なぜ、世界から需要が消えたのか?
たとえば、テレビ。ビックカメラに行って、いつも思うのは、液晶テレビ、プラズマテレビが絶望的に値崩れする中、ソニーの有機ELテレビは1台しかない現状が1年以上続き、価格は今も20万円のままだ。
たとえば、携帯電話。IFHONEの値段は、8万円もする! パソコンが買えるよ!
つまりは、ほしい新製品がない、ということ。
資本主義は「差異」を失った。
それが第一の理由。
もうひとつは、製造業のコペルニクス的転換だ。
たとえば、プリンタ。キャノンは6000円台のの最安値商品を売ろうとしているが、ビックカメラの店員が客を止める。
「インクが高いことをご存知ですか?」と。
インクは1本2300円。
製造業は、ファンド資本主義に飲み込まれたのである。
ここ10年、世界の大金持ちは、何に投資してきたか?
株でも石油でもない。毎月、安定して、一定の現金が入ってくる(客から毎月現金をもらう)ビジネスモデルだ。
サラ金、住宅ローン、自動車ローン、学生ローン、携帯電話の通信料金、プリンターのインク代金、タクシー、トラックのリース代金、保険料などなどだ。
そこに投資が集中し、製造業が破損しなければ、0円携帯電話なんて、登場するはずはなかった。資本主義の原則から外れている。製造コストが無視されているからだ。
かくして、「交換」がこの地上から消えた。
あるのは「信用」だけになった。
わしは、キャノンの激安プリンターのユーザーだったが、インクの倍以上の値上げで、「信用」をぶち壊したのは、日本の優れたメーカーだったキャノンである。
「信用」をコーポレーションの側が壊したら、それは「詐欺」である。
トヨタの北米向けビジネスも、そのほとんどが「交換」ではなく、「信用」になっていた。
一年後、収入が落ちていることはないから、自動車ローンを組んでも大丈夫。
この、1億人の気持ちが消えた。
トヨタの車のローンを提供していたのは、GMだった。リーマンであり、メリルリンチだった。
資本主義の動力は「信用」ではない。あくまでも「差異」だ。
「信用」なんてもの、たやすく消える。朝起きて、消えていたのが、大和生命に対する「信用」だった。
トヨタが60年近くずっと黒字だったことには「すごい!」と拍手をおくりたい。
しかし、100年続いたコーポレーションはほぼ皆無なんだよ。
コーポレーションは、まず間違いなく、借金をして、人のお金で博打をやって負ける。
博打打ちが絶対やってはいけないことを、コーポレーションは人ではなく「法人」だから、なんのためらいもなくやって、負ける。
そこから、詐欺行為に走ることも、ためらいゼロ。
放送局も出版社もコーポレーションである。
だから、同じコーポレーションの犯罪、企業犯罪を報道せずに、「官僚が悪い」と無理やり言いくるめる。
「情報」もまた、単なる詐欺になっているわけで、気づいたときはもう手遅れ。
なぜ、世界から需要が消えたのか?
人類の大半が、製品に、サービスに、ではなく、「希望的観測」にお金を払っていたからだ。
先進国も途上国もイスラム圏も社会主義国も関係なく。
資本主義者、コーポレーション経営者はどうする?
希望にすがりつく?
それとも、本気で差異に向き合う?
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コメント
ほしい新製品がない、資本主義は「差異」を失った。
そうだろうか?
日本ではそうかもしれない。でも、世界ではそうじゃないだろ。
テレビを、携帯電話を、パソコンを、自動車を、持っていない人間はいる。
彼らにとっての差異は、ある、ない、だけじゃないの?
…なくなったのは需要じゃない。
自分でも書いているじゃないか、「朝起きて、消えていたのが、大和生命に対する「信用」だった」って。
製造業は、ファンド資本主義に飲み込まれた。
人類の大半が、製品に、サービスに、ではなく、「希望的観測」にお金を払っていた。
そんな「信用」を動力とした資本主義から、「信用」が失われた。
だから、回らなくなった。
これが正しいんだろう…多分。
で、「希望的観測」の中身って何さ?
米国最強、世界経済好調は100年続く、黄金時代到来…要するに、米国賛歌だよね。
それが間違いだったってことはわかった。
そして、国家が消滅する…。
ならねぇよ!悲しいけど。
じきに別の「希望的観測」が出てくるよ。
“そうだったほうが都合が良いから”ね!
世界恐慌の末に生まれたのは冷戦構造という秩序だったじゃないか。
冷戦の末に生まれたのは米国下の繁栄だったじゃないか。
問題は、それまでに多くの血が流れるということだけ。
すでに米中間の喧嘩は始まっている。
中国政府は広東省および上海を中心とする長江デルタ地域と香港・マカオ間などにおける貿易の決済を人民元で行う試みを始めると発表した。
ドルと元が殴りあう夢のような展開になるのかもしれない。
その戦いに日本が巻き込まれない理由はどこにもなく、そして、「戦いがおきるとき、真っ先に流れるのは若者の血である。そしてそれが報われることはあまりにも少ない」のだ。
投稿: うへ | 2008年12月28日 (日) 15時00分