本能的に選んでいるのだが、結果、正しい、ってことがあって、映画『真夜中の弥次さん喜多さん』である。レンタル屋で「なんか金払うのいやだなあ」と思っていたのでWOWOWの録画で観る。
結果、正しい。
『ゼブラーマン』を観に行った日が、たまたま、映画の日だった、というのも・・・・・・。
結果、正しい。
おいおいおい、売れっ子シナリオライターへの嫉妬かよ!?
それも正しい。
クドカンって『マンハッタン・ラブストーリー』ってのは面白かったな。面白かったけど、これもタダで観たからかも。あの頃、私はひどくひもじくて・・・・・・。
だから、クドカンのようにいい仕事をせい!
はい。
若い時分、マガジンハウスのエレベーターでキョンキョンといっしょになったときは思いっきり深呼吸したなあ。
でも、仕事をしたことはない?
はい。
まあ、お笑いとしては退屈しなかった。しかし、勘三郎父子は映画に出るといいようにいじられてるな。『顔』もそうだったし。きっとクドカンは「歌舞伎はどうくまんの漫画だ」ということだけは見抜いているのだろうけど、しかし・・・・・・。
「リアル」の処理はどうなったの?
理屈かよ!?
そう、40代後半の正しい映画の観かたは、観たあと、暗黒酒場で映画の「テーマ」について語り合うことなのである。
おい、あんたが18歳のとき、すでにハスミジゲヒコは立教で講義を持ってなかったか!?
あの講義、とらなんだ。文芸座でベルイマンとか観るのあほらしかったから。新宿昭和館通いで忙しかったし。
映画を語る資格なし。
ほんと、そう。バカ映画しか観ていないし、去年のベストワンは『ランド・オブ・デッド』だし。DVDにロメロ監督のインタビューが付録でついているんだけど、「私ぁひっそり安い映画撮ってればそれでいいの」って言葉には感動した。
『三丁目の夕日』で大泣きしたくせに。
泣け、って言ってんるんだし、1800円払ったんだし、私、そりゃ、泣くよ。『力道山』はやっぱ韓流でただのメロドラマなんだけど、シャープ兄弟戦のシーンには滂沱の涙だ。
ちょー待て、リアルの話がおわっとらん!
もうこれ、70年代後半からの大問題で、たとえば、ムラカミリュウさんなんか30年も「リアルってなんだ?」って大上段から問題提起していて、彼の小説のなかでも腑に落ちる結論がない。延々、セックス・ドラック・ロケンロールでなんら新しい問いかけがないのはクドカンだって同様だろ。「ホモが治る」ってセリフは明らかな差別だし、バカ、ダメ人間、セクシャリティ少数派を「笑えりゃいい」って描いたら、金払ってきた観客は疲れるよね。日本映画は「腑に落ちないことを描くから日本映画だ。それが本編ってもんよ」みたいな循環論に陥っている。
生も死も業も希望もすべて「物語の設定」になってしまった、というのが、私のクドカン映画の感想である。
ちなみに、このブログは、ありものの『トラック野郎』デザインを採用しているが、主演のスガワラブンタがあのシリーズについてどう思っているか知ってる?
スギサクJタロウ「僕はトラック野郎シリーズが大好きで・・・・・・」
スガワラブンタ「あの映画の話はするな」
スギサク「え!? なんでですか」
スガワラ「だって、星桃次郎ってバカだろう」
題名は忘れたが、イシカワサユリさんがヒロインのトラック野郎で、キャバレーで「音大」というエンブレムを着けたジャケット姿の桃次郎、イシカワさんの唄を聴き終えて・・・・・・。
「ブラボー!」
「音大の出身です。フルガマサオ先生に師事し、同級生のキタジマサブロウくんは劣等生だったなあ」
センダミツオ以下のボケ攻撃のあと、桃次郎、イシカワさんにオリジナル曲の楽譜を渡す。そのタイトルは・・・・・・。
「君に笹げるバーラド」
ハスミ先生の講義の課題がこの映画だったら今の私は変わっていたね。
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