マツリダゴッホ よーし、回った!
という叫び声を上げたのは、やっぱ、初めてかも。
マツリダゴッホ、去年の天皇賞(秋)はひどかったもの。
好位にいるのにコーナーで外に逸走し、手前を替えてからリズムがバラバラ。
そうなったのならまだ、あきらめはつく。
JCでは外に馬がいなかったのに、距離ロスなく、スピードに乗って4コーナーを回った。
よっしゃー!!
ここでアドレナリン、なんだから、やっぱり、JCは濃密。わしはこのレースが世界一好きだ。
中山との違いはその直後。
蛯名騎手は「手前を替えろ!」と、明らかに操縦して、マツリダゴッホも瞬時に従う。
美しい。そう思ったが、中山でのマツリダゴッホは、手前を替えた瞬間にビューンと加速するのだ。右回りなら、ジョッキーの指示ではなくて、手前を替えた瞬間にキレる。
そこからの破壊的な、パンク・ロックな、他人に迷惑な競馬こそがマツリダゴッホの真骨頂。
でも、東京では、ただ「真面目に走っている」という姿になって、瞬発力、最高スピードで勝るウオッカ、ディープスカイと同じタイミングのゴーサインになって……。
後ろにいたデムーロ騎手の「馬への張り付き方」は尋常じゃなかったね。
人馬流線型、とでもいおうか。
勝つ馬の手応え、を絵にしたらこうなるんだろう。
わしは3番手評価にしかできなかったけど、スクリーンヒーローの勝利は、相互作用する複雑系のおかげじゃない。フロックで、あるわけない。
パドックでは細く見えるぐらいに薄い皮膚の下に隠されていた筋細胞が、400メートルの直線で膨張、爆発し、ゴール板を過ぎたスクリーンヒーローのシルベスター・スタローンっぷりはどうよ!?
JCがなぜ、世界一好きか?
サラブレッドが一番美しいレースだからだ。
今年もまた、スクリーンヒーローは息苦しいほど美しかった。
父、グラスワンダーの記憶を手繰り、酒を一口飲み、「芝の奇跡」という名前の馬の記述を探しに本棚に行き……。
競馬は豊かだ。裾野が広い。裾野は海の深さまで続いている。
人生を浪費している、と笑わば笑え。
競馬はギャンブルの王様……いや待て。これで、控除率18%ぐらいになれば、心の底からそう言えるんだが。
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