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2014年1月29日 (水)

UK論「まずは一歩を踏み出すこと。その先に、生きる希望がきっと見えてくるはずです」宇都宮けんじ

<一方、自分は物心ともに豊かであり、孤立とは無縁だと思っている人も、決して安心できないのが今の世の中です。会社が倒産したり大病を患ったりすると、負の連鎖によって一気に社会の底辺に転落しかねません。その可能性を考えれば、貧困の当事者を助けるということは、長い目でみれば、自らを助けることにつながることがわかるでしょう。貧困問題は、同じ社会に住むすべての人が共有する問題なのです。

 ここが大切なところです。反貧困運動は、当事者を救うのみならず、自分自身を助け、そして世の中をよくするための運動です。困っている人に手を差し伸べることが当たり前の振る舞いになっている社会は、すべての人にとっても行きやすい社会です。私たちは、そうした社会の実現を目指しているのです。

 逆に、困っている人に会っても、見て見ぬ振りをする者が少なくないのも事実です。見て見ぬ振りは、高齢の失業者やネットカフェ難民、障害者やシングルマザーをはじめとする社会的弱者を見捨てるのみではありません。悲惨な実態を黙認する当人に、密かにせよ、自らへの不信感を抱かせます。見て見ぬ振りは、自らの人間性を疎外するのです。

 このような人が多数派を占める社会は、すでに病んでいます。同じ社会に住む以上、他者の境遇をほんの少し想像してみれば、自分は関係ないとはいっていられないはずです。その意味で、反貧困運動は世直し運動となるほかないのです。反貧困運動はまた、貧困の当事者にとっても、そうでない人にとっても、他者への思いやりを復活させる運動でもあります。まさに、人間性の回復運動なのです。

 実際には、なかなか初めの一歩が踏み出せない人もいます。それは、抽象的な理念や本の知識ばかりが先行しているからではないでしょうか。大事なのは、「何とかしなければ」という気持ちの強さです。それがあれば、実際に現場に足を運び、手を差し伸べることができます。ちょっとした勇気と誠実さが、社会を変え、自分を変えるのです。

 まずは一歩を踏み出すこと。その先に、生きる希望がきっと見えてくるはずです。>

『弁護士、闘う 宇都宮健児の事件帖』2009年8月26日発行 岩波書店より

 路上へ。

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