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2015年11月23日 (月)

米国の原発1基が東芝の営業利益3年分を吹き飛ばす!? 本当の損失は4千億円以上 原発を所有するサザン・カンパニーの公表資料より

<WECグループについては、2011年に発生した福島の原子力発電所の事故の影響によって、全世界で受注を計画していた原子力発電所建設案件の建設計画が後ろ倒しになったこと……>(東芝プレスリリース 2015年11月17日)

 後ろ倒し?

 そんな日本語はないし、「福島の原子力発電所の事故」は東芝にとって「他人事」ではない。あるはずがない。

 東電福島第一原発3号機を造ったのは東芝自身。爆発により、プルトニウムはロッキー山脈まで吹き飛ばされた。

Photo

「後ろ倒し」ということは、東芝は、まだ原発を建設するつもりなのだ。

<東芝傘下の米WH、インドで原発受注の見通し 年明けに>(朝日新聞デジタル 2015年11月20日)

 できるわけねーだろ!?

<(WHのダニエル・ロデリックCEOは)新原発の受注については「来年にはインドで6~12基の契約を結べるだろう」と述べ、来年1~3月には実現しそうな契約があると明言した。中国でも「30~50基」の受注へ期待を示し、米国、東欧、豪州などでも受注が広がる可能性に言及した。>

 発狂している。

 そもそも、原発建設計画を「後ろ倒し」にしているのは、ウェスチングハウス(WH)自身なのだ。

 米国原子力規制委員会(NRC)がジョージア州のボーグル原発建設を認可したのは2012年2月。

 そのわずか3ヵ月後……。

「ボーグル原発の運転開始が遅れる」(原発を所有するサザン・カンパニーの四半期報告書)

 WHは、最初の基礎工事ができなかった!

 原発建設はベースマットという巨大な円形の鉄骨を岩盤の上に敷くことから始められるが、WHはインチキをしていた。

「ベースマットが許認可用件に適合していない」(NRC)

 いきなりの工事遅延である。工事遅延=コスト超過。

 そのわずか1ヵ月後……。

「建設費用の当社負担が、2012年6月時点で2011年末から8000万ドル増え、約45億ドルになる」(サザン・カンパニー公表資料)

 WHは、工事認可から半年もたたないうちに約98億4000万円の請求書をサザン・カンパニーに送った。

 サザン・カンパニーの幹部を怒らせると殺される。このことはあとで詳しく書く。

 損失は隠された。

<田中P(久雄・東芝社長)への3Q決算ストーリー説明に関連して、WHのコストオーバーラン、減損についての状況を下記日程で報告予定です。>(『日経ビジネス』が入手した東芝財務部門幹部のメール)

 隠されたが、2014年初頭には東芝幹部も認識していた。室町正志現社長も当然、知っていた。

 報道したのは海外メディアだけだった。

<米の原発建設に暗雲、コスト超過や大幅遅延>(『ウォールストリート・ジャーナル』2015年3月6日)

<米南東部の電力大手サザンカンパニー(本社アトランタ)は最近、ジョージア州の規制当局に、少数株主となっている州内のボーグル原発増設で14億ドル(約1670億円)のコスト超過が発生したと報告した。>

 損失は1722億円超(現レート)に膨れ上がっている!

<同社傘下のジョージア電力はボーグル原発の46%の株式を所有しているため、その増設に75億ドルを支出せざるを得なくなっている。同原発の残りの株式は自治体の電力会社が所有している。>

 しかし、記事をよく読んでほしい。サザン・カンパニーはボーグル原発の株式の46%を持つ「少数株主」なのだ。

 本当の建設費超過は次の通り。

(2011年公表)約70億ドル(約8610億円)→(2015年)約103億ドル(約1兆2669億円)。

 損失約33億ドル(約4059億円)。

 この莫大な金は誰が払うのか?

 経済産業省に提出された報告書(平成24年度発電用原子炉等利用環境調査)によれば、増加コストの負担については、サザン・カンパニー、WH、建設会社シカゴ・ブリッジ&アイアンの3社により「交渉中」。交渉が決裂すれば、当然、裁判になる。

「設計者」であるWHのミスが認められれば、東芝の営業利益1343億円の3倍以上(3年分)が吹き飛ぶ!

 ジョージア州のド田舎にある原発1基のために。

 

 WHが減損処理した金額は2012年度約9億2600万ドル、2013年度約4億ドル、合計13億2600万ドルである。

 ボーグル原発のコスト増加分とほぼ合致するが、これはどのような金額なのか?

 WHが売り出された2000年代半ば、買収金額は19億ドル程度とされていた。

「34年ぶりの米国原発新設で大儲け」

 とんでもない!

 たかが原発1基のためにWHの企業価値の7割がぶっ飛んだ!

 絵にするとしたら、20階建ての自社ビルの6階から上が破壊され煙を上げている状態。

 そんなことになる会社を東芝は54億ドルで買ったのだ。

 米国監査法人アーンスト・アンド・ヤング(EY)の主張。

「過去数年間、新規受注がない」

 新しい仕事はもう何年もないじゃないか!?

「キャッシュフローが減少している」

 入金される金が減ってるじゃないか!?

「事業計画が毎年、遅延している」

 お前ら、ボーグルで何をやってるんだ!?

「買収当時に算定した54億ドルのフェアバリューが維持できているとは思えない」

 東芝は世界一のバカだ!

 この主張にいったい、誰が反論できる?

 東芝の久保誠副社長は、反論できないので「担当者を代えろ」と言い出した。

<EYの議論を打ち切ろうとする態度が見られる。結論が変えられないという対応は監査法人として明らかに失格。><ビット(競争入札)を行うので、EYの監査体制を一新してベストで望んでほしいと申し入れた。>(久保誠のメール『日経ビジネス』2015年11月16日号)

 久保誠よ! あんたが経営者失格だ!

 東芝幹部は社内にかん口令を出した。

<WHの減損テストは東芝にとって非常に重要。社内であっても関係者以外に情報を不用意に伝えず、間違っても、社外(会食時、タクシー内など)で本件の会話をすることのないよう、徹底をお願いします。>(WHを所管する事業部長のメール)

 

 日本を代表するメーカーなんだから「黙っていれば許される」?

 とんでもない。

 東芝の損失はこれですむはずがない。

 原発の基礎工事、ベースマット設置については、サウスカロライナ州のVCサマー原発でもまったく同じことが起きている。所有するスキャナ電力は「完成は3年遅れる」と州規制当局に報告した。

 2013年末。WH製の新型原子炉「AP-1000」の世界初稼動となるはずだった中国・三門原発1号機は動いていない。

『日経ビジネス』が入手したWH内部のメールによれば、最大の問題はボーグル原発の建設遅延ではない。

<(2012年度)Q2(第2四半期)での資金不足は深刻な状況。通期ではウランの売り上げ未達と新規建設の遅延による回収減が、収支に大きなインパクトを与える。>

 私たちは微力だが無力ではない?

 とんでもない!

 私たちは微力ではなく怪力だ!

「再稼動反対!」の声が国会を埋め尽くし、ウランはまったく売れなくなった。ウラン価格は3分の1になった。

 2014年3月。世界に4つしかないウラン濃縮会社のひとつであるUSEC(合衆国濃縮会社)が破産した。理由は簡単だ。USECの輸出先は100%日本向けであり、その日本が「原発ゼロ」になったからだ。

 USECの最大の出資者は東芝だった。

              (つづく)

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