高山文彦様
高山さんにお会いしたのは、赤坂プリンスホテルの最上階のバーだった。
高山さんが、そこに編集者を呼びつける、って場面だったと記憶していて、わしもうまい酒が飲みたいからついていった。
ライターって同業者と会う機会がほとんどなくて、わしは本当は会いたい。会って、「こういう雑誌はどうですか?」という話がしたい。わしは高山さんの読者でもあるし。別冊宝島をやっていた頃は、けっこうそういう機会があって、「よし! わしらで雑誌創刊じゃ!」って言い合っていた。ひとつも実現しなかったけど。
現代シンポで高山さんは、農業は楽しい、って延々と話していたけど、もう一度、あのバーでお会いしてその話を聞いたら、やっぱり、「故郷の山がなあ」というお話になるんだろうか。わしの故郷にも畑と山があるから。
赤プリのバーでそういう話をしているわしも高山さんも、多分、この国の、大多数の絶望している人たちに届く言葉は書けないと思う。
平凡パンチ時代、わしも忘年会の二次会は帝国ホテルのスイートだった。
ただ酒飲み過ぎてますもん、わしら。
ジャーナリストの皆さんは、死体を穿り回し、死に慣れっこになり、死に対す感情を失う訓練を施され、震災の神戸から帰って、大阪のホテルの最上階で酒を飲んでいた。
「書きたくない仕事は断る。長編しかやらない」
いいなあ、高山さん。
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