山田洋次は説教臭いが、吉永小百合はいいねえ
『母べえ』の試写会に行ってきた。
山田洋次監督には、なんかトラウマのようなものがある。
私の父は共産主義者で党員なのだが、私が帰郷していたとき、テレビで『故郷』という映画をやっていた。
これが1から10まで説教臭い。なんかみんなが歌うシーンかなんかで「なんじゃこりゃ」と思って、チャンネルを替えようとしたら、テーブルの奥で焼酎を飲んでいた父が滂沱の涙を流している。
なぜ?
藤沢周平原作の時代劇でヒットを重ねていた山田洋次監督が、昭和10年代を描くという。
悪い予感、するよね。
で、予感的中。
説教くせえ!!
こんな時代があったんだよ。
知っとる!
こんな母親、今、いるか?
いるわい!
端正、なだけなんだよな。
もちろん、吉永小百合はお金を払うべき女優だと思う。でもなあ……。
大物すぎる→「いい役」しか回ってこない→「いい役」ってやっぱりリアリティに欠ける、ってことなんでしょうか。
シネリオに出会えない映画ばっかり。
明らかなミスキャストは夫役の坂東三津五郎で、私が歌舞伎座に行くといつも出ているが印象がほとんどない。銀座マリオンの銀幕でも同様。吉永小百合の夫だぞ。なのに、吉永小百合に愛されている理由がさっぱりわからない。
政治的にもあいまいで「転向しようとしているのに権力に認められない」という不条理はわかるが、「お前は何者だ?」という疑問が最後まで解決されない。ただ汚く臭くなっていくだけ。やつれてもいかない。
で、死ぬ。
悲しいよ、映画的に、山田洋次監督!
ヒリヒリさせてよ、日本映画!
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