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2008年8月31日 (日)

なぜ、ロシアは強気なのか?

 たとえば、わしが1万円札を信用せずに、ギャラが入ったら、すぐさま金の現物(ゴールド)を買って、買い物をするときは、いちいち、ゴールドを円に替えて暮らしたとする。

 生活が苦しいことに変わりはないが、少なくともそうしていたら、「食料品が高い」とは感じなかった。逆に、小麦、ミルク、卵、食用油、ラーメンなどを買うとき、

「安いじゃん!」

 となっていた。

 今の世界のむちゃくちゃさは、ここから読み解けるんじゃないか、と思う。

 原油、穀物の高騰は大問題だが、金本位制がまだ健在だ、と考えると、穀物は「対ゴールド」では高騰していない。逆に安くなっている。原油先物はバブルだが、まだしっかりとゴールドの価格と連動している。

 問題は、この現象に対する解釈だ。

 サブプライムローン問題の発生で、世界の大金持ちは、証券取引市場から資金を引き上げた。

 証券化ゲーム、信用拡大ゲーム、新紙幣印刷合戦の終焉である。

 それでも、金持ちは資産を増やしたいので、原油先物、穀物先物、そして、金の現物(ゴールド)を買った。

 原油、穀物とともにゴールドの価格も高騰した。

 今、盛んに議論されているのは、「マネーの暴走」といったようなことである。行き場を失ったファンドマネーが原油、穀物に流入。結果、わしらの生活を圧迫している、という議論である。

 しかし、ゴールドの高騰については、「マネーの暴走」とは誰も言わない。実存するゴールドの100倍の量のゴールドが市場で取引されている、とか、原油で起きているようなバブルも指摘されていない。

 ゴールドはドル紙幣と違って、戦費捻出のために増刷することはできない。

 新自由主義経済学の説明では、株も原油も穀物もゴールドも市場原理によって価格が決定されるのだが、価格を金本位制、ゴールドの価値で決定するならば、価格が大きく変動したのは、株のみ。貨幣としてゴールドを使っている人にとっては、ガソリンはそんなに高くはないし、パンは逆に安くなった。

 では、原油を貨幣と考えればどうか?

 小麦を貨幣と考えればどうか?

 恐慌とは、ありとあらゆるモノの価値が急激に縮小、下落することだろう。

 今の世界は恐慌状態ではない。

 一万円札、株券、証券など紙切れの価値が急激に縮小、下落しているだけなのである。

 ロシアの強気の元はそこだ。

 ロシアのグルジア侵攻の直前、欧米のファンドマネーがロシアの市場から消えた、という話を聞いた。ロシアは、国内証券市場へのドルの流入とマネーゲームで国は豊かになる、という考え方を捨て去ったのだと思う。

「資源本位制」とでも言うべきものに舵を切ったんだと思う。

 マネーゲームなんかやらなくても、原油、天然ガスの高騰で、金は有り余っている。

 一方、大統領選真っ只中のアメリカはどうか?

 アメリカも恐慌に向かってはいない。

 前世紀の大恐慌の最大の問題は、ウォール街の大暴落よりも食品価値の下落と農業の崩壊にあった。

 今のアメリカは真逆。バイオ燃料ブーム、穀物先物の高騰で、農民は100年の1度の好況に浴している。

 ジョージ・W・ブッシュは、農民再生という先進国の権力者が誰もなし得なかった離れ業をやってのけた。『怒りの葡萄』の子孫たちは、トラクターにディスプレイを装備し、穀物市場をチェックし大笑いしている。

 穀物地帯は、共和党支持層の中枢。当初、圧倒的不利だったジョン・マケインが支持を伸ばしているのはそのせいか。

 一方、バラク・オバマの後ろ盾は言うまでもなくウォール街だ。

 オバマは今、リストラされた金融屋に対するお悔やみの言葉連発の日々だろう。

 そう見ていくと、グルジアの流血は、ブッシュとプーチンの共同作業に思えてならない。

 証券市場は手仕舞い。

 工業はろくな製品が作れないので新冷戦の軍需で支える。

 地球温暖化の危機をあおり、原発を世界中に建設する。

 強いアメリカ。強いロシア。そう言っておけば、両国の政治はなぜか安定。

 新たな儲け話が出てくるまでは、両国とも資源本位制で乗り切る。

 インフレは、全国民から税を徴収するのと同じことなので放置。

 すでに大国の国民は貧しさに慣れている。

 じゃあ、我が祖国、日本はどうすりゃいいの?

 この期に及んで「株取引減税」とか言ってるんだから、わしゃ、茶の間で腹ばいだ。

 東京証券取引所の売買高を見てみ。

 すでに手仕舞いじゃん! 完全に終ってるじゃん!

 資源も穀物もないんで、「ブラビア本位制」? 「レクサス本位制」?

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