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2011年10月30日 (日)

三菱重工元社員の勇気ある告発 日本の「法人支配」をぶっとばそう!

泊原発3号機 09年は条件付き合格!?
(東京新聞「こちら特報部」8月22日付)

 東京電力福島第一原発の事故から五カ月以上が過ぎた。この間に政府や電力会社が進めた原子力施策のいいかげんさに気付いた人も多いはずだ。そんな折、そもそも原発事故を本気で防ぐ気があるのか疑いたくなる事態が判明した。独立行政法人「原子力安全基盤機構」(東京都港区)の元検査員が北海道電力泊原発3号機の検査で問題点を指摘したのに対し、上司が記録の“改ざん”を指示したというのだ。元検査員が実名で告発する。 (秦淳哉)

 「仕事に対するモラル違反はできないと思った。あえてドンキホーテになろうと決意した」

 原発検査の杜撰(ずさん)さを語る決意をした理由をこう語るのは、原子力安全基盤機構(JNES)の元検査員、藤原節男さん(62)。藤原さんは大阪大工学部原子力工学科を卒業後、三菱原子力工業(後に三菱重工と合併)に入社。その後は日本原子力研究所を経て、二〇〇五年に原子力安全基盤機構に入った。四十年以上も原発の安全検査にかかわったエキスパートだ。

 原子力安全基盤機構は、原発施設の検査と設計の安全性を解析・評価し、原子力の安全確保を目的に二〇〇三年に設立された独立行政法人。現在の曽我部捷洋(かつひろ)理事長以下六人の理事・監事のうち、旧通産省(現在の経済産業省)OBが三人を占める。実際には原子力安全・保安院の子会社のような存在で、全国にある原発検査の実行部隊といえる存在だ。

 藤原さんがどうしても納得できない出来事は二〇〇九年三月四日と五日、北海道電力が建設を進めていた泊原発3号機に対する使用前検査の実施中に起きた。
 減速材温度係数測定と呼ばれる検査だったが、正常だとマイナスとなるべき検査の係数が初日はプラスを示した。検査でマイナスにならないと、最悪の場合、原子炉が暴走する危険性がある。翌日は炉内に制御棒を挿入したこともありマイナスとなったが、藤原さんは二日間の検査結果から原子炉運転を条件付き合格として上司に報告した。

 ところが、上司の反応は意外なものだった。「これはまずい。初日のデータを削除するように」。これに藤原さんは抵抗する。「当たり前でしょう。安全性にかかわる重要な記録を削除するわけにはいかない。上司は合格にしなかった記録は不要だとの発想だった」と振り返る。

 記録改ざんを承諾しない藤原さんに対し上司は続けた。「出来の悪い検査記録の不備を指摘しているだけだ」。さらに「ボーナスをカットすることになる」「査定で評価を下げてやる」とまで言ってデータ削除を要求。藤原さんは「恫喝(どうかつ)ではないかと感じた」と話す。
 なぜ上司は記録改ざんに固執したのか。藤原さんは「親会社的な存在の原子力安全・保安院に報告するのに、一発合格でないと後で詳しく説明を求められる。安全基盤機構の評判が下がることにもつながる。欠点は出すなという気持ちが背景にあったのだろう」と指摘した。

 このままでは、らちが明かないと判断した藤原さんは三月二十三日、所属する部長に判断を仰ぐ。部長は問題を検討するタスクグループを発足させて調査に当たった結果、検査内容に手を加えず、そのまま提出すればいいとの結論になった。
 しかし、記録改ざんを指示した上司の問題は放置されたまま。藤原さんは改ざん問題の原因を明らかにするつもりで、検査結果の提出を拒否した。「これでは私が内部告発した事実だけが残る。記録改ざん命令があったことを不問にして、記録だけ出せと言うのはおかしい。上司に逆らった私の立場だけが悪くなってしまうと思った」と話す。

 結局、検査結果の提出期限とされた四月末から十一日遅れの五月十一日、藤原さんは部長命令に従って検査報告書を提出したが、その後は報復と思われる処遇を受ける。
 六月に配置転換を受けたほか、勤務評定は五段階の中で下から二番目に当たる「D」判定。七月支給のボーナスは8%減額された。理由は「部長の提出命令に従わなかったため」。藤原さんが「D」判定を受けたのは四年の勤務期間の中で初めてだった。半年後の勤務評定も「協調性がない」との理由から同じ「D」判定とされた。

 機構内の業務改善目安箱と呼ばれる制度を使ってD判定の問題性を訴えたが、結論を出すのも大幅に遅れた上、結局は藤原さんの主張を退けた。
 二〇一〇年三月、退職を迎えた藤原さんに対し、さらに追い打ちをかけるような仕打ちが待っていた。機構への再雇用を希望した中で、藤原さん一人だけが再雇用を認められなかった。「過去の勤務成績が悪く、D判定が二回続いた」ことが理由とされた。
 原子力安全基盤機構による検査の杜撰さは、藤原さんが告発した事例にとどまらない。二〇〇九年から一〇年にかけて関西電力大飯原発3号機に対し実施した定期検査でも、蒸気タービンの配管一本を検査してなかったことがつい最近発覚したばかり。

 藤原さんの主張に対し、原子力安全基盤機構の担当者は「裁判で係争中のことなので司法が最終的に判断することだが、検査の途中経過で藤原さんと上司の間で議論があったのは事実。しかし、記録の削除を命令したわけではない」と否定する。藤原さんの評価についても「業務の成果を適切に評価した結果だと思っている。再雇用するかどうかも総合的に判断した結果」と話す。
 藤原さんが検査に当たった泊原発3号機は、約五カ月にわたる異例の調整運転を経て、十七日に営業運転を再開した。福島原発の事故後、再開した原発は泊原発3号機が初めてだ。

 一連の機構の対応に対し、藤原さんは昨年八月、再雇用の地位確認と慰謝料など約二千八百万円の支払いを求めて東京地裁に提訴した。裁判では原発の安全性確保のため内部告発の重要性も訴えるつもりだ。
 「内部告発の無視は結局、告発者の摘発を許すことになる。これでは『どうせやっても無駄だ』と誰も内部告発する人がいなくなってしまう。告発をきちんと取り上げる制度になること。これが切なる願いですよ」

<デスクメモ> 原子力の「安全神話」は、もともとウソにウソを重ねた虚像。報告書の改ざんなど今さら驚きもしないぐらいだ。その安全神話を前提とせずに、許容できる原発などあるものだろうか。事故は起きるかもしれず、起きれば対処の手段すらない。すべてがわかった。この危険に見合う国益などあるのか。(充)

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