2011年3月11日から2年10ヶ月、一貫して隠ぺいされているものは何か?
「3・11」その日の夜にNHK放送センターにいた堀潤はこう書いている。
<しかし、テレビでもツイッターでも流されなかった、ある重要な情報がある。
それは、福島第一原発敷地内からプルトニウムが確認されたらしいという一報だった。>
隠されたのは、プルトニウム。
<一一日午後9時頃、実はそんな一報が放送センターに入っていた。
「プルトニウムが出たって、メルトダウンじゃないのか。メルトダウンが起きていたら大変だよな」
NHK局内にはそんな声も飛んでいた。>
地震発生からわずか10時間後、NHKの「報道」は死ぬ。
<社会部はすぐにプルトニウムの原稿を準備したものの、実際に放送で流されることはなかった。>
私が「敷地内のプルトニウム」を知ったのは、2011年3月29日の未明だった。
日付が変わる頃、東京電力が記者会見で重大な事実を明かした。
「東電福島第一原発敷地内の土壌からプルトニウムを検出」
ネット生中継で記者会見を見た私は、テレビのブラウン管をぶっ壊したい衝動に駆られた。
NHKは、延々と無言の風景映像を流し続けた。
民放は、お笑い番組をやっていた。
「NHKは何をやっているのか!?」
堀潤によれば、NHKには報道管制の「大号令」が下されていた。
「視聴者にパニックを起こさせないように」
約2時間。NHKは「隠ぺい会議」をやっていたのだ。
やっとニュースが始まり、私は腰が抜けそうになった。
解説の山崎淑行記者がこう語り出したからだ。
「プルトニウムというと多くの方が想像するのが核兵器だと思います」
画面には、原子力災害とはなんの関係もない北朝鮮の映像が流された。
プルトニウム情報は北朝鮮へ「スピン」され、次に米ソ冷戦へと「スピン」された。
「プルトニウムってのはですね、実は1950年代、60年代に核保有国が大気中で核実験を何度もやったわけなんですね。その際にもプルトニウムを大気圏中に放出したわけです」
だから、今回検出されたプルトニウムも安全なのか?
「我々、日本人も含め、人類はプルトニウムのごく微量な中に囲まれて生活しているんですね、これまでも」
「今回、敷地内の2ヶ所で見つかったプルトニウムの量は、すでに核兵器の核実験によって世界にばらまかれた、日常生活に存在している量と同じだ、というぐらいなので、それによって健康被害がある、というのもこれまで言われていないので、人体には影響がないレベルだ、ということを、東京電力では説明している、ということではあるんです」
ウソつけ!!
呼吸によりプルトニウムを体内に取り込むと、肺に長く止まる可能性が高い。
肺がんのリスク。
血管に入ると、肝臓、骨、生殖器に止まる。
肝臓がん、白血病、遺伝障害のリスク。
外部被ばくでは、プルトニウムのアルファ線は皮膚を50ミクロンも進めば止まってしまう。しかし、体内に入ると当たった細胞に一気に大きなエネルギーをぶつける。
プルトニウム239の半減期は2万4000年。
2万歳まで生きる人類はいない。
プルトニウムの攻撃は一生涯続くのだ。
プルトニウムが「地上最悪の毒物」と呼ばれる理由はそこにある。
山崎淑行記者とは何者なのか?
最悪のウソをついた男が、その後、英雄のように語られるのだから……日本の「メディア空間」は腐り切っている。
2011年3月12日。山崎記者は視聴者にこう呼びかけた。
「政府はまだ発表していないが、原子力災害が深刻化する恐れがあるから、外出するときは長袖を着て、マスクを身につけよう。内部被ばくを避けるため、屋外のものを食べるのはやめて、換気扇を閉めてなるべく屋内に退避してください」
後に山崎記者が「クビになることを覚悟して、呼びかけた」と言い出したため、
「山崎は偉い」
「マスゴミの良心」
みたいな語られ方になった。
最悪のプロパガンダは、「プルトニウムは重い」というウソだ。
「放射性ヨウ素や放射性セシウムと違うのは、プルトニウムっていうのは非常に重いんですね」
「プルトニウムは、そういうガス化しない、物質として重い、固体なんです。だから、飛散はしにくい」
……ちょっと待て! 数十秒前の解説とくい違っている。
だったらなんで、海外で行われた核実験で「世界中にばらまかれた」プルトニウムが「日本人の日常」に普通に存在するんだよ!?
「現時点で20キロ、30キロのところに避難されている方々に対して、このプルトニウムが多量に飛んでいく、という問題はない、と考えていいと思うんですね」
そんなこと、言い切っていいのか!?
堀潤は「山崎記者は信頼できる」と書いているが、堀のNHK退社の最大のきっかけが、山崎記者の「プルトニウムは重い」プロパガンダだった、とも書いていて……どういうこと?
問題は堀のツイート。独自取材で矛盾をつぶやくたびに堀は上司から叱られた。
<その時はまだ苦言で済んでいたが、プルトニウムについてつぶやくと局内に大きなハレーションを引き起こした。九月三〇日、プルトニウムが遠くまで飛散していたことが明らかになった時のことだ。>
NHKは二度死んだ。
つづきはメルマガで
http://www.mag2.com/m/0001577514.html
最近のコメント