フルキャストさん?
競馬でやられ、ジュンク堂書店で座り読み。
世界を不幸にするアメリカの戦争経済 イラク戦費3兆ドルの衝撃 著者:ジョセフ・E・スティグリッツ,リンダ・ビルムズ |
戦争のコストに関する書。イラク戦争の戦費がすでにベトナム戦争のそれを超えている、というのは衝撃かも。
雨が降り止まないので、池袋駅西口交番前にしゃがみ込んで『大恐慌』という昔の新書を読んでいたら、
「すいません。フルキャスト?」
30代と思しきにいちゃんから、声をかけられた。
「ちゃいますよ」
ちょっと語気が荒くなるわし。
日雇い派遣の待ち合わせ場所だったんですね。
日曜日午後8時からの仕事?
我が祖国は、日本人は、これからどうやって生きていったらよいのだろう。
アメリカは、おそらく、戦争経済を続けるのだろう。
ロシアも中国もブラジルもアルゼンチンも変わった。
誰もドルを受け取ろうとしなくなった。
自前の資源、農業で生きていこうとしている。そう決意したとたん、景気は格段によくなった。
グローバルという言葉はすでに幻だよ。
我が祖国の政治家は、一体、誰を、どんな業界を代表しているのか?
少なくとも言えるのは、半導体にせよ、フラッシュメモリーにせよ、液晶テレビにせよ、
「日本製品が明らかに世界一で、しかし、思い切った投資ができないために他国の粗悪な商品にシェアを奪われかけている」
この局面で我が祖国は、祖国の企業を助けようとはしなかった。
サムスンとの闘いに勝っていたら(あらゆる側面から分析して、勝ち戦はいくらでもあった)、我が祖国の光景はこんなじゃなかったはずである。
漁船を真っ二つにしたイージス艦一艘の値段で、フラッシュメモリーの大工場建設は可能だったのである。
日本政策投資銀行は何のために存在しているのか?
ブッシュ父、ウサマ・ビンラディンの兄がともに投資しているアメリカの軍需産業ファンド、カーライル・グループにわしらの血税を注ぎ込むため?
もっとやることがあるだろう。
ノキアより優れた携帯電話を世界の人に買ってもらうことは悪か?
サムスンとシャープの液晶テレビを並べたら、どっちが安くてきれいか、誰だって理解してくれたはずだ。
トヨタだけは勝ち組か、と思っていたら、原材料の高騰でハイブリッドカーを値上げ。原油高騰で自動車の市場そのものが縮小の一途だ。
高度資本主義社会、第三の波、グーグル革命……すべて幻だった。
資源を持つ国が強い。資源を持つ国が偉い。
グローバル資本主義は20世紀初頭に先祖がえりしているかのようだ。
インド洋での給油活動を継続することで、原材料、エネルギーは安くなるのか? 日本のメーカーは勝てるのか?
中小企業支援は、幻の信用を生みだすこと、融資ではない。仕事を生み出さなきゃどうにもならない。
証券化ゲームは終ったのだから、株式市場への資金流入が一国の景気を牽引することはない。それはすでに世界の常識でしょ? 中国でもインドでもベトナムでも。
景気対策と言うのなら、シェア争いの「勝ち戦」を確実に勝つための資金集中しかない、とわしは思うがなあ。
たとえば、世界中のパソコン、携帯電話のディスプレイを日本製の有機ELにする。その一点に税金を集中する。
非ガソリン車はすべて日本製、という状況を作る。バイオエタノールより安い自動車の動力を普及させる。その一点に税金を集中する。
フルキャストさん?
そう語りかけてきた「負け組」にいちゃんを勝ち戦に送り込む。その一点に税金を集中する。
できることはいくらでもあると思うがなあ。
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