業新聞 2016年4月1日)
米国との関係悪化など歯牙にもかけず、WECのケツを蹴り上げて追い出したゼマン大統領が、中国の「自称国産原発」華龍一号を「買う」と言い出したのだ。
国家最高権力者の豹変の裏にあるのは、ここでも金だ。
中国の「原発輸出外交」の切り札は、原発建設資金の「拠出」。ロシア流の巨額「融資」(金を貸してあげる)ではなく、巨額「拠出」(金をくれてやる)。
<中国、原発輸出を加速 アルゼンチンと契約、英国に続き 資金提供持ちかけケニア、パキスタンなどとも交渉 安全性確保に不安も>(サンケイ・ビズ 2015年11月26日)
<アルゼンチンと合意したのはブエノスアイレス州に増設される原子炉への設備供給で、投資額は総額60億ドル(約7400億円)。このうち中国側が38%の資金を拠出、または低利で融資する。>
WECが「楽勝」で手に入れるはずだった札束は中国に略奪された。
巻き返そうとしても、WECにはもう手も足も出ない。このとき、WECの祖国アメリカの輸出入銀行は共和党保守派によって「営業停止」中だったのだから。ヒラリー・クリントンに懇願しても、米国政府は1セントの金も出してはくれない。
東芝は「原子力破産」する。
反論のある方はコメントを。
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AP1000のもうひとつのウリは「安全性」だった。
<静的安全システム><とは、ポンプなどの外部動力を使用せず、静的な手段で冷却などを行う画期的なシステムである。>
原子炉建屋の屋上に巨大な水タンク(50メートルプールふたつ分に相当)を設置。外部電源が喪失したら、手動で弁を爆破。重力により大量の水が落下し、原子炉を冷やす。
しかし、「画期的な安全システム」こそが、「AP1000の最大の欠陥」であることを東芝自身が認めている。
<当社のグループ会社であるウェスチングハウス社は、今年の9月に耐震強化による変更内容をまとめたレポート(耐震オプションレポート)をNRCに申請しておりましたが、>(東芝のプレスリリース 2015年12月22日)
東芝は「地震に耐えられるようAP1000の設計を変更する」と米国原子力規制委員会(NRC)に約束した。
しかも、昨年9月になって、やっと!
<この度、アクセプタンスレビューが完了いたしました。これにより、NRCによる正式な審査が開始され、>
耐震審査は始まったばかりなのだ。
<NRC承認後には、AP1000の適用地域の拡大が可能になります。>
NRCは、カリフォルニア州など地震が多い地域でのAP1000原発建設を禁止していた!
誰も指摘しないが、そもそも、AP1000原発を中国に建設してはいけない。
もし、中国にNRC並みの規制機関があったなら、AP1000は、絶対に、認可されなかった。
歴史上、中国は最も甚大な地震の被害を受けてきた国だ。
20世紀以降、中国の地震による死者は54万人に上り、全世界の地震による死者数の半分以上を占めている。
1976年7月28日。唐山地震。マグニチュード7・5。死者数は中国政府発表で24万2419人。米国地質調査所の推計では65万5000人。AP1000の海陽原発は震源地の至近に建設されている。
東芝は日本を代表するメーカーである。なのになぜ、東芝の最新型原発AP1000は、日本国内に建設されなかったのか? 建設計画すらなかったのは、なぜ?
中学生でもわかる事実。
大地震が起きれば、屋上に50メートルプールが2本ある「奇妙な建物」が真っ先に倒壊する。ぶっ潰れる。
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東芝製最新型原発AP1000に致命的欠陥が発覚した。
<AP1000用原子炉冷却材ポンプが性能検査をパス、中国・三門に向けて出荷へ>(原子力産業新聞 2015年11月2日)
タイトルだけ見るとグッド・ニュースだが……内容はとんでもない。
2012年。中国の三門原発に原子炉冷却材ポンプ(RCP)が搬入された。着工から3年目での超大型モジュール(機械の基本単位)搬入。工事は順調に進んでいた。
ところが……。
2013年1月。同じAP1000原発でRCP最終検査が行われた。
ポンプを動かすと、なんと、羽根車が脱落した。
ポンプの心臓であるスクリューが取れてしまったというのだから……。
致命的かつ「初歩的」な欠陥である。
RCPは米国に返品された。
2015年10月28日。東芝の子会社、ウェスチングハウス(WEC)は、「RCPが最終検査にパスした」と発表。欠陥ポンプのために原発建設工事が2年9ヶ月も遅れた、ということだ。
「工事遅延」=「コスト超過」。
大型RCPはAP1000の「最大のウリ」だった。
<(AP1000の)最大の特徴は、大型蒸気発生器(SG)や大型原子炉冷却材ポンプ(RCP)の採用などにより2ループ構造で1100MWe級の出力を実現した点>(『東芝レビュー』Vol.62No.11 2007年)
東芝は今も「AP1000は世界で一番安上がりな原発」と宣伝している。
<モジュール工法や鋼板コンクリート(SC)工法など最新の建設技術も採用されており、建設費の低減と建設期間の短縮が実現されている。>(『東芝レビュー』Vol.65No.12 2010年)
「革新技術」の中枢がぶっ壊れ、「東芝のウソ」が白日の下に晒された。
<現地工事での作業量が大幅に低減し、ファーストコンクリート充てんから燃料装荷まで36ヶ月の建設工期にめどを得ている。>
36ヶ月で原発が完成!?
東芝は中国政府に対し、約束していた。
「三門原発を2011年3月までに完成させます」
東芝製最新原発の完成予定時に東電福島第一原発の「東芝製」3号機が爆発した。
「甘い見通し」どころじゃない。これこそ究極のヨタ話だ。
着工から7年(84ヶ月)が過ぎても三門原発は、いまだ「建設中」である。
欠陥ポンプを製造した会社は、カーチス・ライト社という。1916年操業の航空機メーカーである。
チャールズ・リンドバーグの栄光の歴史は、カーチス・ライト社製の中古のプロペラ機「JN-4」購入から始まっている。宮崎駿監督の映画『紅の豚』で主人公の敵役、その名もカーチスが乗ったのが、カーチス・ライト社製「R3C」。
カーチス・ライト社は、トマホーク、キティホーク、ウォーホークなど戦闘機を米空軍に売りまくり、全米製造業者中、第2位を誇った。1位は当然、ゼネラル・エレクトリックだから、カーチス・ライト社はWECよりでかい企業だったことになる。
ただし、「第二次大戦が終わるまでは」のお話。
ジェット戦闘機開発に失敗した同社は、非軍事部門(プラスチック製造など)に力を入れたが失敗に次ぐ失敗。何度も倒産の危機に見舞われている。
この会社の歴史にもはっきりと刻まれている。
原発は、没落した米国軍産複合体企業の救済策でもある。
東芝は「人を殺すこと以外に能がない」連中に仕事を頼み、大損した。
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「3・11」以降に運転を開始した原発。
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