カープの前田智徳じゃ!
「新庄追っかけ親父」であることから開放されて、今は広島カープの前田智徳ウォッチャーをやっている。宝島社の仕事でね。
精神衛生上、非常によい。高校時代、新庄と前田は「九州の竜虎」と呼ばれた宿命のライバルだが、これほど、対照的な野手はいないよね。
新庄の打撃理論。
球をよく見る。とりあえず初球から振る。当たってくれー、っと祈る。
それだけ。原始人だ。
前田の打撃理論については、未だによくわからない。
ヤクルト時代の野村克也監督が、「前田用」のワンポイントの左ピッチャーを準備したことがある。打席の前田は、ピクリとも動かずに3球三振。ダメダメである。チャンスで働かない中心打者に対し、最小失点で凌いできたエースの大野豊さんが聞く、
「甘い球もあったんじゃないの」
前田は一言。
「大野さん、あれはピッチャーじゃない」
自分が認めていないピッチャーの球は打たない。それが前田智徳の美学なのだ。チームの勝利よりそれを優先する。「前田はど真ん中のストレートが一番嫌い」という伝説もある。
でもね、昨日の阪神、福原忍のどんズマリの打球を前田は後逸してしまうよね。それが決勝打になる。
新庄は、前田について一度もコメントしたことがない。
一方、前田インタビューで「新庄」の名前を出した途端、
「新庄さんはセ・リーグの宝でしょ。新庄さんあってのセ・リーグでしょ」
前田がそう言ったという話を聞いたことがある。満面の笑顔で前田がそう言ったというのである。
心にもないことを。
いずれにせよ、私が想像するのは、次の一点。
前田がもし、アキレス腱を切っていなかったら……。
イチローはおろか、タイ・カッブだって凌ぐ記録を残していたんじゃないか。
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