東芝「サンアントニオ4552億円詐欺事件」の全貌2 東芝と東京電力はテキサスの人々の誇りを踏みにじった
これは「仮面をかぶって金を借りる」ゲームだ。
市営企業CPSは地方自治体の「信用」を背景に、すでに3億ドルを借りていた。さらに4億ドルを借りようとしていたときに、東芝のウソがばれた。
<だれもNRGにはビタ一文、払いたがらないよ。><NRGは破産の縁から這い上がってきたばかりで、したがって投資対象としては最低ランクだ。政府の予算を獲得することなど、あり得ない。>(『告発!』)
そんな会社が、どうやってお金を借りるのか?
「NRGは明日の朝には破産しているかもしれない。しかし、100万都市、サンアントニオが消滅することはない。市はお金を返してくれる」
サンアントニオを舞台にした映画「アラモ」
悪党が金を借りるためには仮面が必要だった。しかし、NINA誕生からわずか20ヶ月で仮面は剥ぎ取られた。
CPSとNRGの訴訟合戦は「和解」した、とされているが……。
CPSの出資比率 50%→7・6%
わずか7・6%になったんだからこれは「完全撤退」に近い。サンアントニオ市は逃げ出した。東芝は負けた。原発建設プロジェクトは破綻した。
東芝は142億ドルを手に入れるはずだった。サンアントニオ市民を騙し「儲かるはずの金」60億ドル(約6824億円)が消えた。東芝にとって、この数字はどんな意味を持つのか?
東芝は「一度破産した会社」NRGに余裕で援助の手を差し伸べたのではない。
リーマン・ショックが東芝を直撃した。
2009年。東芝自身が破産寸前だった。資金繰りはぎりぎり。まさに綱渡りだったのだ。
東芝の2009年3月決算では短期借入金が5000億円近く増えていた。銀行から借りられるだけの金は借りた、ということだ。
さらに、2009年5月の取締役会では公募増資と劣後債発行を決めている。
公募増資 3174億円
株券を印刷しまくって、投資家から取れるだけの金を取ったが……それでも足りなかった。
劣後債発行 1800億円
金利はなんと7・5%。超高金利の社債発行=「東芝は真っ青な顔をして金策に走り回っていた」ということだ。
これだけの金を借りるためには「会社は儲かっています」と胸を張って言う必要がある。
東芝粉飾決算の根っこ、動機はここにあった。
原発プロジェクトの破綻で公募増資分の倍の金が吹っ飛んだ。
リーマン・ショック。破産の危機。原発プロジェクトの破綻……。
東芝を襲った衝撃はそれだけはなかった。
原発新設への動き「原子力ルネサンス」の前提であり基盤でもある「米国政府保証」が揺らいでいた。
2009年1月。バラク・オバマ大統領、ウォーレン・バフェット経済顧問が誕生。ふたりはすぐさま「国民の血税を盗みNRGエナジーに流す」というミッションを開始した。偽装が何重にも施された妖計だった。
全体の予算を示す名前は「景気対策法案」。そのなかに「低炭素エネルギー支援」予算500億ドルを紛れ込ませた。
表向きの説明は「太陽光など再生可能エネルギー開発につかわれる」。
大ウソだった!
500億ドルはそのまんま「発電所新設への政府保証」だったのだ。
全米200団体以上が反対運動を展開した。上下両院議員に送られたメールは1万通ともいわれている。
「政治的攻撃により今回の企ては失敗した」(「仕掛け人」である共和党のボブ・ベネット議員 ソルトレイク・トリビューン 2009年2月12日)
政府保証は景気対策法案から削除された。
さあ、どうする? 「ニーナ」ちゃん。
どうすることもできなかったのだろう。ここからのお話は、詐欺と言うより「お笑い」である。
NINAは、「新たな信用の創造」のために、なんと、東京電力を仲間に引き入れた!
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