資本主義の400年マトリックス
わしがその「壮大なるウソ」に気づいたのは、マルクスを読んだことでもなければ、第二次大戦の悲惨な歴史を勉強したことでもない。
休刊を発表した月刊『現代』の取材でわしは三井住友銀行本社の応接室にいた。
対面していたのは、米シティ・グループからヘッドハンティングされた若い重役。日本人だ。
話がかみ合うことは一度もなかった。
ま、簡単に言えば、わしはバカにされ続けた。
バカにされ続けて思ったのは、ここで、このテーブルで、この優秀なバンカーと二人、たとえば、レンガ一個、1000万円の札束をテーブルに置いて、じっと観察し続けたら、その金が小さな金を生みだすさまを見れるのか、ということ。
取材のテーマは、アメリカ型経営、グローバル・スタンダードだったのが、シティから三井住友に移ってきた重役は、「我が銀行の最大の売りは信用だ」と言う。
お前、わしらの税金をなんぼ引っ張ってきたんだよ?
わしは当然、そう思う。
その直後から、銀行関連書物を読み漁った。
結果、100年続いた銀行は存在しないことを知った。
同時にシェイクスピアの『ヴェニスの商人』を読み返した。
キリスト教もイスラム教も「利子」を取ることを厳しく禁じていることも知った。
「利子」は何のためにあるのか、本を読んでも納得できる説明はひとつもない。
そうしてるうちに「9・11」が起こり、世界はめちゃくちゃになった。
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