資本主義社会の恐怖
株をたくさん持っている人、株式投資が楽しくてやめられない人は、どんな夜をお過ごしでしょうか。
ニューヨークでは、1万3000割れ寸前の急落。サブプライム問題は、今後も「あっちでドカン、こっちでもドカン」のイラク、アフガン、パキスタン状態にある。
みずほもドカン!
サブプライムローンって、要は貧乏人の借金でしょ。それを証券化して、誰が儲かるの?
なんで、貧乏人の借金の証書を、ものすごく頭のいいウォール街の人たちが買って持っているのか!?
そもそも、なんでもかんでも証券化すればいい、という思考に人間が陥った理由はなんなのか?
バブル崩壊の頃、土地問題を解決する決め手は、土地の証券化だと主張する人がいて、いや実際、バブルが崩壊しなければ、国策になっていた。
証券化で、私が一番好きな商品は、エンロンが編み出した「パイプラインの空き容量取引証券」である。実体がどこにあるのかまるでわからないが、幻想的でしょ。
もっとスケールが大きいところでは、CO2排出権証券。売り買いすれば、地球は生き延びられる、と多くの頭のいい人が主張しているが、なんの役にもたっていない。
要するに、証券化は人間の活動すべてを博打化する。「買う奴がきっといる」となれば、どんなことでもカードにしてカジノのテーブルに載せてしまう。
17年前、我が国を襲ったのは、日経平均先物である。仕掛けたのはソロン・ブラザース。1990年1月17日にニューヨークで上場して、売れに売れた。日本経済新聞に載った最初の名前は、「日経平均プットワラント」。プットだから、今の日経平均の数値、3万5000円だとすると、数ヵ月後に、その金額で売ることができる権利である。
で、3ヶ月もしないうちに日経平均は3万円を大きく割り込んだ。
今は日経平均が2万8000円だが、その証券を手に入れた人は、3万5000円で売ることができる。
しかし、これは「経済」なのだろうか。
もっと奇妙なのは、日経平均プットオプションと現物の株を同時に買えば、サヤが取れたという当時の現実である。日本株の主要銘柄をバスケットにして買う。ほぼ同額の日経平均プットオプションも買う。
それで儲かる。バブルは崩壊していたが、日本株が反発してもこのやり方なら儲かったというのである。
ルーレットなら、赤と黒に50ドルずつ張る。バッタ巻きなら、上下に1万円を張る。香港だったら大にも小にも10000香港ドルを張る。
なんで、そんなイカサマがまかり通ったかというと、ソロモン・ブラザース一派以外の賭場の客、プレーヤーはすべて、株に金を張って「買うか、売るか」しかしていないからである。
でも、イカサマはイカサマじゃけえ。それで儲かったら、鶴田浩二の出番でしょ。
「サイコロ改めさせていただきやす」
鶴田浩二は、ここ20年、日本にはひとりもいない。検察、弁護士、政治家がヒーローになることはあっても、市場ギャンブルの取締役は一人もいない。
そして、日本の景気はいいのに(と、経済企画庁が言っていただけだが)、株価は大暴落、100兆円をはるかに越えるゼニカネが一瞬にして消えた。
ソロモン・ブラザース一派は、日経平均が下がることにまず大枚を張り、リスクをヘッジするため上がってもサヤが出るように現物株を買っていたのだから、株が下がれば、現物株を売る。さらに株価は下がる。
日経平均先物を買っていたやつだけが高笑いする。
もう一度言う。しかしこれ、「経済」なのか!?
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