粉飾決算疑惑の東芝 福島第一原発ALPS高濃度廃液容器の3割超が不良品だった! 水素爆発するかもしれないのにベント孔がなかった!
粉飾決算疑惑の東芝にまたしても大問題が発生した。
東電福島第一原発に設置された多核種除去設備(ALPS)の廃液を入れる高性能容器(HIC)から大量の不良品が発見されたのだ。
その数、1090基中334基。
なんと30%超の容器にベント孔が付いていなかった。
東電はHICの蓋の上のたまり水について調査していた。雨水、結露水など原因が検討された結果、高濃度廃液からガス(水素など)が発生し、廃液自体が膨張し、「ベント孔から」ふたの上に漏れた、と結論づけられた。
「ガスが発生している」と結論づけた途端に、「ガスを抜く穴がない」ことが判明したのだ。
36個の穴が付いていなければならないのに、穴がひとつもついていないHICが全体の30%超。
4月29日。東京電力は東芝から報告を受けていたが、公表しなかった。
原子力規制委員会(特定原子力施設監視・評価検討会)に提出する資料を作っているとき、データの一部が欠損していることから事実が公になったのだが……。
検討会の進行役、更田豊志委員は「困ったな」という言葉を連発した。
更田はまず、「この問題から扱うのか」と嘆く。
「HICは東京電力が直接、調達しているのか? それとも、協力会社が調達しているのか?」
東電が「協力会社だ」と応じると、
「そうすると、協力会社の調達を東京電力が監視するという、そういう形態なわけですね?」
更田は「うーん」と唸り、腕を組んで黙り込んでしまった。
原子力規制委員会にとって「東芝」の二文字はタブーとなっているのだ。触れちゃいけない。
東京電力に対してはなんぼでも怒鳴りつけていいが、原発メーカーの名前を出してはいけない。そもそも、事故が起きてもメーカーだけは免責される原子力に関する法制度が間違っているのだが……。
「困りましね、これね……うーん(また黙り込む)」
HICは米国製。アメリカがからんでいることも更田を悩ませる。この沈黙が何より雄弁に物語っている。
そもそも、日米原子力協定が間違っているのだ。
<どちらか一方の国がこの協定のもとでの協力を停止したり、協定を終了させたり、[核物質などの]返還を要求するための行動をとる前に、日米両政府は、是正措置をとるために協議しなければならない。そして要請された場合には他の適当な取り決めを結ぶことの必要性を考慮しつつ、その行動の経済的影響を慎重に検討しなければならない>(第12条4項)
つまり、日本人は何も決められない。決めるときはアメリカ人に相談しなくてはならない。アメリカ人が「これをやったらアメリカ人が損をするじゃないか」と言えば、何もできない。
東芝が粉飾決算疑惑のただなかにいることも事態をややこしいものにしている。
東芝とアメリカ。目を閉じた更田は「二人の王」を思い浮かべ、ただただ困っている。
更田はこんな言い方もしている。
「この実験は東京電力がやっているのか? それとも……これは恐る恐る聞くんですが、どこか他が提案してきているのか? どちらですか?」
「他」とは当然、東芝である。だから、「恐る恐る」になってしまう。
ベント孔から漏れたたまり水が発見されたHICは全体の30%弱。
ベント孔が付いていないHICは全体の30%超。
破裂しなかったのは「ロシアンルーレットをやったけど死ななかった」みたいな幸運といえるだろう。
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