「菅首相が船に乗ればテレビに映る。それだけは絶対にやめていただきたい」吉田昌郎所長
『カウントダウン・メルトダウン』(船橋洋一 文藝春秋)を読んでいます。
大変、気になる記述があります。
<細野(豪志)は、吉田に電話し、船を送るので、そこを従業員の宿舎として使ってほしいと言った。>
トイレは詰まっている。シャワーも浴びることができない。
ベッドがないので床に横たわるしかない。
事実上の「政府代表」だった細野補佐官は、
原発作業員の労働環境改善を申し出た。
2011年3月18日か19日のことです。
しかし、吉田所長はこの申し出を断ってしまうのです。
<吉田は細野に感謝の意を述べたが、その申し出を断った。
「原発事故のため、避難している被災者の方々が、いらっしゃる。彼らが避難している時に、現場の待遇だけよくすることはできません。被災者の方々の待遇をよくすることが先でしょう」>
ここまでなら美談。「吉田さんはやはり英雄だった」となります。
しかし、本当の理由はそのあとの言葉にあります。
<吉田は、もう一つの懸念を口にした。
「菅首相が船に乗ればテレビに映りますよね。それだけは絶対にやめていただきたい」
「オープンになるようなら、その船には(作業員の誰も)乗りません」>
太平洋を北上した船にテレビカメラがある。
絶対に映されてはいけないものが、原発の海岸にあったのです。
吉田所長のこの反応は、「自衛隊敷地内突入」のときとそっくりです。
3月14日07時30分頃。東電は自衛隊に給水車を要請します。
『カウントダウン・メルトダウン』を読んでも、
「最後の砦は自衛隊であり、米軍ではない」
「我々、自衛隊員が祖国を守る決死隊になる」
そんな覚悟がひしひしと伝わってきます。
しかし、吉田所長はなんとも煮え切らないのです。
「だから非常にありがたいといえば、ありがたいんですけど」(東電テレビ会議)
オフサイトセンターにいた武藤栄副社長に
「え?」と問い返されて、吉田所長は言い直します。
「ありがたい」
「だから、それは、これこそたくさん今、ポンプありますから、(自衛隊が)持ってきた水をろ過水タンクの中に入れるのは、いくらでもこちらでできますから」
吉田所長は自衛隊員を敷地内に入れたくなかったのです。
直後、吉田所長はテレビ会議のマイクから離れ、
「内輪で協議」した模様です。それを受けて、本店の誰かが、
「今1Fの方でちょっと検討してもらって、自衛隊の給水車7台は1Fの方で運転手を出して、車をぶんどって、それでやりたいとという話がありますんで、お願いします」
吉田所長は、日本の「最後の砦」である自衛隊から、
「車だけぶんどれ。隊員を中に入れるな」
そう命じているのです。
現場にいた者だけが知る「秘密」があったのでしょう。
| 固定リンク
« 原発再稼動はアメリカの命令?とんでもない!アメリカは40年前から「脱原発」国家だった!http://www.mag2.com/m/0001577514.html | トップページ | 米軍提供の車両をまったく使わず放置した東京電力 日米同盟をぶっ壊したのは東電だ! »
コメント