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2007年12月30日 (日)

パキスタンではまず、銀行に火が放たれた

 まず、朝日新聞2面には、こう書いてある。

<内務省によると、29日までに174の銀行や72の鉄道車両、18の駅舎などが破壊され、被害額は数千万ドルに及ぶ。>

 次に6面。ロンドン大学教授(国際政治)アナトール・リーベン氏のコメントのタイトルは、

<民族抗争 再燃の懸念も>

 新聞の欺瞞はここにある。

 ブットさんが殺され、暴徒化した民衆はまず、銀行へと向かったのである。

 なぜ?

 朝日新聞はこれには答えない。

 パキスタンの銀行は、二重の裏切りを犯している。

 イスラムの無利子銀行が、資本主義社会において最初に設立されたのはパキスタンなのである。

 1950年代、というあやふやな数字しかわしにはわからないが、パキスタンは建国直後に「利子を取らない金融システム」を実験した国であった。

 であったにもかかわらず、パキスタンはIMF、世界銀行の融資を受け入れ、その指導の下、貿易自由化、国営企業の民営化、公共サービスの民営化、労働市場の柔軟化などなどにまい進してきた。

 日本からの莫大なODAはそれを支えた。

 外国からの借金で、パキスタンは、軍政だろうが民生だろうが、事実上、アメリカの言いなりに行動する国になった。

 イスラムの理想がこれほどまでに裏切られた国はなく、建国に熱狂したパキスタンの人々の恨みは深い。

 まあこれも、1時間ぐらいでわしが勉強した背景だが、朝日新聞はこのような事情をまったく無視している。

 朝日新聞は、ロンドン大学教授(そんなの関係ねえ!)に、暗殺の犯人を「イスラム過激派」(なぜ、最近は「原理主義者」と言わないのだろう)と断定させ、すべてを「民族抗争」のせいにする。遠くて、貧しくて、汚くて、とるにたらない国に起きる問題はすべて、民族、宗派の対立が原因だ。ロシア近辺、アフリカ、南米も。

 この欺瞞を口にして、まったく恥じない人が1万人ぐらいいる。

 問題は、金を掠め取って行った詐欺師たちなんだよ。

 だから、銀行に火が放たれる。

「文明の対立」でも「歴史の終わり」でもない。

 21世紀は、「清算の時代」なのだ。

 きれいになるといいねえ!

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