FBI対ウォール街
FBIの金融犯罪部門が、サブプライムローン問題をめぐって、14社を捜索していることが明らかになった。
まあ、これまで何度も繰り返されてきた法とコーポレーションの問題だ。
資本主義とは、巨大な詐欺なのか、否か。
またしても、この問題が浮上した。
問題自体は、19世紀からのリフレインなのだが、わしはどうしても「9・11」を思い出してしまう。
「9・11」以前と以降とでは、経済犯罪の質が大きく変わってしまったのではないか。わしはそう考えるからだ。
1990年代、アメリカでは「アメリカは世界のスーパーパワーじゃなきゃいけない」という考え方、いわゆるネオコンが台頭した。
ネオコンがまとめた報告書には、「しかし、理想を実現するためには第2の真珠湾攻撃のような契機が必要」とも書いている。
確か2000年だったと思う。サダム・フセインは、「石油を売った金はユーロでしか受け取らない」と宣言。信じがたいことだが、「ドルはいらん」と言っただけで、厳しい経済制裁を受けていたイラクは、国益を大きく伸ばした。それを見た周辺産油国もイラクに同調しようと動き、それは現在も続いている。中東産油国は基軸通貨であるドルを大きく揺さぶっているのである。
そんなさなか、サウジアラビア人を中心とするイスラム過激派による「9・11」事件は起きる。
そして、イラク戦争。サダム・フセインは処刑された。
わかりにくいとは思うが、ここで、場面は第二次大戦直後のブレストンウッズ会議に飛ぶ。
この会議の主人公になるはずだったケインズは(実際に大物中の大物だった)、大恐慌と世界大戦という悲劇を繰り返さないために、国家間取引のための新たな通貨が必要だ、と力説した。
つまり、世界はグローバル化しているのに、どこかの国の通貨がスーパーパワーを持つ、あるいは、持とうとする限り、悲劇は終らない、ということだ。
ケインズの予言、的中してるでしょ。
アフガン、イラクで罪のない人が大量虐殺された。
サブプライムローン問題とは、金貸しが貸してはけない人に金を貸した、ってだけの話だ。「返ってくるはずのない金」を証券化し、貧乏人の借金を金融商品に紛れ込ませ、ここからはまるで信じられないことだが、世界中のリッチでクレバーな人たちが「この証券は上がる」と思った。
その背景にあるのがドル支配だ。
世界中の国家間取引、少なくとも石油取引がドルで決済されている限り、アメリカはドル紙幣を印刷するだけで、利益は約束されているのである。
そんな世界で、誰が苦労して画期的な新商品を開発しようとするだろう。
したがって、アメリカはもうモノを作らない。
第二次大戦後のむちゃくちゃさは、ケインズ案が反故にされたことから始まっている。
ジャパン・アズ・NO1? そんなもん、為替レートで潰してしまえ。円高で圧勝。
ヨーロッパが通貨統合?
うーん。
なに? イラクがユーロでしか石油を売らない?
うーん。うーん。
戦争じゃ!
中国もブラジルも……。
うーん。うーん。うーん。
悩んでいるうちに、ウォール街のバカ野郎が、サブプライムローンという詐欺を編み出して……。
モノラインの保険屋が保障しているから大丈夫。
保険屋はムーディーズがAAAの格付けを出しているから大丈夫。
FBIが最初に摘発するのは、おそらく、メリルリンチの粉飾決算だ。
ぞろぞろ出てくるぞ、投資ビークル、特別目的会社……。
FBIが本気でやったら、アメリカ大統領選は延期だな。オバマもクリントンもウォール街の代理人だもん。
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