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2007年8月20日 (月)

バカ映画を観て知ったこと

 そろそろ、『小説宝石』が出る頃なんで、宣伝。

 私は世界のバカ映画について書いた。

 初めはエジプト。この地はコメディ映画の宝庫である。砂漠にお笑い資源はいくらでもあるのだが、これを日本の映画会社は紹介しない。

 エジプトはどこにある?

 アフリカ大陸である。

 しかし、ほとんどの欧米人はエジプトを「アラブ世界の国」と言う。

 なぜ?

 フランスの植民地だったセネガルも国民のほとんどがイスラム教徒である。

 マンベティ監督の『ル・フラン』『太陽を売った少女』は本当に素晴しい映画で、今回の取材の最大の収穫だったが、映画の背後に通低音のように流れているのはコーランだ。ジャスサックスとイスラム経典とアフリカの民族楽器が混在とした音楽がまず、私を直撃した。

 マンベティ監督は「アフリカで初めてコメディ映画を作った監督」と「アフリカ映画祭」のパンフレットには書いてあるが、エジプトは映画創世期からずっと100年近く、コメディ映画を作り続けてきた国である。

 セネガルがアフリカでエジプトはアラブ?

 まず、この線引きが私にはわからない。

 実際、私が取材したアラブ人ジャーナリストは、インドの『ナトゥ 踊るマララジャ』のように、エジプトのバカ映画を日本に紹介しようとしていた。長すぎる、という理由で編集作業に入っていたとき、「9・11」が起きた。その映画はカナダのトロント映画祭で上映されたが、外国から映画祭に来ていた人のほとんどは帰れなかった。

 そして、エジプトのバカ映画を日本に紹介しようとしていたアラブ人ジャーナリストはこう言われた。9月12日、ただ一言。

「この話はなかったことに」

 アメリカ人が死んで、作品はイスラム圏のバカ映画だったから。

 こんな風に多くの映画が消された。エジプトが「9・11」に何の関係がある?

 ところが、3年ほどすると、ディナー、映画、その後の一杯を甘受できる欧米人、日本人はこう言ってくるんだな。

「イスラムの国の映画が見たい」

 勝手だね。

 結果、2006年「アラブ映画祭」で、日本人はアーデル・イマームの『テロリズムとケバブ』に笑った。連日満員の盛況だったとか。お蔵入りしていた『カンダハール』も全世界で上映され高い評価を得た。

 でも、諸君。諸君は、アラブ映画を観たことある?

 グローバリゼーションとは、アラブのバカ映画を観ることができること、と私は考えている。しかし、アメリカの映画ロビイストは強力で、映画大国フランスですら上映される映画の8割がアメリカ映画、という現状が続いている。「文化にお金を出す国」の代表であるフランスは、アフリカの最貧国ブルキナファソに資金援助し、アフリカ最大の映画祭の運営に協力している。マンベティ監督が死んだのも、『ル・フラン』で痛烈に批判した旧宗主国フランスのパリだった。そして、マンベティ監督がまだご健在だったら、多分、私はフランスまで行かないと『ル・フラン』のDVDを手に入れることはできなかった。

 グローバリゼーション?

 米英仏の、ただ下品で、ただ無謀で、ちっとも笑えない映画しか観られないこの国で、誰がどの口でそんなことを言っているのか。『ジャッカス』? 『ボラット』? そんなんより、北朝鮮の『わが家の問題』の方が100倍面白いよ。

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