追悼！ なぜだ？ 後藤浩輝騎手「日本の競馬は間違っている」後藤騎手の単勝馬券を握りしめていた約１年

　一度だけですがインタビューしました。

　むっちゃ笑顔がいい好青年でしたが、そのときはむっちゃ怒っていた。

「日本の競馬は間違っている」

　後藤騎手はアメリカから帰ってきたばかりだった。

　スタートからフルスロットルで飛ばすアメリカ競馬で負けまくって帰ってきたとき。

　印象に残っているのは、オリビエ・ペリエ騎手のコメントを引き合いに出したとき。

「みんながフェアに闘う日本競馬が大好きです」

　つまり、日本のジョッキーはペリエ騎手に「ここを通って下さい」と言わんばかりに道をあける。

　後藤騎手の答え。

「外国人にそんなことを言わせないように頑張るしかない」

　その後の約１年間は至福のときだった。

「ペースがゆるい」と後藤騎手が感じると先頭まで行くのである。

　逃げ馬じゃないのに。

　私は後藤騎手の単勝馬券を握りしめ、負けまくった。

　カネをドブに捨て続けた。

　ユーセイトップランのダイヤモンドＳ、３分１５秒で霧が晴れるのだから、競馬はゼニカネではない！

「アメリカに修行に行く」という心意気がいいじゃない。

　日本で乗っていたらその倍のカネが稼げたのだ。

　言葉に出してないけど、後藤騎手はこう言いたかったに違いない。

「ヨーロッパでちょっと乗って『世界を経験できました』なんて言ってるジョッキーはバカ」

　スタートからフルスロットル！　エスポワールシチー