エンロンより悪質。自覚なし

　堀江貴文さんのことをどういう風に分析したらいいのか、正直、わからない。

「一部の人たちに嫌われていた」からこうなった？

　違うよ。

　普通、「俺は嫌われてるな」と思ったら、「なんで？」って思うじゃん。

　堀江は思わない。

「いい人キャラ」だとミーハーな人たちが来るからうざい、と言う。

　だから、国策捜査が入った？

　違います。

　なんか書いてて空しいんで、いちいち発言を検証するのはよすが、つまり、「無常」がわらないんだよ、堀江くんは。自分が「株高の時代」だけの存在だということがまるっきりわかっていない。

　その時代の幕引きをしたのが自分だということがなぜ、わからんかな？

　映画『エンロン』を観たけど、スキリングにはまだ、自覚があるよ。

　なぜ、堀江にはないの？

　なぜ、堀江だけ、資本主義も新古典派経済学も構造改革もないんだろう。

　罪悪感が皆無なんだよ。何十万人に大損こかせても。

　それよりも「自分が死ぬのがこわい」って感覚は、優れたもの書きでも書くのに困っちまう感覚だろう。

　少なくとも今は、「日本人よ、金のために死ぬな」ってダメ人間の私が何度も書かなければならない時代でしょ。

　堀江は「別の宇宙がある」という仮定で、死を「半克服」したと言う。

　ライブドア株で死ぬ人が出たら、どう言うんだよ。４億も損した人、老後資金が消えた人もいるんだぞ。

　いかにも、世間には多様な人間がいる。私はそれを楽しんできた。オウムもいる明るい社会、とか思ってた。

　堀江もいる資本主義社会。